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近年、企業の情報発信手段としてSNSの活用が一般的になってきました。リアルタイムでの情報発信や顧客との距離を縮め、ブランドへの共感を醸成する手段としても有効ですが、その一方でSNSならではのリスクも存在します。
そこで、今回は企業がSNSコミュニケーション時に注意すべきポイントをご紹介します。
目的に合ったSNSプラットフォームの選択
まずは、SNSごとの特性を理解し、自社の目的に合ったプラットフォームを選ぶことが大切です。
5つの主要SNS(X、Instagram、Facebook、YouTube、TikTok)の特徴は以下の通りです。それぞれのSNSのユーザー層や、向いている用途を把握した上で、自社の目的に合ったプラットフォームを選択し、運用していきましょう。
出所:タナベコンサルティング作成
投稿内容の一貫性とトーン&マナーの統一
SNSは企業の「顔」としての役割を担うメディアであり、投稿ひとつひとつがブランドイメージの形成に大きく影響します。そのため、発信する情報や表現のスタイルに一貫性を持たせることは、信頼性を築く上で極めて重要です。
特に注意したいのは、投稿の「トーン&マナー(TPOをわきまえた言葉遣い・表現方法)」です。例えば、若年層に親近感を持たせるカジュアルなトーンを取り入れる場合でも、それが企業のブランドパーソナリティと一致しているかどうかを慎重に見極める必要があります。
また、複数のSNS担当者が運用に関わる場合、誰が投稿しても「同じ企業としての声」に見えるように、トーンや表現の基準を統一しておくことが重要です。口調(敬語/フランク)、絵文字や顔文字の使い方、改行の頻度、語尾の雰囲気(「~です」「~だよね」など)まで細かくルール化し、マニュアルやガイドラインに落とし込んでおくと、属人化を防ぐことができます。
ブランドトーンは、企業の価値観やミッションと深く結びついており、それをSNS上でも一貫して伝えることでユーザーとの長期的な信頼関係を築くことができ、最終的にはブランドのファンを増やすことにもつながります。投稿ごとに「この発信は自社ブランドらしいか?」を問いながらブレのない発信を心がけましょう。
炎上リスクとその回避方法
SNSでは、たった一言の投稿が誤解を招き、企業イメージを大きく損なうケースも少なくありません。炎上のきっかけはさまざまで、社会的な背景やタイミングによっても変わりますが、よくある原因として以下のようなものが挙げられます。
(1)差別的・偏見的な表現
(2)社会的問題や災害への無神経な言及
(3)商品やサービスの誇張表現・誤認を招く内容
これらのリスクを防ぐためには、まず「投稿前に複数人でチェックする体制」を整えることが有効です。感覚や価値観は人によって異なるため、客観的な視点を持った第三者が確認することで不適切な表現を未然に防ぐことができます。
また、投稿ルールやガイドラインを明文化し、社内で共有しておくことも重要です。想定されるリスクやNGワードの一覧を用意し、それに基づいて投稿判断することでリスクの最小化に繋がります。さらに、万が一炎上が起こった場合の対応フロー(初期対応・謝罪文の準備・社内報告体制など)もあらかじめ整備しておくと迅速な対応が可能になります。
まとめ
いかがでしたか。SNSは強力なコミュニケーションツールである一方で、企業の信頼を一瞬で損なう危険もはらんでいます。だからこそ、社内でのガイドライン整備や教育体制の構築が不可欠です。
単なる情報発信の手段ではなく、ユーザーとの関係構築の接点であることを念頭に置き、安全で効率的なSNS運用を目指し、常にリスクと向き合いながら進めていきましょう。
AUTHOR著者
ブランド&PRコンサルティング事業部
チーフマネジャー
遠藤 瞳
クライアントのブランドイメージに基づき、デザインを含めた提案を強みとし、食品・化粧品業界を中心に企業のプロモーションをトータルで支援。SNSやメディアを活用したブランド価値向上施策の戦略立案も行い、販促プロモーションを通してクライアントの課題解決に貢献できるよう力を注ぐ。

