営業DXを実現する社内研修・DX人材育成のポイントを解説

コラム 2025.07.03
マネジメントDX 人材育成 営業DX推進コンサルティング売上拡大
営業DXを実現する社内研修・DX人材育成のポイントを解説
目次

1.成長の限界を迎えている企業の営業実態

(1)「営業」が「型化」されていないためCPA(顧客獲得単価)が高止まりしている

創業期から変わらぬ伝統を継承している企業で、かつ業界のパワーバランスが大きく変動しない場合、営業として求められる機能や役割も大きく変動しない傾向があります。つまり、顧客が何に不満を感じているのか、困っているのかを直接聞きだし、背景にある本音や顧客すら気が付いていない深い欲求(インサイト)を見つけ出すことが重要であり、それに対して自社が顧客満足を担保するソリューションを提示できるかどうかが、営業としての評価が分かれるポイントなのです。
上記営業に求められる要件は、高度情報化社会以前の、業界横断的に通用していた常識でした。もちろん今も基本原則であることは間違いありません。しかし、高度情報化社会においては、セールスされる側の情報量が桁違いに変わっています。既に需要が顕在化している状態の顧客を発見する方法や、需要を顕在化させ、必需と感じさせるためのコミュニケーション方法など、明らかに以前の社会背景とは異なる観点の営業方法が発明されてます。むしろ、「最後の一押し」をする営業個人のセールス力を最大発揮するためにも、その前段階のプロセスをデジタル化するという発想に立たないほうが不自然なのです。さらにいえば、その方法論がテクノロジーで実現できるのであれば、組織的に「型化」が可能なはずなのです。
営業の「型化」がされていないがゆえに、個人のパフォーマンス頼りになり、数字を上げているはずの営業担当が、実はCPA改善できていないまま年月が経過している...というパターンに陥ってはいないでしょうか。

(2)フィールドセールスの手法に頼るため効率の良い手法を実装できていない

ここでは営業を、「顧客開拓活動」に絞り話を進めます。なぜなら「顧客創造活動」こそ多くの企業にとって共通の課題であり、人材育成をするうえでも最も手を焼く分野の1つだからです。
「顧客開拓活動」においては、「見込顧客として認識されているが商談に至る前の段階」と、「顧客のビジネスニーズや課題を明確にし、その課題が解決された状態を想像させる段階」の二段階の壁が大きく立ちはだかります。
「見込顧客として認識されているが商談に至る前の段階」では、ホットリード化しやすい状態で営業にパスされているかどうかが成否を大きく分けますが、多くの場合、これはマーケティング戦略の精度と直結します。つまり、営業の単独能力以前の問題だと判断できる場合、潜在顧客を発掘するマーケティング戦略そのものの見直しを図る必要があります。自社にマーケティング機能を専門で実行するチームがいない場合は、営業自身がそれを個人で担っているケースが多いため、このような企業こそ、高度に発達したテクノロジーをいかに活用するかという視点を取り入れるチャンスです。
「顧客のビジネスニーズや課題を明確にし、その課題が解決された状態を想像させる段階」においては、仮説構築能力が重要になります。サイト、ブログ、SNS、講演、インタビュー、企業データベース、登記簿謄本、業界地図などの外部情報、直接ヒアリングした社内情報などからビジネスニーズや課題を仮説し、それが解決された状態とその道筋までを提示できるかどうかは、まだまだ人間ならではの感受性を使った情報収集と構想力がものを言う世界だと感じています。しかし、人間の機能を補佐する役割でテクノロジーを活用することはもちろん重要です。
いかがでしょうか?営業プロセスを細分化すると、テクノロジーに頼るべきポイントとそうではないポイントが見えてきます。従来の属人的なフィールドセールス手法を否定するのではなく、さらなる進化を見据えた一手を打ちたいものです。

