人事コラム
エンゲージメント

エンゲージメントを高めるマネジメントが企業価値の最大化を実現する

現場の最前線にいる社員のトータルエンゲージメントを高めるためには、適切なマネジメントが必要不可欠である。

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エンゲージメントを高めるマネジメントが企業価値の最大化を実現する

「当事者意識の醸成」と「前向きな業務環境整備」が高い
エンゲージメントを生み出す

エンゲージメントを高めるべき理由

エンゲージメントを高めるべき理由

近年、企業において「エンゲージメント」の重要性が飛躍的に高まっている。
エンゲージメントとは、会社(組織)と社員の能動的な関係性を表し、エンゲージメントが高いほど、双方が同じ目標に向かって成長できる状態を指す。また、社員満足度とは異なる概念であり、自らの仕事を通じて組織の目標達成に貢献したいという内発的な意欲を引き出すものである。

 

エンゲージメントが高い組織は、業績や生産性、顧客満足度などの面でも優れた成果を上げやすく、結果として企業価値の最大化へとつながる。

 

エンゲージメントは、社員満足度と混同されることもあるが、その本質は異なる。
社員満足度(ES)は一時的な活力にすぎず、満足度は待遇や環境要因に依存しがちである。
それに対して、エンゲージメントは組織との双方向からの関係性(深さ)を示すものであり、企業全体の成果に直結する力を持つ。

 

社員のエンゲージメントを高めるためには、日常的に意識し、継続的な施策を実行し続けることが必要である。

 

本コラムでは、マネジメントの観点からエンゲージメント向上について紹介する。

マネジメントとエンゲージメント

マネジメントとエンゲージメント

コロナ禍を経て、多様な働き方やハイブリッドワークが定着する中で、会社と社員の関係性は以前よりも複雑化・多様化しており、エンゲージメント向上の難易度も高まっていると言える。

 

上層部だけでなく、現場の最前線で働く社員一人ひとりのエンゲージメントを高めなければ、組織全体としてエンゲージメントが高い状態とは言えない。
それを実現するためには、管理職による積極的な働きかけが必要不可欠であり、後述するように「管理」ではなく「共創」を軸としたマネジメントへの転換が求められる。

 

制度やツールの整備だけでなく、日常のコミュニケーションやメンバーとの信頼関係の構築が、エンゲージメントを高めるうえで不可欠である。
そして、信頼に基づいたマネジメントこそが、社員の自発的な貢献を引き出す基盤となる。

エンゲージメントを高める実践的手法

エンゲージメントを高める実践的手法

では、どのようなマネジメントがエンゲージメント向上につながるのか。
意識すべきことは、「当事者意識の醸成」と「前向きに業務に取り組むことができる環境づくり」である。
以下に、ポイントを3点示す。

 

1. 管理から共創への転換

共創とは、新たな価値を共に生み出すことである。
従来のマネジメントである業務指示や進捗管理も必要であるが、それに加えて、メンバーに主体性を持たせ、共に成果へと向かう組織への転換が求められる。
「何をいつまでにやるのか」だけでなく、「なぜその仕事をするのか」「それが何につながるのか」をメンバー間で共有し、作業ではなく当事者として業務に取り組むことが、エンゲージメント向上につながる。

 

2. 心理的安全性を高める

心理的安全性とは、「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり罰したりしないと確信できる状態」、または「対人関係にリスクのある行動をとっても、メンバーが互いに安心感を共有できている状態」である。
自ら意見を持たず、指示通りに仕事をこなす社員のエンゲージメントが低くなるのは容易に想像できる。
心理的安全性を高めるためには、メンバーの発言や行動に対してポジティブな反応を返すことを習慣化する必要がある。
リスクを恐れずに発言や挑戦ができる環境を整えると同時に、その成功までのプロセスをサポートする姿勢も忘れてはならない。
主体的な行動から成功体験を積み重ねることが、エンゲージメント向上につながる。

 

3. 適切なフィードバックの実施

メンバーの取り組みに対して、適切なフィードバックを徹底いただきたい。
人事考課の期間終了後はもちろん、日常においても可能な限りフィードバックの機会を設けることが望ましい。
当然ながら、メンバーにとってフィードバックの時間がネガティブに感じるものであってはならず、前向きで建設的な対話の場へシフトするよう意識すべきである。
定期的で建設的なフィードバックは、メンバーの成長実感を促す。
また、単なる成果主義的な評価にとどまらず、努力や姿勢への肯定的な言及も含めることが重要である。

まとめ

エンゲージメントは、企業の持続的成長に直結する戦略的な経営資源である。
容易に向上するものではなく、日々の地道で誠実な取り組みの積み重ねが、高いエンゲージメントを生み出す。
まずはその一歩を踏み出し、より良い組織づくりを実現していただきたい。

この課題を解決したコンサルタント

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