消費者の意識の変化や市場の競争激化により、より一層ブランディングに取り組む企業が増えてきています。しかし、「いったい何から始めたら...」とお悩みの方も多くのではないでしょうか。そんな時には、まず「そもそも自社のブランド価値は何だろうか?」と考えてみるのはいかがでしょうか。
ブランドの本質的な価値を明確にする
ブランド資源の棚卸をしよう
ブランド活動を最大化するためには、不易である企業の経営理念に基づき、自社の目指す姿や提供したい付加価値(ブランド価値)を明確にしていくことが大切です。ブランド価値を考える際は、あらゆる角度からブランドの資源を見つめなおし棚卸することで、他社にはない自社のブランド価値を見つけ出せるとよいでしょう。競合分析はもちろんのこと、ブランドイメージ・認知度調査など様々な要素から、ブランドの強み・弱みを正確に把握します。そして、競合他社と差別化するブランドの本質的な価値を明確に設定していきます。
本コラムでは、そのブランド価値を構築する際に活用できる3つの視点について、身近にある企業を例にわかりやすくお伝えします。
ブランディング戦略の全体像については、下記の記事で詳しく紹介しております。
「ブランディング」実現のための、"ブランドビジョン&ブランド戦略"
ブランドが選ばれる主な基準
ブランド価値を構築する3つの視点
ブランドが選ばれる基準は、主に以下3つに集約されるといわれています。
1. 合理性...抱えている問題を解決するサービスや商品がある、願望が実現する
2. 人間性...働いている人に魅力を感じる、組織風土に魅力を感じる
3. 社会性...社会に貢献している
したがって、自社のブランド価値を築くためには、以下の3つの視点で整理するとよいでしょう。
1. 専門価値
ブランドが持つ専門知識や技術力を表現します。この価値は、製品やサービスの質を高める要因であり、顧客に対する信頼性や安心感を提供します。専門性が明確であればあるほど、ブランドは競合他社と差別化され、顧客の選択肢としての地位を確立しやすくなります。
(例)市場創造型:新たな市場を想像し、ファーストブランドとなる
2. 人材価値
ブランドを構成する人々(社員、経営者、サポートスタッフ)の能力や個性を指します。優れた人材がブランドの顔となり、顧客との接点でポジティブな体験を提供することが重要です。良好な企業文化やチームの協力も人材価値の一環であり、これがブランドの評判や認知度向上に寄与します。
(例)人材育成型:その企業で働く社員がブランドとなる
3. 社会価値
ブランドが社会やコミュニティに対して持つ影響力や貢献度を表します。持続可能性や社会的責任を重視する現代の消費者にとって、企業の社会的な取り組みはブランド選択の重要な要素です。社会価値を高めることで、顧客の忠誠心や共感を得やすくなり、ブランドの長期的な成功につながります。
(例)SV型:社会貢献の理念を実践し、企業ブランドを高める
どの部分が強みとなりそうか、3つの視点をもとに分析・検討をしていくと良いですが、これらの3つの価値はすべてある必要はありません。

ブランド価値をMAKUAKEで考える
独自のポジションを確立するMAKUAKE
株式会社MAKUAKEとは、日本のクラウドファンディングプラットフォームで、革新的な商品やプロジェクトを支援するための場を提供しています。個人や企業がアイデアを発表し、資金を募ることができ、支援者は製品を先行購入したり、リターンを受け取ったりします。クリエイターと支援者をつなぎ、新たなビジネスや文化の創出を促進している企業です。
MAKUAKEを3つのブランド価値で考える
MAKUAKEのブランド価値は、一番に「専門価値」、その次に「社会価値」であると私は考えています。
まず、「専門価値」について、プロジェクト実行者を掲載前の商品開発から掲載後のプロモーションまで一連の流れを伴走して支援する、コンサルタントのような立場である「キュレーター」と呼ばれる独自のポジションをMAKUAKEはつくっています。
これにより「MAKUAKEには知見がある、サポートが手厚い」というパーセプション(ブランドをどう認識しているか)をもたらし、複数あるクラウドファンディングの中でのMAKUAKEへの掲載利用の動機付けを醸成しています。そして、革新的な商品が多く生み出されることにより、消費者の利用にもつながっています。
そして、「社会価値」については、日本全国の地域には革新的な技術を持ちながらも、活かしきれていない企業が多く存在します。MAKUAKEは、優れた技術や製品を持つ中小企業の活躍、日本のモノづくりや地方の活性化、伝統技術や文化を守るといった社会課題の解決へ貢献しています。
上記の通り、ブランド価値が明確であるMAKUAKEは、クラウドファンディング後発組でありながら、単なるプラットフォームではなく、独自の価値でのブランディングに成功している企業と言えます。
ブランド価値を構築する3つの視点で考えたときに、自社はどこに、どんな強みがあるのか、この機会に改めて分析してみてはいかがでしょうか。
AUTHOR著者
ブランド&PRコンサルティング事業部
コンサルタント
野口 菜々絵
印刷会社での販促プロモーション支援、医療機器フランチャイズチェーンでマーケティングコミュニケーションの計画策定から実行推進・新製品ブランディングに従事した後、当社に入社。サイト構築・WEB広告・SNS運用などを強みとし、データドリブンに基づいた分析・改善を行う。上級ウェブ解析士、SEO検定1級、SNSマネージャーの資格を持つ。

