今ある経営資産やブランド資産を有効に活用できている企業は多くはありません。市場の変化に合わせ、時流に合ったブランドへ、アップデートさせること(=リブランディング)が求められています。
自社ブランドは、市場の変化に取り残されていませんか?
マーケットインの観点で、自社ブランドを見直そう。
時代に合わせたブランド価値を見出す
「昔はシェアNo.1」「我が社の商品を知らない人はいなかった」「行列が絶えなかった」・・・など、過去の成功に引きずられてしまい、現代のマーケットに取り残されてしまっている場合、リブランディングの実施を検討したほうが良いでしょう。その上で重要なのが「マーケットイン」の観点で自社のブランドを見つめ直すことです。歴史あるブランドほど、「プロダクトアウト型」であることが多くあります。市場(消費者)に向けたマーケットイン型の視点で時流に合ったブランドの価値を再発見していかなくてはいけません。
高度経済成長期からバブル崩壊にかけては、市場全体が「プロダクトアウト型」であっても市場の消費は右肩上がり、各企業の技術力向上により、市場のニーズよりも企業の技術力革新を求めた消費行動が強い傾向がありました。
しかし、モノからコト消費へシフトし始めた2000年代後半からは、かつての正攻法が通用せず、いかに消費者のインサイトに寄りそった「マーケットイン型」で市場を捉え発信することが求められます。認知度や商品力・サービス力が優れているから問題ない、という油断が衰退の一途を辿ることに成り兼ねないのです。
リブランディングの実施は自社の歴史(原点)を知る良い機会
これまでの歴史を振り返り、ブランドの現在地を知る
ブランドの強みを見直すことは、ブランド価値の再発見に繋がる
リブランディングにおいて最初に実施するのが「現状認識」です。マーケットインの観点を取り入れる前に、まずは自社ブランドの強みを見出す(磨き直す要素)を発見することが重要なフェーズとなります。
現状認識では、自社の存在意義および自社の歴史を振り返り、誰にも真似することのできない固有技術や強みの要素となるヒントを導き出す糸口となります。まさに、「過去を肯定し、現状を否定し、なりたい未来を描いていく」バックキャスティングアプローチで自社の歩みを振り返っていきましょう。
歴史を振り返り自社の強み(磨き直す要素)と合わせて検討していくべきことが、「競合分析・市場分析」です。前段の記載の通り、「マーケットイン」の観点からブランドの強みを市場に受け入れられる内容にできるかがポイントになります。
ここで重要視したいのが「市場調査」です。市場調査は、自社にとって時には耳が痛くなるような結果が出るとしても真摯に市場の変化を捉え対応することが求められます。いかに顧客のインサイトを掴み、自社の強みをぶつけることができるマーケットがどこにあるのかを見定めることが重要です。
「顧客の老化」は「ブランドターゲット」の見直しが急務
ブランドターゲットの若返りや成長市場を狙う
新たな世代に伝えるブランドストーリーを設計しよう
ブランドの陳腐化には「顧客の老化」の側面があります。時間が経過しているブランドであるほど、顧客の年齢も上がっていきます。若者のブランドがいつの間にか高齢者のブランドに変化しているブランドも少なくはありません。
ここで取り組むのが「ブランドターゲット」の見直しです。例えば自社の商品(サービス)のロイヤルカスタマーの過半数が60代以上の場合、現在の売上を支える世代が20〜30年後も同じく購買をしているかは不透明です。30代や40代の少し若い年齢層にターゲットを再設定することが求められます。
新たな世代に伝えていく上で念頭に置きたいのが、若年層の価値観や行動様式が今までのターゲットとは異なることを理解することです。例えば、1980~2000年代初頭に生まれた世代は「デジタルネイティブ」と呼ばれ、生まれた時からPCなどのデジタル機器がある環境で育っており、スマートフォンやSNSでのコミュニケーションが当たり前です。こうした世代を狙っていく場合はストーリー設計から自社の強みを伝えるブランドストーリー、タッチポイントをターゲットの特性に合わせてブランディング活動を行うことが必要不可欠です。
リブランディングは長期的かつ組織的な取り組み
ナンバーワンブランドは1日にして成らず
全社員を巻き込んだリブランディング活動を目指そう
リブランディングを推進していく上で、前提として認識しておきたいことは「リブランディングは長期的かつ組織的な取り組みである」ことです。自社の歴史を振り返るとわかるように、自社の今が存在するのは長きに渡り事業を続けてきた経年の産物です。またリブランディングを推進した翌月から成果がでるものではなく、現状の分析から、ストーリーの設計、ブランディングプロモーションの実施を時間軸で見ていくと、最低でも3年〜5年をかけて取り組んでいく必要があります。まさに、「ナンバーワンブランドは一日して成らず。」です。
リブランディングに成功している企業の特徴に、「全社員」を巻き込んだ1つの「経営活動」としてリブランディングを実践する企業が多いです。裏を返せば、広報など一部メンバーと経営層で進めるだけでは、外部(アウター)からの見え方は整えられても、顧客と接する機会の多い現場の社員(インナー)のブランドに対する理解が乏しくなり、効果的にリブランディングが出来ていないことになります。
リブランディングは一人ではできません。組織全体が一丸となり、リブランディングを行うことすなわち経営活動として取り組むことが重要です。
上記の通り一筋縄ではかない部分がありますが、本コラムをきっかけに、ぜひ自社の歴史や事柄を見直し、新たな世代や市場に向け、温故知新の観点でのリブランディングの参考にしてください。
リブランディングについてもっと詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。
・リブランディングの進め方とは?
・リブランディングの目的や成功のポイントを解説
タナベコンサルティングでは、お客様のリブランディングを成功に導くために、ブランドの現状分析から、施策実行、効果測定まで一貫して行います。タナベコンサルティングでのリブランディング事例については、下記記事で詳しくご紹介しています。
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