COLUMN

2025.02.25

物流業界の課題と生き残りをかけた中期経営戦略策定の重要性

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物流業界の課題と生き残りをかけた中期経営戦略策定の重要性

現在、物流業界では2024年問題により様々な課題が生じています。
2024年問題とは、働き方改革関連法によって2024年4月以降、トラックドライバーの年間の時間外労働時間上限が960時間に制限されることによって発生する問題のことです。 これまでトラックドライバーの労働環境は、長時間労働の慢性化という課題を抱えていましたが、年間の時間外労働時間の上限を設定することでトラックドライバーの労働環境を改善しようという動きです。
物流業界の労働環境が改善される一方、この法施行によって物流業界の課題がさらに深刻化しています。

物流業界の課題とは

物流業界が直面する課題は、長年にわたって蓄積されてきたものであり、その原因は多岐にわたります。
2024年問題により生じる課題は、「物流クライシスの原因と解決策事例でご紹介」の記事にも記載していますが、以下6点が代表的な課題としてあげられます。

(1)トラックドライバーの高齢化・人手不足
(2)2024年問題
(3)ECショッピングの普及、荷物取扱量増加
(4)再配達の増加による負担増
(5)利益率低下
(6)バックオフィスの人手不足

詳細はこちら:
物流クライシスの原因と解決策事例をご紹介

物流業界の課題とは

課題の対策と中期経営計画の重要性

目まぐるしく変化する社会構造・産業構造、不確実性がますます高まる時代では「未来をどうしたいか?どうなりたいのか?」がぼやけ、目の前の競争環境を勝ち抜くことだけに終始しがちです。
昨今の物流業界の課題に対応していくためには、短期施策では効果に限界があり、中長期で全社横断的な事業戦略と経営戦略構築が求められます。

不確実な時代だからこそ今、自社を成長へと導く未来ビジョン・計画が重要です。
時代の変化やトレンドを取り込み、貴社独自の強みを生かしながら、会社の将来を描くための中期経営計画策定が今必要とされています。では、その中期経営計画策定の重要性を5つのポイントで整理します。

①経営の現状を把握できる

中期経営計画を立てることには、目標に対する経営の現状を、早い段階で明確にできるというメリットがあります。

②経営の方向性を明確にできる

中期経営計画を立てることで、経営の方向性を明確にできるというメリットが得られます。

③経営の信頼感が高まる

中期経営計画を立てておくことで、株主や顧客などのステークホルダーに対し、決算だけでなく課題やビジョンを具体的に示すことが可能です。
結果として、企業と経営、サービスへの信頼感が高まり、採用にも良い影響を与えます。

④社員と意識が共有される

企業が計画を社員と共有することで、社員との間で具体的な共通認識を持つことが可能です。
経営や事業の方向性に対する意識やベクトルが一致していれば、余計な力を必要とせずに施策を実行できるでしょう。

⑤社員のモチベーションが向上する

社員一人ひとりが目的意識を持てばモチベーションが向上し、自主的に動くことで働きがいを感じたり、主体性が育まれるでしょう。これにより社員の定着率向上も期待できます。

課題の対策と中期経営計画の重要性

生き残りをかけた、物流業界の中期経営計画の策定の方向性

今後さらに物流業界の「人手不足」と「利益率低下」は深刻になると予想される中、生き残っていくためには、荷主からも、社員やドライバーからも選ばれるための価値を明確にすることが必要です。

そのための中期経営計画の策定の方向性のポイントとして、以下の5つが挙げられます。

(1)ミッション・ビジョンの策定と浸透

自社の使命、目指す姿を策定し、インナー・アウターブランディングを行い、計画的、戦略的に社員へ理念・ビジョンを浸透させます。

(2)ビジネスモデル・事業戦略の再構築

自社の特徴・強みを明確にしてビジネスモデル・事業戦略を再構築することで、付加価値が生まれ、利益率の向上にも繋がります。

(3)組織と役割の見直し

事業戦略に合わせた組織デザインや専門人財の確保・ミドルオフィス組成を行い、1人あたり生産性向上のための役割の見直しを行います。

(4)生産性向上のための抜本的改革

基幹事業の業務見直し、自動化推進・BCP対応への業務フロー整理を行うなど、非付加価値業務を排除し付加価値業務への集中を進めていきます。DXによる省人化、生産性向上は人手不足に対応するため急務となります。

(5)戦略人財の育成・確保

中長期ビジョン並びに事業戦略に対して必要な人材(専門人材・マネジメント人材)を計画的に採用していきます。基本スキル・組織運営に必要なマネジメントスキルを整理し、人材育成計画を策定します。

上記の策定の方向性をしっかりと押さえ、この2024年問題をチャンスとして捉えて成長を描くための中期経営計画を策定推進することで、荷主からも、社員やドライバーからも選ばれる企業に成長していきましょう。

物流業界の中期経営計画の策定の方向性

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部
コンサルタント

荒井 拓弥

ファッション商社にて販売、店舗マネジメント、出店、海外駐在、人事業務を経験後、ファブレスメーカーにて生産管理、バックオフィス管理、EC運営に従事。当社に入社後は、顧客に寄り添い現場から課題解決を導くことをモットーにしながら、BtoCビジネス分野を中心に、新規事業開発・戦略構築テーマで活躍中。

荒井 拓弥

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