ブランドリサーチとは、自社のコーポレートブランドやサービスブランドに対する評価を分析することを指します。
今回は、ブランドリサーチの必要性とその取り組み方を解説します。
ブランドリサーチの概要とその必要性について
効果的なブランディングを行う上での道しるべ
まずはブランドリサーチについて少し細かく解説をします。
そもそもブランディングの取り組みは「ステークホルダーからこう思われたい!という理想的なブランド像(=ブランドビジョン)」を旗印に行われる経営活動です。このブランドビジョンが正しく設定されていない場合には、ブランド評価の分析があまり意味をなさないものになってしまいますので、ブランドビジョン構築に不安がおありの方はこちらのコラムを参照ください。
さて、本件のブランドリサーチとはブランディングの取り組みを開始した当時にステークホルダーから抱かれていたブランドイメージから、どのくらいブランドビジョンに近づいたかを観測・分析するものになります。基本的にブランドビジョンは短期的に切り替えたり、複数立ち上げたりするものではなく、「一貫性」と「継続性」をもって中長期にわたって実施するものであり、ある意味、しんぼう強さが問われる取り組みでもあります。
打ち立てたブランドビジョンに対して、1年でどのように評価が変わったのか。結果を受けてブランディング活動の良し悪しはどこにあったか。それを受けて取り組み手法をどのように改善すべきか。これらを検証することがブランドリサーチの最大の目的であり、効果的なブランディングを行う上での道しるべとなる取り組みとなります。
ブランドリサーチ実施時のポイント①
リサーチ対象
まず、ポイントの1つ目は「リサーチを行う対象」です。
ブランディングは決してお客様にのみ実施をする活動ではありません。むしろ、社員や従業員に正しく浸透してこそアウター(お客様や投資家、仕入先企業などの社外のステークホルダー)へのブランド訴求力が増します。そして、インナーとアウターではブランドに対する感じ方や捉え方が異なる場合が多く、これはブランディングの取り組みとしては理想的な状態であるとは言えません。ブランドビジョンに対して、インナーもアウターも差異なく正しく認識をしている状態が理想であるといえます。
前置きが長くなりましたが、上記の理由から、ブランドリサーチはインナーとアウターそれぞれに実施をする必要があります。そして、目的はブランドビジョンにどれだけ近づいたかを検証することにありますので、それぞれから集約する情報は基本的に同じでなければなりません。
ブランドリサーチ実施時のポイント②
頻度とタイミング
ポイントの2つ目は「実施する頻度とタイミング」です。
冒頭に記載の通り、ブランディングとは「一貫性」と「継続性」をもって中長期にわたって取り組む活動であり、すぐにステークホルダーへ浸透するものではありません。よって、短期的に複数回(1か月に1回など)実施をしても結果に差がみられないことがほとんどです。ブランディングの取り組みを実施する前に必ず1回(ギャップを測る基準になります)、そして1年に1回"定点的に観測する"ことがより分析をする上で効果的であると弊社では考えます。
また、ポイントの1つ目で共有したリサーチの対象とも関連しますが、対象区分ごとにリサーチを行うタイミングを変えてしまうとブランド評価の差異を正しく分析できない恐れがありますので、基本的にはすべての区分に対して同じタイミングで実施をすることが好ましいと考えます。
ブランドリサーチ実施時のポイント③
設問設計
リサーチを行う上でのポイントの3つ目は「設問設計」です。
取り組みの失敗例としては、リサーチの目的である「ブランドビジョンにどれだけ近づいたか」から乖離をしてしまい、「認知度調査」や「顧客満足度調査」に成り代わってしまうケースも散見されます。
リサーチをする際には目的がブレないこと。ブランドビジョンに込めたイメージとその対極にあるイメージを提示して評価をしてもらうこと。前述の通り対象区分で設問を変えないこと。これが設計時のポイントとなります。
また、もう一つの大きな指針としては、ブランディングとは広告やPR活動がすべてではありません。例えば営業の方の振る舞いや、代表のメディアでの発言など、ステークホルダーと接点が生まれるすべてのタイミングにおける経営活動がブランディングであるといえます。そこで、設問を設計する際には「スタッフの対応においてどのような印象を抱きましたか」や、「オウンドメディアから感じるわが社の印象はどのようなイメージですか」などシーンやイメージを感じる対象などを指定するとより細かい分析が可能になります。
最後になりますが、タナベコンサルティングでは、今回お伝えしたブランドリサーチのポイント3点について網羅した分析ツール「ブランディング戦略サーベイ」をご準備しております。
お困りの方はぜひお声かけください。
AUTHOR著者
ブランド&PRコンサルティング事業部
コンサルタント
彦坂 俊樹
テレビ放送局営業部にてカーディーラー、ハウスメーカー、製造業、物流業、行政団体等、様々な業界へTVCM枠や番組枠を活用したプロモーション支援を行った後、当社に入社。メディア媒体を活用した効果的なプロモーション施策の設計や、アニメーション・実写問わず目的に沿った動画コンテンツの作成を強みとし、誰に何を伝えたいかを見極めた上で適したプロモーション支援を行う。

