コーポレートガバナンスと
内部統制の違いとは?
重要なポイントを解説
- コーポレートガバナンス

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昨今のビジネスシーンでは「コーポレートガバナンス」という用語を目にする機会が増えています。
しかし、その範囲は明確に定義されておらず、どこまで取り組めばよいのかという問いに対しても一律の答えはありません。
本コラムでは「成長企業に必要なコーポレートガバナンス」に焦点を当て、成長に必要な機能や取り組みを体系的に整理します。
また、コーポレートガバナンスと混同されがちな内部統制との違いも明確にして、あわせて解説します。
成長企業に求められるコーポレートガバナンスの背景
企業が持続的に成長するためには、単なる売り上げや利益の追求だけでは不十分です。
企業の成長にはさまざまな変化が伴います。
事業の観点では営業エリアの拡大、取り扱い商品の増加、海外展開など、組織の観点では営業拠点の新設や社員数の増加など、経営機能の観点ではシステムの複雑化などが挙げられます。これらは一例にすぎず、企業が直面する変化は多岐にわたります。
こうした変化に対応し、持続的な成長を実現するためには、経営の透明性を確保し、社内外のステークホルダーから信頼を得ることが不可欠です。
そのために重要なのが「コーポレートガバナンス」の考え方です。
成長企業では、ガバナンスの強化が企業の未来を左右する重要な要素です。
具体的には、成長企業におけるコーポレートガバナンスの重要性を、リスクの観点から考察します。
成長企業は、事業規模の拡大や市場での存在感の向上を目指し、積極的に投資し、新規事業を展開します。
しかし、成長の過程では、以下のようなリスクが高まります。
これらのリスクを把握し、適切に管理することが不可欠です。
1. 経営の複雑化
事業が拡大するにつれて、組織構造が複雑になり、意思決定のスピードや正確性が低下するリスクが高まります。
これにより、経営陣の判断ミスや機会損失、不正行為が発生するリスクも高まります。
2. ステークホルダーからの期待
成長企業は、金融機関、取引先、従業員など、多くのステークホルダーから注目を集めます。
これらのステークホルダーの期待に応えられない場合、信頼を失い、企業価値を損なう可能性があります。
特に、案件の規模が大きくなるほど、取引先から求められる品質や社内体制の基準は高まります。
3. 規制や法令遵守の重要性
事業が拡大するにつれて、企業が直面する法的規制の適用範囲やコンプライアンスの対応領域も広がります。
これに対応しなければ、企業の評判や事業の継続性に悪影響を及ぼします。
成長企業に求められるコーポレートガバナンスのポイント
成長企業がコーポレートガバナンスを検討するにあたり、以下のポイントに重点を置き、具体的な取り組みを進めることが重要です。
ただし、以下の5点がすべてではなく、企業の特性や状況に応じて柔軟に対応する必要があります。
1. 透明性の確保
成長企業は、経営の透明性を確保し、ステークホルダーからの信頼を得る必要があります。
具体的には、財務情報や経営方針を適切に開示し、株主や投資家が企業の状況を正確に把握できるようにすることが重要です。
また、組織運営の強化を図る企業は、前述のステークホルダーだけでなく、従業員にも経営状況を共有することを検討する必要があります。
2. 独立した監督機能の強化
取締役会や監査役会では、独立した社外取締役を積極的に活用することが求められます。
外部の視点を取り入れることで、経営陣の意思決定の偏りを抑え、公正で客観的な判断につながります。
3. リスク管理の徹底
成長企業は、事業拡大に伴いリスクが増大します。
これに対応するため、リスク管理体制を整え、潜在的なリスクを早期に把握し、迅速に対応できる仕組みを構築することが重要です。
4. ステークホルダーとの対話
株主や従業員、取引先などのステークホルダーとのコミュニケーションを強化し、ステークホルダーの意見を経営に反映させることが求められます。
多角的な視点を意思決定プロセスに組み込むことは、経営の透明性を高めるだけでなく、ステークホルダーとの強固な信頼関係の構築にもつながります。
5. 持続可能性への配慮
近年、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みが、企業価値を左右する重要な要素です。
成長企業は、環境問題や社会的課題に積極的に取り組むことで、長期的な競争力を確保する必要があります。
コーポレートガバナンスと内部統制の違い
コーポレートガバナンスを検討するにあたり、よく混同されがちなのが内部統制です。
どちらも企業の健全な運営を支える重要な仕組みですが、それぞれの目的や範囲が異なります。
両者の違いを理解した上で、自社に最適な体制を構築することが求められます。
以下にその違いを整理して説明します。
【コーポレートガバナンス】
1. 定義
コーポレートガバナンスは、企業の経営を監督・管理する仕組みやプロセスを指します。株主やステークホルダーの利益を守り、企業価値を向上させることを目的としています。
2. 目的
(1)経営の透明性を確保する
(2)経営陣の不正や誤った意思決定を防ぐ
(3)株主やステークホルダーの利益を保護する
(4)長期的な企業価値の向上を目指す
3. 構成する要素
(1)取締役会や監査役会の設置
(2)独立した社外取締役の活用
(3)株主総会の運営
(4)経営陣の報酬制度の設計
4. 対象
企業全体の経営方針や意思決定プロセス
【内部統制】
1. 定義
内部統制は、企業内部で業務を適切に遂行し、法令遵守や財務報告の正確性を確保するための仕組みを指します。具体的には、業務プロセスの管理やリスクの軽減を目的とした制度や手続きです。
2. 目的
(1)業務の効率化と有効性の確保
(2)法令や規則の遵守
(3)財務報告の正確性を確保
(4)不正や誤りの防止
3. 構成する要素
(1)リスク管理プロセス
(2)業務手続きの標準化
(3)モニタリングや監査の実施
(4)情報システムの管理
4. 対象
企業内部の業務プロセスや具体的な活動
コーポレートガバナンスと内部統制は相互に関連しており、どちらも企業の健全な運営に欠かせません。
コーポレートガバナンスは、企業全体の方向性と経営の監督を担い、内部統制は、その方向性に基づき具体的な業務を適切に遂行するための仕組みを提供します。
両者を適切に機能させることで、企業は持続的な成長と信頼性を確保できます。
まとめ
コーポレートガバナンスと内部統制は、いずれも企業を健全に運営するための仕組みであり、その構成要素には定型化されたものも少なくありません。
導入や強化にあたって、定型化された仕組みを単に追加するだけでは、形骸化のリスクを招きます。
未整備を理由に取り入れるのではなく、自社の成長に向けて何が必要かを、成長戦略の視点から検討すべきです。
また、仕組みの導入にとどまらず、その運用方法を定め、運用状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて改善するというPDCAサイクルを組み込むことが持続的な成長には不可欠です。
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