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投資家をファン化する
IR広報のブランディング戦略とは

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財務情報だけでは伝わらない時代!無形資産をどう伝えるか!

投資家は企業価値において無形資産を重視している

企業価値の評価軸は、かつての設備・土地といった有形資産から、ブランド、技術、人材、組織文化、社会的信頼といった無形資産へと大きくシフトしています。

特に多角化した事業ポートフォリオを持つ企業などは、単一事業ではなく、全体最適でどのような価値を社会に提供しているのかを示すことが、IRにおける最重要テーマとなりつつあります。財務数値だけでは、企業が持つ構造的な強みや未来の成長力を十分に伝えることができない時代に入り、IR広報には「企業の物語」と「無形資産の意味づけ」を伝える役割が期待されています。

無形資産は"未来のキャッシュフローを生む資産"

投資家に響くのは、「今、何を持っているか」ではなく「それが将来どんな価値を生むのか」にあります。

例えばブランド力は価格決定力につながり、顧客基盤の厚みは景気変動耐性を高め、技術力や研究開発力は参入障壁を形成します。これらは一見財務諸表には現れにくいものの、企業の競争優位を支える最重要要素です。IR広報は、この無形資産を「未来のキャッシュフローに結びつく論理」として構造的に説明する必要があります。具体的な進め方としては、投資家の"納得・共感・応援"を生むストーリーテリングという手法があります。

財務情報は企業の"過去と現在"を語るに過ぎません。投資家が未来に投資したくなるのは、その企業が「どんな未来を作ろうとしているのか」「そのために今、どのようなプロセスを踏んでいるのか」が明確に示されたときでしょう。企業のミッション、組織文化、研究開発の姿勢、サステナビリティの方向性など、無形資産に紐づくストーリーを"一貫性のある物語"として編むことで、投資家は数字以上の価値を理解し、企業を応援したいと感じるようになっていきます。

経営者メッセージやデータを無形資産と結び付けることでシナジーを演出

企業の顔である経営者が何を語るかは、無形資産の中でも極めて重要なシグナルになります。経営者が語る言葉に「論理」「一貫性」「覚悟」「未来志向」が備わることで、その企業の信頼性は一気に高まり、逆に、抽象的で曖昧なメッセージは、投資家の不信を招きかねません。IR広報は、経営者の言葉を「企業の意思」として磨き上げ、社内外にわかりやすくかつ魅力的なメッセージに変換し伝えていく機能が求められます。

また、データとエビデンスで無形資産を結びつけることで、より一層説得力が増します。無形資産は定量化が難しいと言われますが、工夫次第でデータ化も可能です。ブランド力であれば認知度やNPS、顧客基盤であればLTVや継続率、研究開発であれば成果指標、人的資本であれば離職率や育成への投資額などを整備し、一貫したKPIとして開示することで、無形資産は"投資可能な資産"として評価されます。IR広報は、データと物語の両輪で伝え、シナジーを発揮できれば、より高い企業価値を示すことが可能になります。

その結果、投資家は単なる資金提供者ではなく共感し、応援者といった意識を持つようになります。株主との対話や説明会、個人投資家向けの発信などで、企業の志や無形資産を丁寧に伝えることで、投資家は企業の成長プロセスをともに歩むパートナーへと変わっていきます。応援者が増えることは株価の安定化、長期保有の促進などにつながり、持続的なブランド価値を形成することになります。

無形資産は見えないが、その企業の未来を決める最重要資産であり、だからこそIR広報の役割は、単に情報を開示するだけではなく、「企業が本当に持っている価値」「まだ財務に現れていない未来の価値」を適切に魅力的なメッセージに変換し、社会と投資家に届けることにあります。財務と無形資産、事業とブランド、現在と未来をつなぎ合わせる力こそが、これからのIR広報の競争力となります。

社内の"共通言語化"がブランディングを強くする

また、無形資産の価値を投資家に伝えるためには、まず社内が統一された認識を持つことが重要です。

「当社の強みは何か」「どの無形資産を核に企業価値を高めるのか」といった共通言語が整備されることで、広報・IR・経営企画・人事・事業部門が同じ方向を向いて発信できるようになります。これによって、メッセージに一貫性を生み、自社ブランドの世界観がより深みのあるものとして伝わっていきます。

最後に:無形資産の魅力が、未来の投資家を応援者に変える

ここまで、財務だけでは評価されない時代において、企業が持つ無形資産をどのように伝え、どう未来の価値につなげるかが、ブランド力や投資家からのイメージを左右することや、統合的な事業価値の構造化、ストーリーテリング、データによる補強、経営者メッセージの強化などを通じて、IR広報は企業の成長ストーリーを社会に届ける存在となることなどを述べてきました。

しかし、言うは易し、なかなか無形資産をあぶり出せない企業も多くあります。一方で、企業の歴史の中でところどころに転換点や取り組みの進化などがあるはずです。積み上げてきた世界観やノウハウがあります。それは、企業が成長した要因でもあります。

このような無形資産を魅力的なメッセージとして発信し続けることが、未来の投資を惹きつけ、応援者となり、ステークホルダーと一緒に成長する企業を演出し、持続的な経営を盤石なものにしていきます。

AUTHOR著者

タナベコンサルティング
ブランド&PRコンサルティング事業部
チーフマネジャー

池谷 滋

クライアントのブランディング支援において、語り継ぎたい「志=企業のDNA(存在価値)」をあぶりだし、経営的な視点だけでなく、デザイン的なビジュアル視点や、コピーライティング、SNSなど、戦略実現にむけ、すべてのクオリティを重視するトータルファシリテートを得意とする。現在はプル型営業支援のみならず、プッシュ型営業支援にてクライアントの新規顧客獲得実績も数多く上げている。

池谷 滋
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タナベコンサルティンググループは「日本には企業を救う仕事が必要だ」という志を掲げた1957年の創業以来69年間で大企業から中堅企業まで約200業種、18,900社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。企業を救い、元気にする。私たちが皆さまに提供する価値と貫き通す流儀をお伝えします。

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