世の中でヒットした優れた製品やサービスの裏には必ず優れたマーケティング戦略があります。様々な商品や情報があふれかえっている現在、「戦略PR」の考え方はマーケティングに欠かせない施策として注目されています。
ブランドへの「信頼」を生みだす広報戦略とは?
たくさんの情報があふれかえっている今、選択される「ブランド」へ
「伝わる」ことを第一に!PR会社を正しく、賢く活用するには?
「情報爆発」時代だからこそ「PR=広報」の考え方や手法に注目が集まっています。PRは広告やプロモーションのことではなく、PR=Public Relations=広報活動のことであり、社会全体とより良い関係を築いていく活動を指しています。
言い換えれば、「社会全体」とはステークホルダーであり、顧客、従業員、株主、それらの家族、地域社会、などを意味し、「良い関係を築く」とは「信頼してもらう」ための活動と覚えておいてください。
つまりは、広報活動とはステークホルダーとの「信頼づくり」なのです。
より多くの人に会社や商品、サービスを「信頼してもらう」ためには情報波及力のあるメディアを活用することがポイントです。
「報道機関」を代表する「マスメディア」や日々接触するデジタルメディア、また自社のコーポレートサイトや、SNSを通じてコミュニケーションしていきます。それらを熟知しているのがPR会社です。
「プレスリリースを書く会社」「メディアに掲載してくれる会社」というイメージがあるかもしれませんが、それらはすべて手段であり、PR会社を活用する真の目的は「ブランドの認知を上げ、信頼を生み出す」ことがゴールです。
「戦略PR」は一気通貫!「ストーリー」で考える!
単発のキャンペーンやデジタル広告でブランドは作れない
ブランドはマーケティングストーリーを考えることからスタート
戦略PRは、単なる情報発信やメディア露出を狙うことではなく、その商品やサービス、企業を多くの人に認知・信頼してもらうためにコンセプトに基づいて、戦略から実行レベルまで落とし込む必要があります。
社会を動かすようなブームを作り出すことは容易ではなく、世の中のヒット商品の多くは、狙ってはいたが「幸運だった」「偶然だった」ということが少なくありません。ただし、ヒット商品やブームを連発するヒットメーカーと呼ばれる人たちは、「幸運や偶然」も想定して、いくつも分岐するシナリオを準備しています。
テレビに取り上げてもらう、SNSでバズる、など短期的視点の施策に目が行きがちですが、「世の中を動かす」「大ヒットさせてブームを生みだす」など大きな目標をゴールに設定して、マーケティングストーリーを準備しましょう。
このストーリーのことを「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。
ターゲットに対して「どういったメディアに接触してもらい、どういったことを思ってもらって、どういった行動をしてもらいたいか?」をマッピングして、伝わる経路を可視化、チームメンバーで共有し、同じゴールを目指していきます。
報道価値を生み出して「メディアがメディアを呼ぶ」報道連鎖を獲得しよう
戦略PRの第一歩は、報じる価値がある「報道価値」を作ること
報じる価値が高ければ高いほど、メディアの報道は連鎖する
戦略PRにおいては、ユーザー目線を基本にしつつも、「メディア目線」も重要な要素です。つまりは「報道価値」があるかどうか。いくらユーザー目線に立って親切に商品紹介するコンテンツを作っても、メディアにとって面白くなければ広がりが限定的になってしまいます。
報道価値を知り、メディアに取り上げてもらえるような情報発信をめざしましょう。
メディアは特性上、他の媒体もよく参照しています。1つの記事がきっかけで、複数のメディアから取材依頼が舞い込み「報道連鎖」が起これば、多くの人にリーチすることも可能となります。
その第一歩となる「報道価値」を一言でいえば「伝えるべきかどうか?」です。ニュースというくらいなので「新しいこと」を基本価値として、そこに下記のような要素を加わえると報道価値」が生まれます。
1「常識の範囲外」
多くの人が持っている常識や暗黙知の外の情報を付加することで 驚きを与えることが出来る
2「トレンド性・シーズナル性」
世の中のトレンドや季節的な要素をうまく取り入れる方法
3「社会的な課題に対応」
社会問題や社会課題を可視化し、それを解決するための商品・サービスであることを伝える
事例:3つの報道価値をうまく生み出した「銀座の宝石店」の実例
長蛇の行列を生み出した、ありそうでなかったシンプルキャンペーン
報道が報道を呼び、一過性で終わらなかったマーケティング施策
宝石店は銀座に数多くあり、それぞれ商品やブランドに違いはありますが、「どんぐりの背比べ」状態です。
そこで15年ほど前、とある銀座の宝石店が、ダイヤモンドのルース(石のみ)0.1カラット分を限定5,000個無料配布するキャンペーンを実施。「ジューンブライド」にからませて6月1日から行うとプレスリリースで発表したのです。
それによってキャンペーン自体もニュースとなり、販売日にはとてつもない行列ができ、その行列をまた新聞、テレビ、Webが取り上げたことで、大きな反響(新規顧客)を獲得しました。
実施した理由としては「長い不況をパッと吹き飛ばしてもらいため」。当時リーマン・ショックで沈んでいる日本社会に、明るいニュースをもたらしました。
上記の3つのポイントをすべて抑えたことでたくさんのマスメディアに取り上げられ、その後の販売も堅調に伸ばしていきました。
これがわかりやすい「報道価値」の作り方であり、「戦略PR」事例の1つです。
まずは上記3つのポイントを抑えて考えてみてください。
AUTHOR著者
代表取締役社長
村上 崇
国立津山高専電子制御科にてロボットエ学を専攻。報道番組のディレクターとして数々の事件、政治、トレンド情報などのリサーチから取材、リポート、編集まで幅広く手がけ、情報収集と情報発信の礎を築く。その後、PRコンサルティングファームにてIT、Web、東証一部上場企業、グローバルブランドグループ企業、官庁など幅広い業種のPR&マーケティングコンサルティングを手がけて独立。戦略PRおよびデジタルマーケティングを中心とした株式会社カーツメディアワークスを設立。著書:「図解でわかるGoogleマーケティング」「クラウド情報整理術」「新しいWebマーケティングハンドブック」など5冊を執筆。連載実績:医療専門雑誌、金融機関向け専門誌等