リーダーは時代の変化に応じて自身の価値観をアップデートし、
メンバーと徹底的に向き合うことが必要
求められるリーダーシップの変化
近年、リーダーシップのあり方は変化している。
その中でも現在、注目を浴びているのが「サーバントリーダーシップ」である。
ひと昔前までは終身雇用が当たり前であり、進むべき方向性が明確な時代においては、自ら先頭を歩き、自信に満ちた背中を見せ、時には部下へ厳しく接し、強烈な個性をもつリーダーシップ、いわゆる「君臨型のリーダーシップ」が一般的であった。
しかし経営を取り巻く環境や社員に求められるスキルが複雑化している現代においては、必ずしも上司が"答え"を持っていることも少なく「君臨型のリーダーシップ」は発揮しづらくなっている。
そのような中、メンバーと一体となって"答え"を導く支援型リーダーである「サーバントリーダー」の必要性が高まっている。
サーバントリーダーの特徴
サーバントリーダーシップの提唱者であるロバート・K・グリーンリーフ氏は、サーバントリーダーシップを以下のように示している。
「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」
君臨型リーダーのように上司の背中を追わせるのではなく、メンバーを支援し、目標へと導いていく存在がサーバントリーダーである。
サーバントリーダーの特徴は大きく2つある。
①ビジョンをメンバーに示すこと
②ビジョンを実現するためにメンバーを巻き込み、活躍を支援すること
メンバーとの信頼関係を重視し、メンバーの主体性を尊重することで、組織を動かしていく。
指導をするのではなく、コーチングやメンタリングを行い、メンバーと共に歩んでいく。
組織全体で協力して目標を達成する環境をつくり、個人と組織の成長の調和を図る。
このように、組織全体を支援し、メンバーと共に目標へと進んでいくことができるのがサーバントリーダーの特徴である。
サーバントリーダーの主な役割
そもそも人が、他者を導くために、2つの理由があると言われている。
1つ目は、リーダーが目指す先が魅力的であり、自分もそこに行きたいと感じること。
2つ目は、リーダーを信頼することによって、「自分もそこに行きたい」という考えから、「リーダーについて行きたい」と考えが変化すること。
上記内容を踏まえたサーバントリーダーとしての主な役割は以下の3つである。
①日々のコミュニケーションを通し、ビジョンや将来のありたい姿について示している
②仕事を通して、メンバーから畏敬の念を抱かれること
③メンバーそれぞれの価値観や特性(強み・弱み)を把握していること
これらの役割発揮が他者を導くサーバントリーダーへの変革へと繋がる。
まとめ
サーバントリーダーシップを魅力的なリーダーシップだと感じる方もいるかもしれないが、以下の注意点を押さえていただきたい。
「万能なリーダーシップは存在しない」という点である。
一例として、組織の発達段階により適切なリーダーシップは異なる。
例えば、組織が未熟で、右も左もわからず独り立ちできていない社員が多い場合は、支援型よりも君臨型のリーダーシップを取ったほうが組織の成長に繋がると考えられる。
リーダーシップにはいくつかの型が存在するが、相手が人である以上、接し方に明確な正解は存在しない。
どのような時代においても、最終的には「相手と徹底的に向き合う」ことがリーダーには求められるだろう。
ここまでご覧になっていただいた方々には、改めてメンバーとの向き合い方を振り返っていただきたい。
本コラムが、より良いリーダーシップ発揮のきっかけとなれば幸いである。
この課題を解決したコンサルタント
タナベコンサルティング
HRコンサルティング事業部
チーフコンサルタント山本 幸生
- 主な実績
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- 人事制度再構築コンサルティング(小売業、冠婚葬祭業、卸売業、製造業 など)
- 採用コンサルティング(インフラ業 など)
- 幹部人材育成支援コンサルティング(製造業 など)
- 管理職人材育成研修、新入社員教育研修(製造業、小売業、卸売業 など)