求人数の増加と労働生産人口の低下により、人材不足が深刻化している現代。企業は求職者から選ばれる立場となり、自社の情報発信がますます重要になっています。その中で「採用サイト」は、求職者への重要な情報発信ツールの一つです。
しかし、「採用サイトを作りたいが、良いサイトの基準が分からない」「採用サイトはあるがうまく活用できていない」と悩む人事・採用担当者も多いのではないでしょうか。本コラムでは、自社にとって理想の人材から選ばれるための採用サイトについて解説します。
採用サイトは求職者から断続的に見られている
求職者からの共感を得ることが重要
求職者は企業について知った後、情報収集から応募判断・入社判断までの間、常に採用サイトを見ています。これは、企業と求職者をつなぐ極めて重要なタッチポイントです。特によく見られているのは「仕事内容」「福利厚生」「給与・待遇」で、働くうえでの機能的な条件と言えます。
しかし、募集要項と同じ情報を書いているだけでは他社との差別化ができず、給与が高い企業に求職者が流れ、応募獲得に至らない、選考途中や内定後の辞退等のケースが発生します。さらに、給与・待遇や福利厚生のアピールによって人材獲得できたとしても、その人材が企業のビジョンや魅力に共感していなければ、彼らはより良い待遇を求めて退職し、定着しない場合も起こりうるのです。そのため、採用サイトでは自社らしい魅力を発信し、求職者からの共感を得ることが重要です。
採用サイトに求められる役割
採用サイトは企業の採用活動において欠かせないツール
それでは、採用サイトの制作に入る前に、採用サイトの役割について理解しておきましょう。
1.ブランドイメージの構築
採用サイトは企業の文化や価値観を伝える場です。求職者に対して企業の魅力を効果的に伝えることで、ブランドイメージを強化できます。
2.情報の一元化
求人情報・企業のビジョン・社員の声など、求職者が必要とする情報を一元的に提供できます。これにより、求職者は企業について深く理解することができます。
3.応募者の質向上
明確で詳細な情報を提供することで、企業の文化や価値観に合った応募者を引き寄せることができます。これにより、ミスマッチを減らし、採用の質を向上させることができます。
4.コスト削減
採用サイトを活用することで、求人広告費用を削減できます。また、オンラインでの応募プロセスを整備することで、採用活動の効率化が図れます。
5.競争力の強化
他社との差別化を図るために、独自のコンテンツやデザインを採用サイトに取り入れることで、求職者に強い印象を与えることができます。
6.データ活用
採用サイトを通じて得られるアクセスデータや応募者の情報を分析することで、採用戦略の改善に役立てることができます。
自社らしい採用サイトにするためには
4つのステップで考える
採用サイトを制作する際には、以下のステップをしっかりと踏むことが重要です。
1.他社にはない自社独自の働く魅力・強みを明確にする
自社の強みや独自の魅力を明確にします。例えば、ユニークな社内制度や成長機会、働きやすい環境、教育制度、人材などが挙げられます。「他社にはない自社だけの魅力なんてない」と思われる方もいるかもしれませんが、魅力が1つもない企業はありません。1つではなく、2つ、3つと複数の良いところを組み合わせることで、自社の魅力に昇華させることができます。
2.求める人材像(ターゲット)の具体的な設定
どのような人材を求めているのかを具体的に設定します。年齢層・スキル・経験・価値観などを明確にすることで、理想の人材が就職活動で企業に何を求めているのか、入社の決め手は何か、といった仮説を立てられるようになります。
3.サイトコンセプトの策定
サイトコンセプトとは、サイトの方向性や世界観です。自社の魅力をターゲットにどのように伝え、どのような共感をつくりたいかを簡潔にコンセプトに落とし込みます。これにより、サイト全体のデザインやトーン・コンテンツが一貫し、求職者に強い印象を与える自社らしいサイトになります。
4.コンセプトに基づいたコンテンツを企画
コンセプトに沿った具体的なコンテンツを考えます。社員インタビュー・プロジェクト事例・動画コンテンツなど、多様な形式で情報を提供し、求職者の興味を引きます。成長機会の豊富さを訴求するのであれば、プロジェクト事例や教育制度、社員のキャリアアップ事例等が有効的ですし、人が魅力であれば社員インタビューや座談会記事等がおすすめです。
採用サイトだけで完結しない。採用戦略に基づいた一貫性のある施策展開へ
理想の人材から選ばれる企業を目指す
魅力的な採用サイトの作り方をご紹介しましたが、採用活動は、採用サイトだけで完結するものではありません。企業説明会や面接、内定後の面談など求職者と直接コミュニケーションを取る場や、Web広告やSNS、エージェントを通じた情報発信など、多様な方法があります。
これらの場で異なるメッセージを発信してしまうと、求職者の共感を得ることが難しくなります。採用サイトを効果的に活用するためには、全ての採用活動で一貫したメッセージを発信し、求職者に企業の魅力をしっかりと伝えることが重要です。これにより企業のファンを増やし、長く活躍する人材を獲得することが可能になります。
自社らしい採用サイトを構築し、理想の人材から選ばれる企業を目指しましょう。
AUTHOR著者
ブランド&PRコンサルティング事業部
コンサルタント
光野 静
デジタルマーケティング・コミュニケーション支援企業にて主にWebサイト構築のWebディレクション、プロジェクトマネジメントを経験し当社に入社。リアルとデジタルを融合した施策設計と、実行後の分析・改善を得意とする。第三者視点で「独りよがりにならない」ことを信条に、ユーザーと企業・ブランドをつなぐ戦略策定から実行まで一貫したサポートを行っている。

