動画は視覚と聴覚を同時に刺激するため、情報伝達の効率が高く、視聴者の記憶に残りやすいという特性があります。本コラムでは、企業でも急速に活用がすすむ、動画を活用するメリットとその具体的な活用方法について考えてみたいと思います。
企業における動画活用の背景
進化するデジタル技術
インタラクティブなコンテンツを好む消費者
企業における動画活用の背景には、個人が気軽に映像を見られるようになったことがあります。インターネットの高速化やスマートフォンの普及により、動画コンテンツの視聴が容易になり、また、YouTubeやInstagram、TikTokなどのプラットフォームの台頭により、動画はソーシャルメディアでの主要なコンテンツ形式となっています。
グーグル日本法人によると、2023年5月時点におけるYouTubeの18歳以上の月間視聴者数は7,120万人を超えており、そのうち45〜64歳が2,680万人と、視聴層が若年層だけではない広がりも見せています。
これらのことから、企業は動画を通じて広範なオーディエンス(視聴者)にリーチできるようになっており、活用がすすんでいます。
その他にも、現代の消費者がテキストよりも視覚的なインタラクティブなコンテンツを好む傾向があり、動画は短時間で多くの情報を伝えられるため、消費者のニーズと合致していることや、手軽な機材や編集ソフトの普及により動画制作のコストが以前に比べて大幅に低下していて、低予算でも高品質な動画を制作できるようになったことなどが考えられます。
企業が動画を活用するメリット
正しく伝わるブランドイメージ
感情を刺激し、共感をよぶ
続いて、企業が動画を活動するメリットを考えていきます。
メリット1. 情報伝達の効率化
画像はテキストの7倍、動画はテキストの5,000倍の情報訴求力をもつと言われています。より短時間で多くの情報を伝えることができる動画は、視覚と聴覚を同時に使うことで、視聴者の理解を深め、記憶に残りやすくします。
メリット2. ブランドイメージの向上
高品質な動画コンテンツは、企業のブランドイメージを向上させる効果があります。個人による説明だと属人化する可能性がありますが、プロフェッショナルな動画は、企業やブランドのイメージ(信頼性や専門性)を正しく伝えることができます。
メリット3. エンゲージメントの向上
ストーリー性のある動画は視聴者の感情を刺激し、共感をよび、エンゲージメントを高める力があります。ソーシャルメディア上でのシェアやコメントを促進し、顧客との双方向のコミュニケーションを活性化します。
動画の具体的な活用方法
マーケティングとプロモーションに有効
ブランド価値を高める
続いて、動画の使用シーンをご紹介していきます。
1. マーケティングとプロモーション
製品紹介やキャンペーン動画は、視覚的に製品の特徴や利点を伝えるのに最適です。ストーリーテリングを活用することで、視聴者の感情に訴えかけ、購買意欲を高めます。
(1)自社HPや動画サイトでの活用
自社HPや動画配信サイトでの公式チャンネルへのアップで、よりインパクトのあるものとして、視聴者に伝えることが可能です。
(2)広告での活用
CMやWEB広告・デジタルサイネージなど、幅広い場所で使用することができ、静止画に比べて目を留めてもらいやすくもなります。
(3)営業活動での活用
商談のなかで動画コンテンツをみてもらったり、メールの署名に公式YouTubeリンクを貼るなどして、より商品やサービスを訴求することができます。
2. ブランディング
動画は、企業や製品のブランドイメージを構築・強化するためにも有効です。良質な動画は、ブランドの価値を高め、顧客との深い関係を築くために重要な役割を果たします。
(1)採用ブランディングでの活用
社員へのインタビュー動画や業務風景などを動画にすることで、求職者により身近に感じてもらうきっかけとなります。また、リアルな姿を伝えることによって入社後のミスマッチを減らすことにも繋がります。
(2)インナーブランディングでの活用
自社の理念やビジョンなどを改めて知ることで、従業員のモチベーションアップへ繋げることができます。規模の大きな企業であれば、トップや幹部による動画出演が、普段関わりの少ない上層部と社員の意識共有の場になるでしょう。また、動画制作により改めて自社のことを深く考える機会ができ、制作過程自体が良質な社内コミュニケーションの発生となる面もあります。
(3)顧客サポートでの活用
FAQや製品の使い方を説明する動画は、顧客の疑問を迅速に解決し、満足度を向上させます。視覚的な説明は、テキストよりも理解しやすく、顧客のサポートコストを削減する効果もあります。
動画制作のポイント
ターゲットを明確に
クオリティを大事に
次に、動画制作のポイントを紹介します。
1. ターゲットの明確化
動画を制作する際は、ターゲットオーディエンスを明確にし、そのニーズや関心に合わせたコンテンツを作成することが重要です。
2. クオリティの確保
視聴者の信頼を得るためには、動画のクオリティが重要です。プロフェッショナルな撮影や編集を行い、視覚的に魅力的なコンテンツを提供しましょう。
3. プラットフォームの選定
動画を配信するプラットフォームを選定する際は、ターゲットオーディエンスがどこにいるかを考慮します。YouTubeやInstagram、LinkedInなど、適切なプラットフォームを選びましょう。
最後に
動画は、企業の情報伝達やブランディング戦略において、非常に効果的なツールです。適切に活用することで、ブランドイメージの向上や顧客とのエンゲージメント強化・社内エンゲージメント向上などを実現できます。今後も、動画活用の重要性は増していくと考えられますので、各企業においては、このトレンドを積極的に取り入れて動画活用に取り組んでみてください。
AUTHOR著者
ブランド&PRコンサルティング事業部
チーフコンサルタント
三浦 さくら
クライアントの強みを生かしながら顧客体験価値を向上させるプロモーション戦略の立案やインナー・アウターブランディングツールの製作を通じ、クライアントと顧客のコミュニケーションモデル構築の支援に携わっている。エンドユーザーを意識し、クライアントのブランドの魅力を伝えられるご提案を目指している。

