エンゲージメントが注目されている背景
エンゲージメントが注目される背景には、社員の満足度や生産性の向上、企業の競争力強化、そして組織全体の成果や成長の促進などがあります。近年、社員のエンゲージメントが高い企業が成長している場合が多く、エンゲージメント取り組む重要性が向上してます。また、働き方の多様化やミレニアム世代の参入により、従来の働き方や組織文化に対する意識が変化しています。
だからこそ今一度、企業と個人の関わり方について見直し、自社のエンゲージメントレベルがどの程度であるかを定期的に計測し、改善に繋げていくことが重要となります。社員の企業に対する帰属意識を高め、企業全体のパフォーマンス(成果)を向上に繋がります。本コラムでは、エンゲージメントの取り組みポイントについて解説します。
低エンゲージメント企業の特徴と改善ポイント
低エンゲージメント企業になってしまった背景は様々考えられますが、よくある傾向と改善ポイントについて紹介します。
1.コミュニケーション不足
(1)課題
上司やマネージャーとのコミュニケーション不足が、社員のエンゲージメントを低下させる要因の一つとなります。
仕事を軸にしたフィードバックや企業の方向性に対する情報共有が行われないと、社員は自分の役割や組織に対する貢献が感じづらくなります。
(2)改善ポイント
定期的なフィードバックの場を設けることや、継続的に話せる機会を設けることがポイントとなります。
例えば、定期的な1on1ミーティングの場や、評価制度を軸にした面談機会の設定などが挙げられます。
注意すべきは上司からの一方的な話ではなく、部下の話に耳を傾ける(傾聴)が重要となります。
2.成長機会の不足
(1)課題
自己成長や将来に対して不安を感じる状況は、エンゲージメントを低下させる要因になります。キャリアパスが不透明であったり、研修を通じた能力開発の機会が少ない場合、キャリアや将来設計ができず退職に繋がる場合もあります。
(2)改善ポイント
教育カリキュラムやキャリアパスの設計はもちろん、ロールモデルとなる人材を戦略的に育成することで部下・後輩のキャリアの道しるべとなり、イメージがしやすくなります。
3.外発的な動機(外からの刺激によるモチベーション)により働いている場合
(1)課題
賃金を含む処遇や罰則、怒られるという不安を動機とした仕事は、モチベーションが短期的であり、組織との関わり方が限定的で希薄になる傾向にあります。
(2)改善ポイント
事業活動を通じて社会に対して何を提供しているのかなど、今一度貢献価値を明らかにすることが内発的な動機付け(内から湧き出るモチベーション)に繋がります。他にも就職活動において、なぜ自社を選んだのかを再度思い起こすことも効果的です。
さいごに
エンゲージメントの結果を踏まえ、エンゲージメント向上に向き合うことは、企業成長の推進力へと繋がります。
この取り組みによって、社員は自らの課題や不満をオープンに表現できる環境が整い、組織との信頼関係が築かれます。
その結果、企業は社員のニーズは関心に対応し、成長と発展の機会を提供することが可能になります。結果として社員のエンゲージメントを向上させ、前向きな企業文化を築くことに繋がります。
タナベコンサルティングでは、エンゲージメントを測るオリジナルの「Engagement KARTE (エンゲージメントカルテ・エンゲージメントサーベイ)」を開発しました。【図1】
直接的にエンゲージメントを測る①カルチャー(愛着)、②仕事エンゲージメント(熱量)、③組織エンゲージメント(信頼)の3つの指標に加え、④業績(成果や結果)との利害関係を導くパフォーマンス(成果)指標を設けており、人材投資効果を可視化し、課題の改善傾向を評価できる仕組みとなっています。四半期を目安とした比較的短いスパンでの実施を推奨しており、定期的に組織状態を把握し改善を繰り返すことで、人的資本経営の実践にご活用いただけるものとなっています。
本コラムが、企業のエンゲージメント向上を考えている皆様の参考になれれば幸いです。
図1:タナベコンサルティングの捉えるエンゲージメントの体系図
この課題を解決したコンサルタント
タナベコンサルティング
HRコンサルティング
コンサルタント稲垣 咲香
- 主な実績
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- 中堅電機工事業:人事制度運用支援、採用戦略
- 中小物流業:人事制度再構築コンサルティング
- 中小商社:人事制度再構築コンサルティング