(3)セールスのリード管理ができていないため「ヨミ」のマネジメントではなく「ツメ」のマネジメントになってしまう

リード管理ができている、すなわち見込顧客のストックを先行管理できていれば、「ヨミ」のマネジメントが可能になります。交渉の各プロセスを良いかたちで進めるために、「SCOTMANS」の法則に基づく種々の議論、アドバイスを先行的に実施できるのです。
「SCOTMANS」とは、Situation(担当者の状況を正確に捉えられているか)、Competition(強力な代替案がすでに存在していないか)、Opportunity(顧客の期待は高まっているか)、Timeframe(緊急性はあるか)、Size(規模はどれくらいか)、Money(予算は確保できそうか)、Needs(ニーズがそもそも存在しているか/自社都合の提案になっていないか)、Success(この顧客に売って成果や感動が生み出せるか)の頭文字を取ったもので、2つの壁を乗り越える際に重要な営業観点です。これらの観点にて、適切なタイミング、適切なアドバイス、対策を講じることができるのが優れたマネージャーやリーダーなのですが、これができないばかりに、「数字が取れるのか取れないのか」という最終結論の確認のみで会議時間を費やしてしまうケースも散見されます。そのような環境では、従業員のモチベーションも維持が難しくなるでしょう。特に今は、若年齢層の営業離れが深刻だと言われます。その背景には、「ツメ」の管理を推し進めた世代の責任がないとは言い切れないのではないでしょうか。
「ツメ」のマネジメントが常態化している企業の皆様、今こそ発想を変えるべきタイミングです。変化の激しい時代、かつての常識が禁止され、通用しなくなっている場面も多々あります。しかし、営業として培ってきた知見やノウハウは、進化したテクノロジーの力を活用すれば新しい姿で維持・継承・発展させることも可能です。そこに気づくことが第一歩だと考えます。

2.営業DXを実現する社内研修・DX人材育成とは

(1)1stSTEP:成長限界を迎えている営業実態を把握し受け止める

企業も人も、成長が著しい時期を経験したあと、それが安定化して保守化し、やがて老いていきます。今、貴社の営業実態はどのフェーズでしょうか。保守化の段階であれば、まだ対処可能です。個人のパフォーマンス頼りの営業プロセスの一部を「組織的に型化」する、「ホットリード化しやすい見込顧客」を探す、「顧客課題と課題解決ビジョン」の提示。いずれも、トップセールスが一人で行っている行動の一部を言語化しただけにすぎませんが、その行動の一部をDXする、という発想に立てるかどうか。その視座を経営層が持てるか、その領域へ進化することを決意できるかどうか。それが営業DXを実現する1stSTEPです。

(2)2ndSTEP:世代横断的にDX推進リーダーシップを発揮できる人材を育成する

DXに限らず、新しい概念を広げる際には必ず抵抗勢力が現れます。彼らには罪はありません。むしろ彼らの反抗心を上から抑えつけるのではなく、理解と共感をもって内部から溶かしてあげる丁寧な取り組みが必要なのです。そのためには、世代横断的に営業DXを推進するリーダーを育成する目線が必要です。誰か一人に任せるのではいけません。いずれ誰もが身につけるべきリーダーシップです。「第一期生としてまず誰に担ってもらうのが最適なのか」という目線が重要です。

(2)3rdSTEP:進化するテクノロジーを「使いこなす」自社の姿を描く

日進月歩で進化するテクノロジーについての知識、それを使いこなす側のリテラシー。それを「営業プロセスの部分的DXや組織化のために使いこなすためには」という戦略的構想力。今、営業の成長限界を迎えている企業に必要な力は、シンプルにこの3つに集約されると考えます。逆にいえば、いつ、この3つの力を補強するのか、それを決断するだけで良いのです。どのようなシステムを、ITツールを導入するか、そんな手法論は最後で結構です。企業は人。テクノロジーを使うのも人。人が「こうなりたい」という願いや意志を持つことで、物事は好転に向かって歩み出します。そのためのお手伝いをさせて頂くのが、タナベコンサルティンググループです。

AUTHOR著者
デジタルコンサルティング事業部
ゼネラルマネジャー
藤島 安衣

マーケティングやブランディングの戦略策定~戦術の展開まで一気通貫して対応広告制作ディレクター、コピーライター、塾講師、会場運営、モデル・俳優などを経験。誰よりも顧客を理解することに努め、顧客の歩む道を見据えたプランニングを行う。スピーディなPDCAを回し、現場を着実に変えるコンサルティングスタイル。

藤島 安衣
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