2024年10月15日~11月1日に実施した「ブランディングに関する企業アンケート調査」について、調査結果サマリをお届けします。ぜひ、今後のブランディング戦略のご参考としてご覧ください。
はじめに
2025年の経済動向を踏まえた企業のブランド&PR戦略のポイント
日本経済はデフレから脱却し、2025年には堅調な成長が見込まれています。この経済環境の変化に伴い、新たに出現するマーケットに企業は対応する必要です。特に、インフレ経済下での新しい需要に応えるためには、単なる「機能的価値」を超えた「目に見えない価値」をどのように訴求し、顧客に選ばれるかが鍵となります。
このような環境の中で、企業が持続的な成長を実現するためには、ブランド&PR戦略がますます重要になってきます。以下は、2025年の経済動向を踏まえた、企業のブランド&PR戦略の重要なポイントとなります。
【Point 1】ブランドの重要性の高まり
経済環境の変化に伴い、単なる「機能的価値」だけでなく、ブランドが持つ「目に見えない価値」が重要視されるようになっています。ブランドは、企業や商品のファンを作るための重要な要素です。
【Point 2】デジタルツールの活用
デジタル技術の発展により、ブランドの訴求方法も多様化されています。デジタルプラットフォームを活用したコミュニケーションが一般的になり、顧客との接点を増やすことが可能になっています。
【Point 3】ブランディング戦略の実行
新しい需要に応えるためには、ブランド価値を狙ったターゲットに戦略的に訴求することが求められています。単に「いいものを作る」だけでは不十分で、認知度を高めるだけでなく、顧客に「認識」してもらうことが重要になっています。
【Point 4】ブランドストーリーの構築
ファンを作るためには、ブランドストーリーを計画的に組み立て、顧客と継続的にコミュニケーションを取ることが必要です。これにより、顧客との深い関係性を築くことができます。
【Point 5】未開のマーケットへのアプローチ
経済の大転換期において、ブランドは未開のマーケットを切り開くための武器としても活用されます。新しい市場において、ブランドの在り方や見せ方を工夫することで、競争優位性を確立することが可能です。
調査結果サマリ
2024年度ブランディングに関する企業アンケート
【Summary1】ブランディングの取り組み
半数以上の企業が戦略未策定、成功の鍵は全社的な取り組みと明確な目標設定
ブランディング戦略を策定していない企業は53.3%と、過半数を占めていることが明らかになりました。さらに、戦略を策定している企業でも、進行状況が「順調に進行している」と回答したのは57.0%であり、43.0%が「遅れ」や「停止」している状況です。ブランディングを進めるうえで重視するポイントについては、約7割の企業が「社内の一貫した理解と協力」、「明確な戦略と目標設定」と回答し、続いて「経営陣の強いコミットメント」となりました。明確な戦略のもと、全社を挙げて取り組む必要性がうかがえます。
【Summary2】ブランディング予算と業績
1,000万円以上の予算投資で約半数が増収増益、経営全般にポジティブな影響
ブランディング活動への予算配分と業績には明確な関連が見られました。特に1,000万円以上の予算を投じた企業では、増収増益の割合が49.1%と際立ち、予算規模の大きさが成果を後押しする可能性を示唆しています。また、予算が500万円を超えると、ブランド価値や売上の向上、人材確保、企業文化の強化、社員の生産性向上といった経営へのポジティブな影響が顕著に見られました。これらの結果より、一定規模以上の戦略的な予算投資が効果的であることが見て取れます。
【Summary3】ブランディング施策の効果
アウター・インナーブランディングが売上・採用・企業文化など多面的な成果を創出
アウターブランディングにおいては、インターネット広告と展示会・イベント出展が売上増加(48.8%、50.4%)や市場シェア拡大(57.4%)に効果を発揮していることがわかりました。広報・PR活動はブランド価値の向上(61.3%)に有効であり、コーポレートサイトの運営は顧客満足度の向上(47.8%)や採用人材の確保(56.9%)に貢献しています。インナーブランディングでは、PMVVの策定が企業文化の強化(61.8%)や顧客満足度の向上(59.2%)に最も効果的であることが明らかになりました。さらに、社員イベントや表彰制度は離職率の低下(47.2%)や生産性の向上(45.6%)に寄与しており、ブランディングが多面的な成果を創出していることが見て取れます。
Next Action
アンケート結果から読み解く、次なる打ち手
【NextAction1】戦略から実行、評価まで一気通貫のブランディングを行う
ブランド力を強化する必要性が増していますが、半数以上の企業がブランド戦略を策定できていない現状が明らかになりました。また、戦略を持つ企業でも4割で進行の遅れが生じており、評価指標を持たない企業も2割存在します。このように、多くの企業でブランディングの戦略立案から実行、評価に至るまで様々な課題を抱えていることが浮き彫りとなりました。この状況を改善し、競争力を向上させるためには、ブランディング戦略の策定および実行プロセスの確立が重要です。具体的には、現状分析に基づく戦略立案、社内外への効果的な浸透施策の実施、そして定性・定量指標による評価体制の構築が必要となります。このような包括的なアプローチにより、持続的な企業価値向上につながるブランディングの実現が可能となります。
【NextAction2】ブランドがエンゲージメントを高めて、組織を強くする
現在多くの企業は、社員のエンゲージメント不足という課題を抱えており、これが組織全体のパフォーマンス低下につながっています。今回の調査により、社員が企業のビジョンや価値観を共有し、実感できるような施策を継続的に実施することが、組織全体のパフォーマンス向上に繋がることが示されました。社員参画型のワークショップや定期的な対話セッション、表彰制度の再構築を通じて、組織の一体感を醸成し、社員のモチベーションを高める。これらの取り組みにより、離職率の低下や生産性の向上が期待でき、企業の持続的な成長と強固な組織基盤の構築が可能となります。
【NextAction3】海外PRにより、グローバルをビジネスチャンスにする
自社サイトやSNSを活用する企業が多い一方で、海外に向けたプレス・ニュースリリースの利用はわずか4.7%に留まり、企業の広報活動が国内市場に偏っていることが明らかになりました。この状況は、海外からのニーズを呼び込む機会を逃している可能性があります。企業の持続的な成長を目指すためには、海外市場からの需要を喚起するための広報活動が不可欠です。具体的には、国際的な視点でのブランディング戦略展開とともに、現地の文化やトレンドに合わせた効果的なプレスリリースを作成し配信することが求められます。このような取り組みは新たなビジネス機会を創出し、企業の成長に寄与することが期待できます。
「2024年度ブランディングに関する企業アンケート調査」の詳細レポートは、こちらからダウンロードいただけます。
自社のブランディング&PR戦略を見つめ直す参考資料として、ぜひご活用ください。