COLUMN

2024.02.02

幹部人材は数字で語り、
数字で方向性を示す財務スキルが
必須である

  • 資本政策・財務戦略

幹部人材は数字で語り、数字で方向性を示す財務スキルが必須である

幹部人材が身に付けなければならないスキルは、「現状認識力」と「実行推進力」です。自社の現状を把握し、組織を動かすし、目標を達成する使命があります。そのためには、財務スキルを磨く必要があります。

「現状認識力」を高め、方向性を示す

現状の自社の状況を正しく把握しなければ、次に打つ手を間違えます。幹部は、今の状態を数値で示し、何が良くて何が悪いかを判断しなければなりません。数字が弱い人材は幹部人材に適していません。数字は事実を示します。より正確に現状を把握するには、数値を理解することが重要です。

下記に記載した内容は、ある企業の幹部と打合せをした時の会話です。

・最近の業績状況はいかがですか?
⇒原価高騰、価格転嫁遅れで、どの営業所も悪い状況は続いています。

・どの位、差額があるのですか、どのような手を打っていますか
⇒正確には掴んでいないが、わが社は5営業所があり、全体的に数字が良くないので、
全営業所に、売上構成比が高い〇〇商品を強化して販売するように手を打っています

違和感を覚えたので、経理担当者に状況を確認すると、5営業所で目標に達していない拠点は2営業所で、売上構成比の高い〇〇商品は粗利益率が低いので、販売が伸びても利益額はあまり増えていない現状でありました。
数値を正しく把握しないので打つ手が間違っていた、という事例です。
まず、幹部は数値を理解するスキルを身につけないと正しい現状を把握することはできません。今、改善していかなければならない項目を捉えられなければ、対策を間違え、実行を推進しても空回りするばかりです。

幹部が身に付けるスキルは、数値で現状を把握する「現状認識力」です。
損益計算書は日の活動の成果を表すものであり、これをベースに算定される指標を「成果指標(KGI=Key Goal Indicator)」といいます。損益計算書及びそれに基づく指標は通常1年単位もしくは月単位で管理されます。
成果指標は成果を評価するためのモノサシであるが、現場を改善していくためには更に掘り下げたベンチマーク指標も必要となります。そのためには成果に到るプロセスを定量的に測定していくことが重要です。それらを指標化したものを「プロセス指標」と呼びます。成果指標が月次単位で管理する指標であるのに対し、プロセス指標はデイリーで管理すべき指標とも言えます。日々の活動を目的・目標に照らして有機的に管理し、成果指標である損益や生産性の改善に繋げていくことが現場マネジメントにおいては重要なテーマとなります。
業績構造ツリーとして明確にし、現場指標であるKPI(現場指標)をクリアしていくと結果としてKGIが目標達成(改善)されていくよう組み上げることが必要です。業績=戦略=現場の因果関係が明確になります。

KPIマネジメントで組織を動かす

(1)組織力を向上させる
会社全体の計画や目標が明確になることで、管理職の責任感が醸成され、縦と横のつながりも向上します。

(2)PDCAの質を向上させる
①KGI・KFS・KPIを設定し考える事で、成功確率の上がるPLANを立てることが出来、目標の達成率は高くなります。
②成果が出るまでにプロセスで管理できるので、進捗確認をまめにすることが出来ます。
③KGI達成率とKPI達成率の関連性を測ることで、PLANの正当性を評価することが出来るます。
④進捗確認をまめに行うことで、早い段階で軌道修正を掛けることが出来ます。
⇒Planの品質を上げ、Checkをまめに行い、軌道修正を迅速に実施出来ることでPDCAの品質が向上します。

(3)優先順位が明確になる
①KGIを明確にしていることで、経営資源を配分する際に、会社としての重要性を定量的に明示し、判断が出来ます。
②KPIを明確にすることで、自身のやるべき事が明確になり、重要な活動に時間を多く配分することが出来ます。

(4)管理が簡易になる
①管理すべき項目が減るため、管理が簡易になります。

社員一人一人まで落とし込み、組織の末端まで浸透させ、部門や個人の目標とビジョンおよび戦略との整合性をとり、経営トップから社員一人一人に至るまで組織全員のチーム・ワークと結束力を強化し、自分たちの夢であるビジョンと戦略の実現に向けて、果敢に挑戦させる戦略経営時代のマネジメント・システムを幹部が実践していかなければ、会社の持続的成長は失われていきます。

教育、研修の在り方を再確認し、必要スキルを身に付ける

幹部教育一番の失敗は"求める成果が得られなかった"ではないでしょうか。
理由はいろいろ考えられますが、管理職になったら研修を行うのは良くても、管理職に必要な職務基準(役割・能力・意欲等)が不明確では、教育・研修結果もあいまいになります。社員も何を求められているか分からなければ、学習意欲・態度に影響し、成果に直結しません。改善策としては、思いつきで行わないためにも、わが社の人材像をハッキリさせることです。人材像を描くには、①経営理念から人事憲章を作る、②会社案内等から整理する、③日頃、社長が言っていることをまとめる、④経営ビジョンから必要な人材像をまとめる、等が必要です。
大きく分けて研修には、内部で行うものと、外部機関サービスを活用するものとがあります。内部とはOJT(On the Job Training=職業内訓練)を指し、外部機関ではセミナー派遣(=off-JT)や講師を招いての自社研修等を指します。
教育費用を余りかけない会社はOJT中心に行い、教育費用をかける会社は外部派遣を積極的に行っていると思われがちですが、そうではありません。目的に応じた計画、そして予算化が重要なのです。
ある会社の社長の判断基準として、「新入社員は自分で成長できないから会社が面倒を見る必要があるが、幹部は自分で成長できるだろう」というのがあります。ケチっているわけではありません。故に、幹部には必要最低限しか教育しません。しかも技術研修のみです。この考えで、はたして幹部は"育とう"とするでしょうか。

教育には「①育つ力・②育てる力・③育む力」の3つが必要と言われています。
①育つ力(自己啓発、個人の力)
②育てる力(社内の集合研修、OJT、off-JT)
③育む力(社風、環境、制度、条件などの土俵)
であり、「育む力」をベースに、「育てる力」を整然と駆使し、「育つ力」に大きくつながっているシステムの構築が必要不可欠となります。故に成長段階に応じ、育てる力(教育)は必要なのです。
数字で語り、数字で方向性を示す財務スキルを習得し、会社を成長させていくことこそが、幹部に必要なスキルです。

タナベコンサルティングでは、多くの企業のご要望を受けて、経営幹部向けのアカウンティング&ファイナンススクールを開催します。財務スキルの基礎的な知識である財務会計の基本、管理会計・事業別ROICを学び、さらに企業価値の考え方・評価の仕方等も体系的に習得できます。
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