デジタル知識とビジネス知識を兼ね備えたDX人材の育成

コラム 2023.07.13
マネジメントDX 人材育成 教育
デジタル知識とビジネス知識を兼ね備えたDX人材の育成
目次

現在ではほとんどの企業でDXが経営戦略の中核をなしているなか、弊社では数多くのDX推進コンサルティングのご支援をしています。そこで、多くのクライアントで課題となるのが「DX人材の不足」です。
DX推進はいずれ内製化する必要がありますが、内製化に値する人材のリテラシー・リソースが不足しているケースが多く見られDX人材の育成は急務といえます。

まず、DX人材育成の前に、経営者の皆様にご理解いただきたいのは、DX推進を成功させるためには経営者の覚悟が必要になります。もうDXが前提となっている社会に突入している中で経営者の覚悟なきDXは失敗に終わります。経営者自身がDXの知識をもっていますか?DXの価値を考えていますか?DX成功のポイントの一つとして、DX人材の育成は経営者が考えなければならない重要テーマの一つです。
5年後、10年後の将来「DX人材がいなくて...」という状況では企業の成長は見込めません。経営者の皆様には、危機感をもってDX人材の育成について考えていただければと思います。

 

コア課題はビジネス人材の不足

多くの企業はDX人材の不足を大きな経営課題として抱えているのではないでしょうか。ほとんどの経営者は「DX推進したいけど、DX推進できる人材がいない」と嘆いています。皆様はこのような課題を抱えていませんか?

① どのようなテクノロジー・技術を活用してビジネスモデルを変革するべきなのか、DXビジョンを考えられる人材がいない。
② DXビジョンは考えられたものの、実現可能性について社内で判断できる人材がいない。
③ DX投資計画・改修計画を立てることができる人材の不足により、DX投資に踏み切れない。
④ DX推進をマネジメントするCDO(最高デジタル責任者)のような存在がいない。

これらの課題はDX人材を外部から採用することだけで解決される簡単な問題ではありません。もちろんDX人材を採用することは各企業で進めるべきことのひとつであります。ただし、DXの意味に今一度立ち返ってみると、DXとは「デジタル技術、テクノロジーを活用してビジネスモデルを変革すること」であり、これは自社のビジネスモデル、経営方針、顧客関係を理解している人がなせることなのです。外部のコンサルタントやDX人材の採用をすれば一時的なDX推進はできますが、それは足元のDX推進もしくはIT化に留まる可能性が高く考えられます。これまでDX戦略がないなかで実行したツール導入や、コンサルタント、ベンダーに丸投げしてきた企業は、結局自社での運用がうまくいかず、社内のDXリテラシーが低いといった理由から失敗するケースがあります。これからの社会は当たり前にDXを要求してきます。DXは手段から前提へと変わっていくなかでけして目を背けることのできない経営課題の一つになってきたのです。

また、ベンダー・エンジニア頼りになることで失敗する要因は、ベンダー・エンジニア側が自社のビジネスへ理解度が低いことにあります。自社側にはデジタル技術を活用できる人材がいない、一方で、ベンダー側にはビジネスを理解している人材がいないことがDX推進失敗の一つの理由として挙げられます。近年IT人材(エンジニア)の不足が話題として挙がっていますが、それよりも重大な課題はビジネス知識とデジタル知識の両方を兼ね備えた人材が不足していることなのです。

ビジネスを理解していないエンジニア側がDXについて考えると技術よりのDX企画になる可能性が高まります。一方で、デジタル技術についてリテラシーの低い自社内で進めようとすると一進一退の毎日です。これらのことから企業がDX推進する際には、自社側がデジタルについて理解し、エンジニア・コンサルタントと共通言語をもったうえで、議論できる体制を構築しなければならないのです。外部コンサルタント、DX人材の採用だけでDXは成功しません。企業のDX推進を成功させるためには、自社内にDX人材を育成する必要があるのです。
そして育成を通じて得ることができたその知識やノウハウは、会社の資産として蓄積していくことで、中長期的にDX推進が可能となります。DXで成功している企業は本気でDX実現のために何が必要かを考え、DX人材の育成に乗り出しているのです。まずは一部の社員から、次いで全社員がDX・ITの基礎知識を身に付けることが理想といえるでしょう。

育成すべきDX人材像

ここからは育成すべきDX人材像について述べていきます。
まず、DX人材に求められる思考は「DXはやっているからとりあえず始めてみる」「どの企業もAI活用しているから自社も導入してみる」ではなく、「自社に必要なDXは何か」「自社のどこに課題があり、どのようにすれば解決できるか」という思考です。まずデジタルの知識を取り入れる前にこのマインドセットの習得から進めていくことが必要です。DX成功のポイントはDXビジョンの構想です。
「とりあえず」「どの企業もやっているから」ではなく、DXビジョンを策定できる人材を育成することこそが成功のポイントです。
表1は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)令和元年5月の「デジタルトランスフォーメーション推進人材の機能と役割の在り方に関する調査」をもとにタナベコンサルティングで作成した目指すべきDX人材像の表です。タナベコンサルティングでは目指すべきDX人材像として、アーキテクト、ビジネスデザイナー、プロデューサーを推奨しています。データサイエンティスト/AIエンジニア、UXデザイナー、エンジニア/プログラマーはもちろん必要な人材でありますが、実際はベンダーに任せておけば問題ないことがほとんどです。ただし、プログラミング言語やAIの仕組みなどの基礎知識は持っておくことはDX推進成功の必要条件であります。重要なのは自社の経営方針、ビジネスモデル、顧客関係などを理解してDX戦略の策定、DXを通じたビジネスモデルを変革することができる人材がいるか、また育成できるかです。
いわゆるCDO=最高デジタル責任者になれる人材を育成するべきだと強く提言いたします。

表1 目指すべき人材像

表1 目指すべき人材像

【紹介】DX研修カリキュラム

タナベコンサルティングでも先に述べたDX人材を育成するための研修がございます。本サイトで掲載されているDX研修は最終成果物がDXを通じた簡易事業計画書であり、まさにプロデューサーレベルの人材を育て上げることができるカリキュラムになっています。また、このDX研修の特徴として各業界に応じてカスタマイズが可能となっていますので、より自社で効果的にアウトプットできる人材を育て上げることができます。
詳細はこちらのページからご確認ください。
DX人材の育成ならタナベコンサルティングのDX研修

AUTHOR著者
デジタルコンサルティング事業部
チーフコンサルタント
布施 龍人

バリューチェーン上の幅広いDX領域における、具体的な実行推進支援までを企業の実情に即して提供している。特にHRDXにおいては、人的資本経営のDX化やDX人材育成に強みを持つ。経営視点・現場視点を持ち合わせた丁寧なコンサルティングに定評がある。

布施 龍人
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