事業承継はいつから考える?ポイントを解説
- 事業承継
閉じる
事業承継は、企業の存続と発展において極めて重要なプロセスです。適切な事業承継が行われないと、会社の存続に危機が生じるだけでなく、従業員や取引先、顧客にも大きな影響を及ぼします。しかし、多くの経営者は日常業務に追われ、事業承継の準備を後回しにしがちです。本コラムでは、事業承継をいつから考えるべきか、そのポイントについて解説します。早期に事業承継を考えることで、スムーズな移行が可能となり、次世代への確実なバトンタッチが実現できます。
事業承継は早めに考えることが望ましい、その理由とは
リスク・時間・安心感の3つの重要な理由
事業承継を早期に考えることは3つの理由から重要になります。
まず第一に、リスク管理の観点からです。経営者の急病や事故、予期せぬ事態により突然の事業承継が必要となる場合、準備が不十分であれば混乱を招きます。早期に準備を進めることで、こうしたリスクに備えることができます。特に、中小企業においては、経営者の存在が会社の存続に直結するケースが多いため、リスク管理の重要性は一層高まります。
第二に、後継者育成のための時間を確保することです。事業承継は単に役職を引き継ぐだけでなく、企業文化や経営ノウハウ、取引先との信頼関係など、多岐にわたる要素を継承する必要があります。これらを一朝一夕で学ぶことはできません。後継者が実務を通じて経験を積み、経営者としてのスキルを身につけるためには、一定の時間が必要です。早期に後継者を育成することで、将来的な移行がスムーズに進むことが期待されます。
さらに、知識とノウハウの円滑な引継ぎも重要なポイントです。長年にわたり培われた経営者の知識やノウハウは、書類やマニュアルだけでは伝えきれない部分が多々あります。そのため、タナベコンサルティングでは、「語り継ぐ経営」と称して、次世代への承継を重要性を説いています。また、経営者が持つ人脈や信頼関係も重要な資産です。これらを次世代に引き継ぐためには、経営者と後継者が共に動く期間が必要です。
最後に、早期準備は心理的な安心感をもたらします。経営者が安心して事業に専念できる環境を整えることで、会社全体のパフォーマンス向上にも寄与します。経営者自身が「いつでも安心して引退できる」と感じられることは、事業運営の安定化に繋がります。
事業承継を検討し始めるタイミングとは
事業承継を検討し始めるタイミングは、経営者の年齢や健康状態、会社の業績などにより異なりますが、一般的には以下のような状況が目安となります。
まず、業績が安定期に入った時が一つのタイミングです。事業が順調に進んでいる時にこそ、冷静に将来を見据えた準備ができます。逆に、業績が悪化している時に事業承継を考えると、後継者に過度な負担をかけることになりかねません。
次に、後継者の成長と準備が整った時です。後継者が十分な経験を積み、自信を持って経営を担える状態になった時が、事業承継を進める好機です。経営者としての資質を見極めるために、一定期間の準備が必要です。
また、経営者自身のライフイベントや健康状態も重要な要素です。定年退職や家族の事情など、個人的な要因も考慮してタイミングを決めることが求められます。事業承継は一朝一夕には成し得ないプロセスであるため、早期に計画を立て、段階的に進めることが望まれます。
事業承継のステップからの逆算で考える
事業承継にはいくつかの具体的なステップがあります。そのステップイメージから逆算して事業承継を考えることもアプローチのひとつとしては良いでしょう。
まず、事業承継計画の策定です。現在の状況を把握し、目指すべき目標を明確にします。後継者の選定基準や育成プログラム、財務状況の整理などを含む詳細な計画を立てることが重要です。
次に、後継者の選定と育成です。適切な後継者を選ぶことは、事業承継の成功の鍵となります。選定後は、実務を通じて経験を積ませるとともに、経営に関する知識を教育します。後継者は事業責任者としての実績と経験はあるはずですが、経営責任者としてはこれからです。外部研修や経営者との対話を通じて、リーダーシップや判断力を養うことが重要です。
さらに、財務面の整理と準備も欠かせません。後継者がスムーズに経営を引き継げるように、株主構成や財務状況を整理し、必要な資金を確保する必要があります。特に株主構成については、後継者が判断・決断を行うために適切な株式数を確保できるかどうかがポイントです。株式が分散していないか、事業に関係の薄い株主がいないかを事前に整理すべきです。また、事業承継税制の活用や資産の見直しを行い、法的な手続きをスムーズに進めるための準備を整えます。
事業承継のステップと合わせて、成功のためのポイントも確認しておきます。
事業承継を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。まず、透明性の確保と情報共有が重要です。経営陣や従業員、ステークホルダーとの間で情報を共有し、事業承継のプロセスを透明にすることで、不安や混乱を防ぎます。また、専門家の活用も有効です。事業承継のプロセスには法務や税務の専門知識が必要な場合が多いため、専門家の助言を得ることで円滑に進めることができます。
最後に、経営理念の共有と浸透が重要です。次世代の経営者が企業の理念やビジョンを理解し、それを従業員に浸透させることで、企業文化を維持し、持続的な成長を促すことができます。
まとめ
事業承継は経営者としての共通の悩みです。業界、企業の規模に関係なく、全ての企業とその経営者が抱えている問題です。
事業承継は企業の将来を左右する重要なプロセスと再度認識してください。早期に準備を進めることで、リスク管理や後継者育成、知識の円滑な引継ぎが可能となり、企業の安定と発展を支えることができます。適切なタイミングを見極め、計画的に事業承継を進めることで、次世代への円滑なバトンタッチが実現できます。
企業の未来を見据えた事業承継の準備を今から始めましょう。
資料ダウンロード
-
その他
事例に学ぶグループ経営管理高度化のポイント~グループパーパス×グループ経営管理機能=最適グループ経営スタイル~
-
その他
企業価値向上に向けた取り組みについての企業アンケート調査レポート 2024年
-
事例集
TCG REVIEW 1・3・5の壁 中堅企業へのステージアップ
-
事例集
コーポレートファイナンス事例集Vol.1 ホールディングス・グループ経営
-
サービス資料
事業承継MBO支援コンサルティング企画提案書
-
サービス資料
IPO支援コンサルティング企画提案書
-
サービス資料
親族内承継コンサルティング企画提案書
-
サービス資料
事業承継プランニングコンサルティング企画提案書
ウェビナー
関連記事
-
MBOとは?メリット・デメリットを解説
- 事業承継
-
IPOを検討するためのポイントを解説
- 事業承継
-
事業承継に備えるガバナンスの整備を解説
- 事業承継
-
後継者がいない経営者が取るべき承継対策
- 事業承継
-
MEBOとは?メリット・デメリットを解説
- 事業承継