人事コラム
人事制度

再雇用制度の見直しが企業成長・企業文化に与える影響とは

シニア人材の活用による企業競争力の向上と多様性を尊重する企業文化の形成を促進する

SCROLL
再雇用制度の見直しが企業成長・企業文化に与える影響とは
再雇用制度の現状と課題

再雇用制度の現状と課題

近年、多くの企業が高齢化社会に対応するために再雇用制度を導入を検討している。(※再雇用制度:定年退職後の従業員を継続して雇用する制度)
筆者は、中小中堅企業を中心とした人事制度の導入支援を行ってきたが、同一労働同一賃金等の法改正、雇用確保の観点から更に注目が集まってきていると感じる。
一方で、現状の再雇用制度にはいくつかの課題が存在することも事実としてある。
例えば、「再雇用された社員が従来の職務に戻ることができず、スキルや経験を活かしきれない。」
「再雇用制度が形骸化し、実質的なキャリアパスが不明確なため、社員のモチベーションが低下する」等々が発生している。
まずは、再雇用制度を導入するメリット・デメリットから見ていく。

再雇用制度の見直しが企業に与えるメリット・デメリット

再雇用制度の見直しが企業に与えるメリット・デメリット

再雇用制度の見直しにおけるメリット・デメリットは、以下の通りである。

【メリット】

1.経験豊富な高齢社員を再雇用することで、企業の知識や技術の継承が促進される。
結果として、若手社員の育成にも寄与し、組織全体のパフォーマンス向上が期待できる。

2.再雇用制度を柔軟に設計することで、社員の多様な働き方を支援し、企業文化の向上に繋がる。

3.高齢社員が活躍できる環境を整えることで、多様性を尊重する文化を醸成できる。
結果として、チームワークやコミュニケーションが向上し、企業全体の生産性が高まることが期待できる。

【デメリット】

1.制度の見直しに伴うコストや、社員間の摩擦が生じる可能性がある。

2.再雇用制度はあるものの、定年前と同様の職務でありながら、金銭的処遇が低く、
周囲へ悪影響を及ぼす可能性がある。

制度導入の目的を鑑み、メリット・デメリットを理解した上で導入検討を行うことが必要である。

再雇用制度見直しのステップ

再雇用制度見直しのステップ

では、実際に再雇用制度を導入もしくは見直す際の基本ステップは、以下の通りである。

STEP①:現状分析

はじめに、現行の再雇用制度の効果を評価し、課題を明確にすることが必要である。
加えて、自社の人員構成分析を行い、「どの年齢区分がボリュームゾーンであるか?」「10年後の人員構成は、どのように推移するか?」を押さえることが重要である。
仮に10年後の人員構成の分析をした際に、明らかに人員が足りないことがあれば、再雇用制度のみならず、
定年年齢の延長についても、検討の余地を残すことが言えるだろう。

STEP②:制度設計

次、具体的な制度設計に入る。
ここでは、正社員から再雇用社員に切り替わる際の条件整備および再雇用者社員になってからの仕組み作りが中心となる。
また、再雇用者の年齢を鑑みると、フレキシブルな働き方やキャリアパスを考慮した設計が必要不可欠であろう。

STEP③:導入・現場フォロー

STEP②を終えた後は、運用工程に入る。
ここで肝心なことは、社員に対して制度の目的やメリットを明確に伝え、理解を得ることである。
特に、再雇用制度の変更がどのように社員に利益をもたらすかを説明することが重要であるといえる。

STEP④:制度のブラッシュアップ

制度導入=ゴールではなく、再雇用制度を通じて、導入目的がクリアされたかどうかが重要である。
そのため、導入後も節目のタイミングで現場ヒアリングや実際の再雇用者からヒアリングを実施する等、
適正な運用を見据えた取り組みは、重要である。

以上が、再雇用制度の見直しステップである。

さいごに

最後に、再雇用制度の見直しに加え、高齢社員の活躍を推進するための施策を挙げる。

1.スキルアップ研修:

ベテラン社員向けの研修プログラムを提供し、最新の技術や知識を習得できる機会を設ける。
結果として、本人の働きがい醸成や若手社員へ育成する動機づけに繋がることが期待できる。

2.メンター制度:

ベテラン社員が若手社員のメンターとなることで、知識の共有やコミュニケーションの活性化を図る。
結果として、働きやすい職場環境や若手社員の定着に繋がることが期待できる。

3.フレキシブルな勤務形態

高齢社員が働きやすい環境を整えるため、リモートワークや時短勤務などの選択肢を提供する。
結果として、本人はライフスタイルに合わせた働き方が可能となる。

以上が、ベテラン社員の更なる活躍推進施策である。

ぜひ、再雇用制度といった仕組みを入れることを目的とせず、
再雇用制度の導入(手段)を通じて、何を成し遂げたいか(目的)を明確にした上で、取り組んでいただきたい。

この課題を解決したコンサルタント

ABOUT TANABE CONSULTINGタナベコンサルティンググループとは

タナベコンサルティンググループは「日本には企業を救う仕事が必要だ」という志を掲げた1957年の創業以来
68年間で大企業から中堅企業まで約200業種、17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。
企業を救い、元気にする。私たちが皆さまに提供する価値と貫き通す流儀をお伝えします。

コンサルティング実績

  • 創業68
  • 200業種
  • 17,000社以上