賃金ベースアップの目的を明らかにしたうえで、
自社にとって最適なベースアップを行う

賃金ベースアップとは?
ベースアップとは、基本給のベースを上げることであり、全社員が評価、勤続年数等に関わらず一律で昇給する事を指す。厚生労働省では、ベースアップとは「賃金テーブル等の改定により賃金水準を引き上げること」と定義している。べースアップの目的は、実施企業によって様々ではあるが、一般的に社員の基本給(ベース)を引き上げる事によりインフレや物価上昇の中でも安定的な生活を守るために実施されることや、人手不足に伴い採用力強化を目的に初任給水準引上げに伴い実施されるケースが多い。
2024年は、新型コロナウイルスによる人手不足や政府からの賃上げ要請等の理由により、厚生労働省が8月に発表した「2024年民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」によると賃上げ率(定期昇給とベースアップを含む)は5.33%であり、1991年以来33年ぶりの結果となっている。
このような背景を踏まえ、ベースアップを検討する企業は多いのではないだろうか?本コラムでは、実際にどのような手段で各社賃金ベースアップを進めているのか具体的な方法を踏まえて解説する。

賃金ベースアップの具体的方法
賃金ベースアップの検討方法は大きく分けると以下の2つある。
1. 賃金原資増額型
この方法は、一般的なベースアップである。
全社員一律に一定額を基本給で昇給させるため、ベースアップ金額が賃金原資の増額に繋がる。
分配方法については、全社員一律の企業もあれば、等級や一般社員・管理職によって傾斜を付ける企業もあり、ベースアップを行う目的に応じて様々である。
2. 賃金原資チューニング型
この方法は一般的なベースアップとは異なり、賃金の原資そのものは増やさずに各種手当の見直しや賞与水準の見直しを通じて、月給および年収の総額は維持したまま基本給に充当することで、基本給の金額そのものをベースアップする方法である。
例えば、賞与の変動性が高い場合、賞与の一部を基本給に組み込むことにより、これまで以上に生活の安定に繋がる。
また、採用においても初任給をこれまでより高く示すことができることから採用優位性にも繋がる。
賃金原資を大きく増やすことが難しい企業は、この方法を取っているケースが多い。
基本給のベースアップとは異なるが、物価上昇に伴う一時金という形で支給期限を設け、一定期間手当として月給もしくは賞与に組み込むケースもある。
この方法を取ることで既存社員に対する生活の一時的な安定感を担保することに繋がる。
さいごに
ベースアップは、一度行えば後戻りすることが難しく、企業側としては固定費の増額に繋がることから判断することが難しく悩まれている場合が多い。
だからこそ何のためにベースアップを行うのか目的を明確にし、業界・業種・地域別の賃金水準と自社の賃金水準を比較した上で、どの程度ベースアップを行うべきかをまずは検討することから始めていただきたい。
タナベコンサルティングでは、ベースアップを進めるために現状の賃金水準を分析し、企業にとってどの程度ベースアップするべきか、どのような方法を取るべきか等、ベースアップや賃金制度そのものを見直すコンサルティングをするメニューもあり、お困りの場合はぜひ検討していただきたい。
この課題を解決したコンサルタント

タナベコンサルティング
HRコンサルティング事業部
チーフマネジャー山中 惠介
- 主な実績
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- 大手小売業向け人事制度構築コンサルティング
- 製造業向け退職金制度再構築コンサルティング
- 建設業向け定年延長制度設計コンサルティング
- 飲食業向け人事制度構築コンサルティング
- 製造業向け人事制度再構築コンサルティング
- 中堅製造業教育カリキュラム再構築コンサルティング
- 福祉法人人事制度再構築コンサルティング
- 学校法人人事制度再構築コンサルティング