人事コラム
人事制度

中途採用者の賃金はどう設定すべきか

中途採用(キャリア採用)時の適切な賃金設定が、人材確保、企業の競争力を左右する

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中途採用者の賃金はどう設定すべきか

市場の変化に対応し、柔軟かつ公平な給与体系を構築することが、
企業の持続的な成長に繋がる

中途採用市場の現状

中途採用市場の現状

中途採用市場は、現在の労働市場の変化から、大きな転換期を迎えています。その背景には、生産年齢人口の減少が一つの要因です。

生産年齢人口の減少により、労働力の供給が限られ、企業にとっては人材確保がますます困難になってきています。この状況下で、中途採用市場は重要な役割を果たしています。新卒採用だけでは補いきれない人材不足を、中途採用によって補完する必要があるためです。

このような環境においては、即戦力となる中途採用者を積極的に獲得しようとする企業が増加するため、競争はより激化していくことが考えられます。特に、デジタル技術や専門的なスキルを持つ人材の需要が高まっており、これらの人材を引き付けるために、企業は従来の賃金体系や雇用条件を見直す必要があります。

中途採用者は即戦力としての期待が高まる一方で、前職での経験やスキルに見合った報酬を求める傾向があります。また、キャリアの次のステップを考える際に、報酬だけでなく、職場環境や成長の機会も重視しています。このようなことから、企業は単に給与面を重視するだけでなく、雇用条件を総合的に整備し、多様な働き方の推奨や、キャリア開発の機会の提供など、魅力的な職場環境を作ることが求められています。

適正な給料設定の基準

(1)スキルと経験の評価

中途採用者の給料は、彼らの持つスキルセットや業界での経験年数に基づいて設定する必要があります。具体的には、採用者が持つ専門知識や技術、過去の実績を詳細に評価し、それに見合った報酬を提示することが重要です。これにより、企業は適切な人材を適正なコストで確保し、組織の競争力を高めることができます。

(2)業界標準との比較

給料設定においては、業界標準や競合他社の給与水準を参考にすることが重要です。市場調査を通じて、同業他社がどのような給与を提示しているかを把握し、自社の給与水準が市場と比較して適正であるかを確認する必要があります。これにより、企業は市場競争力を維持しつつ、優秀な人材を惹き付けることができます。

内部公平性と市場競争性のバランス

内部公平性と市場競争性のバランス

(1)内部公平性の確保

既存社員との給与バランスを考慮し、内部公平性を保つことが重要です。新たに採用する中途社員の給与が既存社員と大きく異なる場合、社内での不満が生じる可能性があります。これを防ぐためには、給与体系を透明にし、全社員が納得できる基準を設けることが求められます。給与体系が一定期間メンテナンスされていない企業様においては、抜本的な見直しも必要です。

(2)市場競争性の維持

一方で、外部市場における競争力を維持するためには、柔軟な給与設定が必要です。特に、希少なスキルを持つ人材には市場価値に応じた報酬を提供することが求められます。市場の動向を常に把握し、必要に応じて給与水準を見直すことで、企業は優秀な人材を惹き付け、採用することができます。

給料設定プロセスの透明性

(1)透明性の高いプロセスの重要性

評価基準や賃金の決定プロセスを透明化することで、採用者は自分がどのように評価され、どのような基準で給与が決定されたのかを理解することができ、採用者の信頼に繋がります。

(2)透明性を高めるための具体的なプロセス

STEP1:評価基準の公開
給与決定に関わる評価基準を採用者に説明し、どのような要素で給与を設定しているかを明確にします。

STEP2:給与レンジの提示
業界標準や競合他社の給与水準に基づいた給与レンジを提示し、自身の給与が市場と比較してどの位置にあるのかを採用者に把握できるようにします。 また、提示する給与レンジの根拠についても説明し、採用者に納得感を与えることも重要です。

STEP3:透明なコミュニケーション
給与に関する質問や懸念点に対して、オープンに対応し、採用者が安心して交渉できる環境を整えます。また、採用プロセス中にも採用者にフィードバックを提供し、採用者の評価がどのように行われたかを把握してもらうことが重要です。

STEP4:給与決定プロセスの文書化
給与決定のプロセスを文書化し、関係者全員がそのプロセスを理解できるようにします。必要に応じて、採用者にプロセスの概要を共有し、透明性を高めることも必要です。

給料決定におけるコミュニケーションの方法

給料決定におけるコミュニケーションの方法

(1)オープンな対話の促進

給料交渉の際には、オープンな対話を促進し、採用者の期待や不安をしっかりと理解することが重要です。採用者が何を求めているのか、どのような条件であれば納得できるのかを把握することで、より効果的な交渉が可能となります。

(2)柔軟な交渉の実施

給料に関する交渉は、柔軟性を持って行う必要があります。採用者のニーズに応じたオファーを提示することで、採用成功率を高めることができます。例えば、給与だけでなく、福利厚生や勤務条件など、総合的なパッケージを提案することで、採用者の満足度を高めることができます。

さいごに

中途採用時の賃金決定は、企業の競争力を左右する重要な要素です。適正な給料設定を行うことで、企業は優秀な人材を確保し、組織の成長を促進することができます。市場の変化に対応し、柔軟かつ公平な給与体系を構築することが、企業の持続的な成長に繋がります。
労働市場の変化に対応し続けるためには、企業は常に市場動向を把握し、柔軟な賃金戦略を採用することが求められます。特に、デジタル化やグローバル化が進む現代においては、企業は新たなスキルや知識を持つ人材を積極的に採用し、組織の競争力を高める必要があります。これにより、企業は変化する市場環境に適応し、持続的な成長を実現することが可能になります。

この課題を解決したコンサルタント

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