COLUMN

2026.03.10

建設業の事業承継のポイントは?
事業承継を失敗させない方法を解説!

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建設業の事業承継のポイントは?事業承継を失敗させない方法を解説!

目次

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建設業界では経営者の高齢化と後継者不足が深刻化しており、特に中小企業では廃業リスクが高まっています。
こうした状況に対し、M&Aによる第三者承継が有力な選択肢として注目を集めています。異業種企業や海外企業による買収も増加傾向にあります。
事業承継においては、建設業許可の引き継ぎや経営業務管理責任者の確保など、業界特有の課題が存在します。
また、技術者・技能者の高齢化に伴う技術の継承も重要な課題であり、事業承継と並行して若手技術者の育成やDXへの対応が求められています。

建設業の事業承継の際の注意点について

日本の建設業界は、経営者の高齢化と後継者不足という深刻な課題に直面しています。
帝国データバンクの調査によると、2024年時点の調査で建設業者の後継者不在率は59.3%に達しています。
改善傾向にあるものの、依然として他業界と比べても高い水準です。
そのため、事業承継は業界全体の持続可能性に直結する重要なテーマとなっています。
事業承継を円滑に進めるためには、建設業特有の制度や人材要件を踏まえた上で計画的な準備が不可欠です。

1.建設業許可の引き継ぎ

建設業を営むには、国土交通省または都道府県知事による建設業許可が必要です。
事業承継にあたっては、この許可の引き継ぎが重要なポイントです。
法人の場合は、商号や代表者の変更があっても、一定の手続きを行えば許可を継続できます。
一方、個人事業主の場合は、従来は新規申請が必要でしたが、2020年の建設業法改正により、相続・譲渡・合併などによる承継が認められるようになりました。
ただし、承継手続きには複雑な書類作成や申請のタイミングの見極めが必要なため、専門的な知識が必要です。
手続きの不備や遅延は、事業の継続に支障をきたす恐れがあるため、行政書士などの専門家の支援を受けることが推奨されます。

2.経営業務管理責任者の確保

建設業許可を維持するためには、経営業務管理責任者の設置が義務付けられています。
この責任者は、一定期間以上の建設業経営経験を有する人物でなければならず、法人では常勤役員のうち少なくとも1名が該当する必要があります。
事業承継において、後継者がこの要件を満たしていない場合は、別途経験者を役員に迎え入れるなどの対応が必要です。
人材不足が深刻な建設業界においては、この要件を満たす人材の確保が大きな課題となっています。

3.技術者・技能者の継承

建設業は技術力が競争力の源泉であり、熟練技術者や技能者の存在が企業価値を支えています。
一方で、これらの人材も高齢化が進んでおり、技術の継承が大きな課題となっています。

4.承継方法の選択と準備

建設業の事業承継には、主に次の方法があります。
親族内承継は理念や文化を継続しやすい一方で、後継者の育成や税務対策が必要です。
従業員承継は事業理解が深く、技術の継承がスムーズですが、資金調達や経営者保証といった課題も残ります。
M&Aによる第三者承継は後継者不在時の有力な選択肢であり、譲渡対価の確保や雇用の維持が可能ですが、企業文化の違いや統合リスクを伴う可能性があります。
いずれの方法を選ぶ場合でも、早期からの準備が重要です。
理想的には、承継の5〜10年前から計画的に準備を進めることで、後継者の育成、財務・税務対策、関係者との調整などを円滑に進めることができます。

5.財務・税務面の整理

事業承継を円滑に進めるためには、財務状況の整理と税務対策が不可欠です。
建設業では、工事の受注状況や債権債務の関係が複雑なケースも多く、資産・負債の明確化、簿外債務の洗い出しなどを慎重に行う必要があります。
税務面では、相続税や贈与税の負担を軽減するために、事業承継税制の活用や種類株式の発行などの対策が有効です。
これらの対策には専門的な知識が必要なため、税理士などの専門家の支援を受けることが望ましいです。

6.事業承継計画書の作成

事業承継を計画的に進めるためには、事業承継計画書の作成が効果的です。
計画書には、会社の現状分析、後継者の育成計画、建設業許可の承継手続き、財務・税務対策、リスク分析などを盛り込み、関係者間での認識を共有します。
定期的に進捗を確認し、必要に応じて見直すことで、柔軟かつ確実な承継が実現できます。

事業承継成功へのポイントについて

1.早期準備と計画立案

事業承継は長期的なプロセスです。経営者が60歳を迎える前後には計画的な準備を始めるのが理想とされており、後継者の選定や育成、経営権の移譲などを段階的に進めることが求められます。

2.建設業許可の承継への対応

建設業では、許可の引き継ぎが事業継続の鍵となります。2020年の法改正により、相続・譲渡・合併などによる許可の承継が可能となりました。空白期間を避けるためには事前認可制度の活用が重要です。

3.経営業務管理責任者の確保

許可を維持するには、一定の実務経験を有する責任者が必要です。後継者が要件を満たしていない場合は、社内外から適任者を確保する必要があります。

4.技術・技能の継承

熟練技術者の高齢化が進む中、技術の継承は事業承継の重要な課題です。OJTの実施やマニュアル化、若手技術者の人材育成、ICT技術の導入などを通じて、技術力の維持・向上を図ることが重要です。

5.従業員・取引先との信頼関係の維持

承継後も従業員の雇用や取引先との関係を維持するため、事前の説明や条件の整備に加え適切な情報開示が不可欠です。安心感を与えることで、社内外の混乱を防ぎます。

6.企業価値の見える化と磨き上げ

財務状況や経営課題を整理し、企業価値を高めることで、後継者や買い手にとって魅力的な企業となります。赤字企業であっても改善計画を立てることで承継の可能性は広がります。

さいごに

建設業の事業承継は、業界特有の制度や人材要件が関わる複雑なプロセスです。
しかし、早期からの準備と専門家の支援、そして支援制度の活用によって、円滑かつ効果的な承継が可能になります。
事業承継は単なる経営者交代ではなく、企業の未来を築く重要な経営判断です。
技術と人材を守り、次世代へと価値をつなぐために、できるだけ早期から準備を始めることが成功への第一歩です。

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