COLUMN

2026.04.06

中期経営計画を実現するために必要な
KPIマネジメント

  • 資本政策・財務戦略

中期経営計画を実現するために必要なKPIマネジメント

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世間では賃上げや物価上昇などのニュースで賑わっており、実際に多くの企業でも対応が求められています。しかし、価格転嫁を含めて日本企業のほとんどが十分に対応できていない状況が続いています。そのため、利益を今後も持続的に上げるためには、生産性の向上も同時に必要です。さまざまな企業がビジョンや中期経営計画を掲げていますが、抽象的な表現にとどまり、社員が結局何をすればよいのか分からなくなっている会社も少なくありません。そこで、このようなビジョンや中期経営計画の実現に苦慮されている企業様に向けて、KPIマネジメントの重要性と活用方法を、事例を用いながらご説明します。

なお、KPIとは、重要業績評価指標(Key Performance Indicator)の略称であり、組織の最終目標であるKGI(Key Goal Indicator)の達成度を測るための中間的な指標と定義されています。KGIだけを設定し、KPIを設定していない会社もまだ多いのが現状です。今回の事例が参考になれば幸いです。

ポイント①~KPIツリーの作成~

A社は製造業で業界トップクラスですが、今後さらに成長していくために新たにビジョン・中期経営計画を策定しました。しかし、新たなビジョン・中期経営計画の達成に向けて全社一丸となって進むためには、KGI(売上・利益の目標)の達成に向けたKPIの設定が必要でした。そこで、タナベコンサルティングと共同でKPIツリーを作成し、KGIを達成するための要素の洗い出しを行いました。

KPIツリーを作成することで、KGI達成に必要な要素を漏れなく分解でき、感覚的なKPIの設定ではなく、論理的に構築したKPIを設定できました。

ポイント②~全社KPIから部署別KPIへの展開~

KPIツリーを作成するにあたって、まず全社KGI(売上・利益の目標)を達成するための要素として、財務資本と非財務資本に分解しました。さらに、財務資本は成長性・収益性・生産性に分解し、全社KPIとして数値設定しました。非財務資本はブランド価値と人事KPIに分解し、全社KPIとして数値を設定しました。しかし、全社KPIだけでは各部門や個人まで落とし込めないため、各項目ごとに関連部署で部署別KPIを設定しました。要するに、全社KPIを部署別KPIへ展開したのです。

なぜ部署別KPIまで設定したのかというと、それはビジョン・中期経営計画を推進するためです。ビジョン・中期経営計画を策定した会社の多くは、時間をかけて計画を策定したものの、社員に浸透せず、いつの間にかビジョン・中期経営計画が経営陣の発信による遠い存在になっています。なぜそのような状態になっているかについては、さまざまな理由が考えられますが、各部署がビジョン・中期経営計画に対して当事者意識を持てていないことが要因の一つです。

では、なぜ当事者意識を持てていないのかというと、ビジョン・中期経営計画と部署の目標とのつながりが見えていないからです。部署で目標を設定し、目標達成に向けてマネジメントをしていても、部署の目標を達成することがビジョン・中期経営計画の目標達成につながっていることを実感できなければ、ビジョン・中期経営計画は社員の意識から薄れていきます。逆に、部署の目標とビジョン・中期経営計画とのつながりが見える化されていれば、社員の意識からビジョン・中期経営計画が消えることはありません。

以上が、全社KPIから部署別KPIへと展開した理由であり、ビジョン・中期経営計画を推進するうえで欠かせないポイントでもあります。

ポイント③~KPIのモニタリング~

次にKPIのモニタリングについて説明します。
A社では、部署別KPIまで設定した後、どの会議体でKPIマネジメントを行うかを決定しました。要するに、KPIマネジメントを実施する会議体の設計です。A社では既存の会議体の中で議題として組み込み、マネジメントを行うことにしましたが、場合によっては会議体を新たに設けることも必要です。

また、会議体の中でKPIの進捗状況を共有するだけでは意味がありません。KPIマネジメントとは、組織やプロジェクトの最終目標(KGI)を達成するための中間目標(KPI)の進捗状況を数値で可視化して管理し、継続的な改善を図ることを指します。つまり、可視化するだけでは意味がなく、改善を続けていくことがKPIマネジメントにおいて重要です。

なお、改善していく方法として、会議の場でいきなり「どうやって改善しましょうか。何か意見がある人はいますか。」と問いかけるのも一つの方法かもしれませんが、それでは議論が長引くだけで、非常に生産性の低い会議になりがちです。そのため、会議に臨む前にあらかじめ改善策の選択肢をいくつか用意し、論点を絞って議論を進めていくことが必要です。

KPIを設定するだけでなく、設定した後のモニタリングによって成果は大きく左右されます。これはKPIに限らず、さまざまな場面にも当てはまり、マネジメント次第で成果は変わります。KPIモニタリングを行う場を設け、目標達成への意欲を高める仕組みを構築することを、タナベコンサルティングでは今回の事例であるA社を含むさまざまな会社に提言しています。

まとめ

以上、中期経営計画を実現するために必要なKPIマネジメントについて、A社の事例を用いながら、KPIツリーの作成、全社KPIから部署別KPIへの展開、KPIのモニタリングの三つのポイントについてご説明しました。
前述のとおり、ビジョンや中期経営計画を策定した企業の多くは推進に課題を抱えています。ビジョンや中期経営計画が社員に浸透せず、十分な成果が出ておらず、進捗が滞っている企業もあります。そのような状態を避けるためには、まずはKPIの策定方法や社員からの見え方を見直し、策定したKPIを改善していくための会議体を設計し、目標に向けた行動が自然に続く仕組みを整えることが重要です。
ぜひ今後の経営のご参考になれば幸いです。

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