コラムをご覧いただきありがとうございます。今回は愛される企業になるためのファーストステップを、PRの視点を交えながら説明させていただきます。PRに力を入れたいけれど何から始めて良いか分からないと悩まれている、PR担当者の皆さまの足掛かりになれば幸いです。

「PR」の認識
パブリックリレーションズとは
皆さんは「PR」と聞いて何を思い浮かべますか?現代の社会において、「PR」という言葉はさまざまな使われ方をしています。
就職活動では「自己PR」が求められ、旅先で土産屋に寄れば「地元の特産品PRコーナー」が有ったりと、主に「アピール」の意味で使われることや、テレビのニュースや新聞に取り上げられることの意味で使う人もいます。どれも間違った使い方ではないため、受け取り方の認識によってPRの意味が異なっています。
今回のコラムでは、「PR」=「パブリックリレーションズ」と定義して話を進めていきたいと思います。パブリックリレーションズとは、2012年に米国PR協会がPRの定義とした「組織とその組織を取り巻くパブリック(利害関係者という意味のステークホルダー)の間で、相互に利益のある関係を築く戦略的コミュニケーションのプロセス」になります。小難しく書いてはありますが簡単にまとめると、「組織とそれを取り巻く人たちとの良好な関係づくり」ということになります。
「PR」と「広告」の違い
「PR」=「LOVE ME」
「PR」について簡単に説明しましたが、「PRの意味は理解したが広告との違いがよく分からない...」と感じている人も少なからずいると思います。PRと広告の違いを理解してもらうために企業(私)と、それを取り巻く人たち(あなた)との関係性を用いて説明をしていきます。
まず、広告ですが基本的に「BUY ME」の構図になります。
「私(企業が保有する商品やサービス)」を「あなた」に購入してもらいたいという構造になり、「私」と「あなた」の関係は商品・サービスが購入された時にのみ成立します。つまり「条件付きの関係」となります。
対して、PRは「LOVE ME」の構図になります。
「私(企業)」の望みは「あなた(ステークホルダー)」と良好な関係を築き、私とあなたは友だちであるという構図になります。このように、PRにおける「私」と「あなた」の関係は平等であり無条件の関係となります。関係構築の裏付けとして、広告は相手の「行動」で把握しますがPRでは「態度」や「感情」で把握することができます。「私」と「あなた」に置き換えて考えることで広告とPRの違いが理解できたのではないでしょうか。

「LOVE ME」の関係になるために必要なこと
あなたは、どう思われていますか
前段で説明した「LOVE ME」の関係になるためには、まず何をするべきか。それは自社から発信している情報に対して世の中がどのような「反応」を起こしており、どのような「評価」をしているかを常に把握することです。なぜなら、相手の反応や評価は自分が相手に「どう思われているか」によって変わるものだからです。
例えば、普段から怒りっぽい人が不機嫌になっていても「いつものことか」と思い、気にする人は少ないと思います。しかし、普段温厚で優しい人が不機嫌になっていると「何かあったのかな」と心配したり、気になったりのではないでしょうか。これと同じように、企業からの発信も相手次第でいかようにも変わるというわけです。そのため、自社が有効な関係を築きたい相手(好かれたい相手)から「どう思われているか」を把握することが大切なのです。
相手からの「反応」はエゴサでチェック
デジタル時代の現状把握
「LOVE ME」の関係を築くためには、相手から「どう思われているか」を知る必要があると皆さん理解してくれたと思います。それでは、相手からの「反応」を知るためには、何をすればよいのかを解説していこうと思います。それは「エゴサーチ(エゴサ)」です。皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。エゴサーチとはインターネットで自分について調べ、イメージや評判を確認することです。
エゴサーチのメリットを挙げだしたらキリがないのですが、大きなメリットとしては、「ユーザーの生の声が聞ける」「世間からの関心やイメージが分かる」「認知度・人気度を把握できる」の3つがあります。デジタル時代の現状の把握には、もってこいのアプローチということです。
エゴサーチの方法としておすすめなのが「マルチ・エゴサーチ」です。ただ単にインターネットで検索をして終わるのではなく、掲示板やレビューサイト、SNSなど思いつく限りのコミュニティでエゴサーチをすることが重要になります。コミュニティごとに利用する年齢層や属性が異なるため、反応やイメージも異なってくる可能性が高いためです。マルチエゴサーチをすることで多角的な現状認識が可能になります。
また、エゴサーチをしていく中で、どのコミュニティにも共通するキーワードやテーマが見つかるはずです。この共通する部分は多くのステークホルダーが「共感」している「魅力」になります。この魅力を今後の大きな武器(ネタ)としてメディアが注目するほどのインパクトを引き出すには、どうすればよいかを考えていくとワクワクしてくるのではないでしょうか。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。
今回はPRの基本になる、愛される企業になるファーストステップを書かせていただきました。参考になりましたでしょうか。皆さまの会社が「LOVE ME」の関係を築けるよう、心からエールをお送りします。
AUTHOR著者
ブランド&PRコンサルティング事業部
チーフコンサルタント
戸塚 紘平
ブランディング・PR等のコミュニケーション手法をMIXし、企業のブランド価値最大化の支援を行う。SNS支援、動画や販促品の作成等デザインを落とし込んだアウトプット品質に定評がある。

