マーケティングにおいて、年々「想起」というテーマを重要視する企業は増加傾向にあります。なぜなら、消費者が商品やサービスを選ぶ際、最初に頭に浮かぶブランドや製品が選ばれる確率が高いからです。では、どのようにすれば、消費者に「想起」される存在となるのでしょうか?今回は、「想起」のためのマーケティングについて考えてみたいと思います。

「想起」とその重要性
消費者は商品を選ぶことにストレスを感じている
早速ですが皆さんは、韓国のインスタントラーメンと言えば何を想像しますか?
私は「辛ラーメン」を一番最初に思い浮かべます。同じだと言う方が多くいるのではないでしょうか。
これは韓国のインスタントラーメンというものに対して、多くの人の中で「辛ラーメン」が、第一に想起されていると言うことです。つまり「第一想起」とは上記のように特定のキーワードに関連して、その商品あるいはブランドが一番に思い出されると言うことであり、そして「想起率」とは、その商品やブランドが特定のキーワードに対して思い出される確率と言うことになります。
それでは、マーケティングにおいて「第一想起」がなぜ大事なのでしょうか?
人が、新しいものを購入する時、何となく一番有名というだけで、その商品を手に取ることは自然の流れだと思いませんか。韓国のインスタントラーメンも色々あってわからないから、とりあえず知っている「辛ラーメン」を食べようかなという理由で、購買につながるのです。
昨今では、ものとそれに付随した情報があふれかえっているために、消費者に商品価値を差別化させて理解してもらうことは難しくなっていると言われています。さらには上記の環境から消費者は「商品を選ぶ」ことにストレスを感じる傾向にあります。その中で「第一想起」されるということは、想像以上に重要なことなのです。
「第一想起」のためのマーケティング
一番最初に具現化する
「第一想起」されるためには、どのようにすればよいのでしょうか?
「第一想起」をされる存在になるためには、まだ、世の中に顕在化していない消費者の潜在ニーズを一番最初に具現化し売り出す必要があります。
「辛ラーメン」では、コロナ禍で韓国旅行に行けないという社会情勢の中、韓国ドラマが流行したタイミングで、本場の韓国を体験したいという潜在ニーズを上手く抽出し、一番最初に具現化したと言えます。さらに「辛ラーメン」の特徴である激辛という味は、万人受けするものではありませんが、今までのインスタントラーメンにはない味の種類でした。
このように、消費者の潜在ニーズを具現化するためには、社会環境と市場状況を掛け合わせる必要があります。
「想起率」上昇のためのマーケティング
複数の単語で「想起」される相乗効果
「辛ラーメン」では、韓国のインスタントラーメンの他に、「辛いラーメン」「韓国の食べ物」というような様々なキーワードで上位に「想起」されます。一つの単語のみで「想起」されるよりも、複数の単語で「想起」されることで相乗的にそれぞれの単語での「想起率」が上がると考えられます。
複数のキーワードで「想起」されるためには、まず既存の商品ユーザーがその商品のどこに魅力を感じて使用しているかを調査し、客観的に商品のニーズを理解した上でその商品と未だ非接触のユーザーに「PESOモデル」を活用し、接触回数を増やすことが必要であると考えます。
※「PESOモデル」についてはこちらのコラムで解説しています。
最後に
「想起」と購買には深い関係性があります。
人の思考や購買行動はなかなか数値化できず、様々な要因も関わっている事から指標を設けることも難しいかと思います。しかしこういった取り組みが無駄になることはないので、ぜひ、マーケティングのテーマとして取り組んでみてください。
AUTHOR著者
ブランド&PRコンサルティング事業部
チーフコンサルタント
岩永 ひなた
ブランディング・PR等のコミュニケーション手法をMIXし、企業のブランド価値最大化の支援を行う。ブランド再構築、SNS支援、動画や販促品の制作等、戦略から戦術までをトータルでサポート。

