さまざまな方法で「推し」を応援し(時に課金し)、喜びや元気や幸せ(たまにダメージも)を享受し、日々の彩りや生きがいとしながら経済を循環させる―
そんな推し活の市場規模は2023年度の予測では8000億円とも言われ、巨大なマーケットとなっています。
※出典:株式会社矢野経済研究所/『オタク』市場に関する調査(2023年12月27日発表)
巨大な「推し活」マーケットからブランディングを学ぶ
単なる好きという感情を超えた「推し」の対象として、アイドルやアーティスト、作品やキャラクター、コンテンツなどが挙げられることも多いですが、商品や企業などに対しても、「見かけたら必ず買ってしまう」「新商品が出れば即買ってしまう」「人にお勧めしたい!」というような「推しブランド」があるという生活者も少なくありません。
何かを「好き」になり、やがて「推し」となるプロセスは、自社商品や企業のブランディングにおいても共通することが多く、また学ぶ要素も非常に多くあるのです。
「好き」と「推し」の違いとは?
そもそも、単なる「好き」と「推し」の違いはどこにあるのでしょうか。
(100人いれば100通りの答えがありそうですが)"唯一無二かどうか""熱量があるか"という点は大きな違いと言えるのではないかと思います。
代替が利かない。何よりも優先順位が高い。突然なくなったら困るというよりむしろ悲しい。
つまり、「推される」ブランドになるということは、"熱量の高いファンが唯一無二の存在として、高優先度で支持をしてくれる"ブランドになるということです。
熱量の高さから、能動的に人にお勧めしてくれたり、SNSで紹介や拡散をしてくれたりというアクションも期待できます。
唯一無二の存在なので、競合ブランドには目もくれず、常に指名買いをしてくれるかもしれません。
そしてその人たちが増えれば増えるほど、その熱量が高まるほど、多くのブランドが目指している特定カテゴリーの第一想起群に入る可能性が高くなる、とも言えるでしょう。
「推される」ことは、ブランドとして理想的な到達地点の一つであると考えられます。
利益を生み、社会的価値を創造する「推される」ブランドを目指す
自社のブランドがどのようなポテンシャルを秘めていて、どう認知され、興味・関心フェーズを経て、共感を得て、熱量を持ったファンダムを形成し、唯一無二の存在=「推し」となっていくのか―
社内外のリソースを使いながら、現状をフラットに認識し、立てた戦略をもとにプロセスをどうデザインするかは、「推される」ブランド構築のカギとなります。
そして何より、「推し活」を通じて生活者が喜びを感じたり幸せな気持ちになったりすることは、社会的価値の創出と言えるかもしれません。
多くの人から「推される」ブランドが自社の利益を生みながら、同時に社会的な価値も生み出すこともできるとするならば、目指さない理由は無いのではないのでしょうか。
コモディティ化しているカテゴリーにあるブランドこそ、より多くの人から「推されるブランド」を目指すことを強く推したいと思います。
AUTHOR著者
ブランド&PRコンサルティング事業部
チーフマネジャー
太田 未来
女性向け媒体企業で、新規メディアの立ち上げ、IP(知的財産)開発、広告企画などの業務を経験し、当社へ入社。BtoC企業のアウターブランディング・プロモーション・コミュニケーション戦略など、顧客とのコミュニケーションモデルをデザイン・プランニングし、支援している。