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近年、BtoB業界においても認知度の向上や市場シェアの拡大を目指して、PR活動に力を入れる企業が増加しています。競合他社に一歩先んじるためには、効果的な広報戦略が不可欠です。PRを成功させるためには、重要な「ネタ」を生み出すことが求められます。そのためのアプローチとして、「自社分析」「競合分析」「報道分析」の3つの視点から考えることが有効です。
自社分析
PR活動の第一歩は、自社の魅力を再認識することです。自社の社風や制度、独自の取り組みなど、企業の視点からの現状を把握することが重要です。また、自社のサービスや製品の特徴やこだわりを理解することも欠かせません。この2つの視点を持つことで、自社の強みや魅力をより明確にすることができます。
自社の強みを見つけるためには、サーベイを活用するのが効果的です。特に、社員・顧客・パートナー企業に対して、同じ質問を行う調査が有効です。例えば、タナベコンサルティングが提供する「ブランディング戦略サーベイ」では、社員が感じる自社の魅力と、顧客やパートナーが感じる魅力のギャップを可視化できます。このプロセスを通じて、社内では気付かなかった潜在的な魅力を発見できます。
また、自社分析を行う際には、過去の成功事例や失敗事例を振り返ることも重要です。どのような施策が効果的だったのか、逆にどのようなアプローチが期待した結果を得られなかったのかを分析することで、今後のPR戦略に生かすことができます。これにより、より具体的で実践的なネタを生み出す土台が整います。
ブランディング戦略サーベイ
競合分析
自社の魅力を把握した後は、競合の分析に移ります。競合企業やそのサービスの特徴を分析し、競合の強みを理解することが重要です。競合がどの分野に注力しているのかを知ることで、自社の差別化ポイントを見つける助けとなります。
競合分析には、SWOT分析・3C分析・4P分析などのフレームワークが役立ちます。SWOT分析では、自社の強み・弱み、競合の強み・弱みを明確にし、どのように差別化を図るかを考えることができます。3C分析では、顧客・競合・自社の3つの視点から市場を分析し、どのようなニーズに応えるべきかを見極めます。4P分析では、製品・価格・流通・プロモーションの観点から自社と競合を比較し、どの要素で優位性を持てるかを探ります。
もしリソースが不足している場合や、より精度の高い分析を希望する場合は、専門のコンサルティング会社に依頼することも一つの手です。外部の専門家の視点を取り入れることで、より客観的な分析が可能となり、新たな発見が得られることもあります。
報道分析
次に重要なのが報道分析です。BtoB業界ではあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、報道分析は、自社の取り組みやサービスがメディアでどのように報じられているかを定性的・定量的に分析し、今後の広報戦略に生かすための手法です。報道分析は、業界を問わず必ず行うべき重要なプロセスです。
報道分析を通じて、以下の3つのテーマを可視化をすることができます。
1. 競合のみが報道されているテーマ
2. 自社も競合も報道されているテーマ
3. 自社のみが報道されているテーマ
競合だけが報道されているテーマをPRネタにするのは避けるべきです。狙うべきは、自社も競合も報道されているテーマと、自社のみが報道されているテーマの2つです。前者は業界の常識的なテーマであり、ここはしっかりとカバーしつつ、自社独自の魅力を強化するためのネタを見つけることが重要です。
報道分析を行う際には、メディアのトレンドや話題になっているテーマを把握することも大切です。特に、業界内で注目されているトピックや、社会的な関心が高まっているテーマに関連する情報を収集し、自社のPR活動にどう生かせるかを考えることが求められます。
PRネタの具体化と実行
自社分析・競合分析・報道分析を通じて得た情報をもとに、具体的なPRネタを考えます。ここでは、得られたデータをもとに、どのようなストーリーを作り上げるかが重要です。単に情報を発信するのではなく、ターゲットとなるステークホルダーに響くメッセージを考えることが求められます。
例えば、自社の新しいサービスや製品の発表に際しては、その背景や開発の経緯、顧客の声などを交えたストーリーを作成することで、より多くの関心を引くことができます。また、業界のトレンドや社会的な課題に関連付けることで、より広範なメディア露出を狙うことも可能です。
さらに、PR活動を実行する際には、「メディアリストの作成」「プレスリリースの配信」「SNSでの情報発信」など、具体的な施策を計画することが重要です。これにより、ターゲットとなるメディアや顧客に対して、効果的に情報を届けることができます。
最後に
BtoB業界においてもPRに取り組む企業は増加していますが、BtoCに比べるとその数はまだ少ないと言われています。競合と差をつけるためには、独自のネタを創出し、戦略的にPRを行うことが求められます。自社分析・競合分析・報道分析を通じて、効果的なPR活動を展開し、業界内での存在感を高めていきましょう。これにより、認知度の向上や市場シェアの拡大を実現することができるでしょう。
PR活動は一度きりの施策ではなく、継続的な取り組みが求められます。市場や競合の状況は常に変化しているため、定期的に分析を行い、戦略を見直すことが重要です。これにより、常に最適なPR活動を行い、企業の成長を支えることができるでしょう。PRのネタを生み出すプロセスをしっかりと構築し、持続可能な広報活動を実現していきましょう。
AUTHOR著者
ブランド&PRコンサルティング事業部
チーフコンサルタント
戸塚 紘平
ブランディング・PR等のコミュニケーション手法をMIXし、企業のブランド価値最大化の支援を行う。SNS支援、動画や販促品の作成等デザインを落とし込んだアウトプット品質に定評がある。

