DXにおける"いぶし銀"RPAを用いて生産性UP&DX風土醸成

コラム 2023.04.03
マネジメントDX 生産性向上 RPA
DXにおける
目次

自社でのデジタル理解やツール活用が定着せず、DXを推進出来ない企業

あらゆる経営施策も現場に実行力が無ければ推進できません。それはDXも同じで、DXビジョンや施策を決めたとしても全員参加でのDX推進とならなければ、企業全体のシンのトランスフォーメーションには至りません。しかし、システムへの理解や導入されるツールの理解は時に難易度が高く感じられ、自社におけるDXを推進できる風土(以下、DX風土)が自社に備わっているかはDX成功のための重要な要素と言えます。今回はデジタルツールとして良く普及しているRPAによってDX推進の一端を担いつつ、さらにDX風土醸成に繋がるための活用のポイントをお伝えしたいと思います。

RPA導入によって業務自動化を推進しながら、全社展開を行いDX風土醸成

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、ソフトウェアロボットを使って、コンピューターを使ったデスクワークなどの業務を自動化するテクノロジーです。コンピューターの画面上における人間の操作を模倣し、システム間で発生するやりとりを自動化し、ロボットが処理を行う技術です。RPAの実装にはいくつかの方法がありますが、今回はスモールスタートからの全社横断的なRPA活用体制確立を通したDX風土醸成について紹介します。

RPA導入のメリット:システム廻りのルーティン業務の自動化

先述の通り、RPAは基本的にはコンピューター上で作動するプログラムであり、システムやオフィス操作、ウェブブラウジングを伴うルーティン業務を自動で処理することを得意としております。RPA自動化のメリットは大きく3つの効果があると整理することができます。即ち、①ヒトの業務時間削減(作業代行)、②業務の正確性向上、③システム処理業務の可視化(処理プロセスの管理)です。
このようにRPAは単純に導入するだけでも、業務のデジタライゼーション化に繋がる改善インパクトの大きい取り組みということは理解頂けるかと思います。
上記の効果は生産性向上という視点ですが、DXという観点においてもRPAは役割があります。それは、①システムリプレイス実行までの次善策となるシステム連携の効率化、②システムからアナログ(入力・出力作業)工程の効率化です。システムへの大規模な投資が伴いやすいDX推進において、コストを抑えつつ確実にデジタライゼーションをもたらせる点ではDX領域における"いぶし銀"な役割とも言えるかもしれません。

RPAへの理解が風土醸成に繋がる

本稿でお伝えしたい一番の効果は、ズバリ従業員主導でRPAを設計運用する段階までRPA推進の取組を昇華させることです。
RPAの特徴は、権限を付与さえすれば誰もが設計し実務に運用することができる点です。具体的には①課題分析から改善プロセス設計スキル、②コード等システム構成概念の理解、③運用推進と効果検証のノウハウといった、DXを推進するために認識しておきたい知識やスキルを身に着けるのにうってつけと言えます。特に多くのRPAツールはローコードもしくはノーコードと呼ばれ、専門的なプログラミング言語スキルなくして設計が行えるため、システム領域の知識を身に着けやすいツールということができるでしょう。
DX風土醸成という観点においては、このようなローコード開発アプリの活用をPJや特定部署での限定的な運用から、統制の取れる形での全従業員活用に移行できるかがポイントとなります。実例としてもノーコードアプリ開発ツールを導入し従業員主導によって1万を超える社内アプリが開発され、業務効率化に留まらず品質管理等のコアなビジネスプロセスをサポートする事例等も存在しております。
この例はRPAでも同じことができ、設計の敷居が低いことを活かし、各部署で適切な管理を行うことで実現することができます。必要なステップは大きく2つで、①RPAツールを集中的に活用・管理する専門チームの設立とRPA導入成功体験の獲得、②各部署への展開とRPAツール利用のための教育機能の設置、となります。このステップは新しく導入するツールを全社展開する際に有用なものであり、自社内でのツール活用ナレッジを貯めつつ、自律的なツール活用(システムリテラシー)を促すことで社内におけるDX風土の形成の一助となります。

おわりに:RPA活用によるDXのスモールスタート

今回はRPAの活用効果として導入効果そのものより、全社展開を行うことによるDX風土醸成の一助になることをお伝えしました。冒頭でも述べたように、RPAの導入そのものは厳密な意味でのDXではなく、業務のデジタライゼーションと呼ぶべきものです。しかし、中長期なビジョン策定やシステム投資を行うことなく、自社におけるDX風土を醸成していく手段としては丁度よい立ち位置におり、中長期目線では全社横断してのDX推進の土台を作ることができる稀有なツールとも言えます。
一般的にDXは大規模なプロジェクト運営が伴うものというイメージがありますが、一方でRPAの導入から内製化のようにスモールスタートから徐々に拡大し、DX風土を高めつつ、最終的に自社の変革をもたらす手法も存在します。これはシステム開発の領域では「アジャイル型」とも呼ばれる考え方で、一機能ごとに開発とテスト運用を行い最終的な開発を目指すものです。自社を大きなシステムと捉えるならば、RPAの導入はこの「アジャイル型」的思想に則ったDX推進ともいうことができるでしょう。
是非、導入するか検討中の企業様や、導入はしたがうまく活用されていない方々は、新たに自社のDX風土醸成という目的を加えてRPA導入・推進を進めてはいかがでしょうか。

RPA活用によるDXのスモールスタート
AUTHOR著者
デジタルコンサルティング事業部
ゼネラルマネジャー
坂野 薫

大手製造業の設計領域を中心に業務効率化活動を行うコンサルティング会社を経て、当社に入社。現在は、デジタル化における業務効率化をテーマに専門知識とノウハウを駆使し、戦略策定から具体的な実行推進支援までを企業の実情に即して提供。「考え続け、行動する」を信条に、スピード感と実行力のあるコンサルティングに定評がある。

坂野 薫
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