COLUMN

2023.07.26

新規事業立ち上げまでの8つのステップとは?

新規事業立ち上げまでの8つのステップとは?

現代は、変化が激しく先行きが不透明であり、1事業のみで永続的に発展を続けていくことは困難な状況にあり、このような中、新規事業の立ち上げを模索する企業が増加しています。 しかし、新規事業の立ち上げノウハウや経験がないという場合も多く、新規事業の立ち上げをどのように進めればいいかわからないという企業も少なくありません。本コラムでは、新規事業の立ち上げプロセスや事例について解説します。

新規事業立ち上げまでの8つのステップとは?

新規事業立ち上げまでの8つのステップ

ステップ1 自社の原点(理念・ビジョン・社会的価値)の確認
ステップ2 自社の強みの明確化

新規事業の立ち上げを行うためには、主に以下の8つのステップが必要となります。
1.自社の原点=軸(理念・ビジョン・社会的価値)の確認
2.自社の強み、磨き上げたい強みの明確化
3.顧客のお困りごとに目を向ける
4.新規事業案のアイディア出し
5.市場分析・他社分析
6.スクリーニング(事業案の絞り込み)
7.新規事業コンセプトシート・事業計画・収支計画作成
8.テストマーケティング ・事業計画の実行
この後、上記ステップについて解説します。

ステップ1.自社の原点=軸(理念・ビジョン・社会的価値)の確認
新規事業に取り組むうえで、「なぜ、この新規事業に取り組むのか」という志や理由、すなわち「ミッション」が非常に重要となります。なぜなら、社員・顧客から共感を得られるミッションをもとに、わが社の思いを一つにしてこそ事業の推進力が加速するのであって、単に「儲かりそうだから」という、軸のない安易な理由で取り組むことはお勧めしません。まずは、自社の理念・ビジョン、社会的意義は何なのか、「自社の原点=軸」を再確認し、その"軸"をもとに、新規事業のアイデアを広げたり、事業を絞り込んでいくことが重要となります。

ステップ2.自社の強み、磨き上げたい強みの明確化
新規事業を着想する上で、ポイントとなるのは「自社の強みをライバルの弱みにぶつける」という視点です。自社の強みを活かし、ライバル他社が取り組んでいない分野・顧客層・方法へのアプローチをすることが、事業成功への近道となります。強みは主に3種類あり、第1に「自社しか保有していない強み=オンリーワンの強み」、第2に「他社よりも大きく優れている強み=ナンバーワンの強み」、第3に「自社も他社も保有している強み=保有している強み」です。これらを整理しましょう。他社より優れた強みがなかなか思いつかないという場合は、今後磨き上げたい強みをリストアップするのも良いでしょう。

ステップ3.顧客の課題・お困りごとに目を向ける
新規事業のアイディアを考える上で、斬新で全く新しいサービス・製品をゼロから考えることは難易度が高いと言えます。
まずは、自社の顧客に目を向け、どんなお困りごとがあるのか、どんな課題を解決すると喜ばれるのかという視点から考え始めるのが良いでしょう。顧客へアンケートを取り、お困りごとをヒアリングするということも有効な方法です。「誰」の「何の課題」を解決する商品・サービスであるのかを入口とし、そこから考え始めることで、より確実なニーズにつながる事業アイディアを考えやすくなります。 図1は、ヘルスケア分野における顧客課題の整理したものです。

顧客の課題・お困りごとに目を向ける

図1:タナベコンサルティング作成

ステップ4.新規事業案のアイディア出し
これまでのステップ、特にステップ3の内容を活かし、複数名でディスカッションしながらアイディアを広げていきます。
大事なことは「アイディアを否定しないこと」です。収益性や現実可能性について討議するのはその後です。

ステップ5.市場分析・他社分析
事業アイデアを具体的なものにするため、市場動向や他社の取り組み状況等を調査し練り上げていきます。 新規事業の市場にはどのようなチャンスやリスクがあるのか、他社のターゲットや事業の特徴・事業規模・収益性等を調べます。

ステップ6.スクリーニング(事業案の絞り込み)
新規事業のアイディアについて、市場性、社会性、競争優位性、参入可能性、収益性、実現可能性、投資規模などの観点から、定量的にプライオリティ評価を行い5案程度に絞り込みます。

ステップ7.新規事業コンセプトシート・行動計画・収支計画作成
絞り込んだ事業案について、具体化するため事業のコンセプトシートに整理していきます。コンセプトシート作成後、行動計画・収支計画について作成をします。整理の家庭において、ネックポイントは何か、解消するためには何をすべきか、収支計画の深掘りの足りない点などについて議論を重ね練り上げていきます。

新規事業コンセプトシート・行動計画・収支計画作成

図2:タナベコンサルティング作成

ステップ8.テストマーケティング ・事業計画の実行(半年~1年程度)
事業計画が固まったら、立ち上げに向けてテストマーケティングを実行していきます。テストマーケティングとは、ターゲット顧客へのインタビューや製品の試作、サービスのテスト実施などです。これらのテストを積み重ね、半年~1年程度の検証をしたのち、サービスを開始していきます。

新規事業立ち上げまでの8つのステップとは?

空き家が問題となる中、移動式住居の販売、街づくり事業を展開

自治体・企業との戦略的提携により事業推進を加速
YADOKARI株式会社は、住まいの社会課題解決に向けた移動式住居の販売、街づくり事業を展開するスタートアップ企業です。

主な事業内容は、1軒250万円の小さな家「タイニーハウス」の企画・販売、タイニーハウスを活用した施設の企画立案、施設オープン後の施設運営、商品開発、メディア発信までを総合的に行っています。また、自治体・大手企業とのアライアンスにより、事業をスピードアップさせており、タイニーハウスを活かした「地域活性化支援・遊休不動産活用」の取組みを全国に広げています。例えば、地元の鉄道会社と提携し、高架下の空きスペースにタイニーハウスを設置し、街づくりの拠点を設置するなどです。

現在、国内の1人または2人暮らしの世帯数は、全世帯数の約60%であり、2030年には約70%、都心部においては80%へと上昇することが予想されます。家が余り、空き家問題が社会問題化する中、「ローンを組み大きな家に住む」という価値観が変わりつつあり、同社は「新たな住まい方の選択肢を増やす」ことを提言しています。

同社から学ぶ点は、新規事業立ち上げにおける「アライアンス戦略」にあると言えます。中堅・中小企業にとって、新たに事業を生み出すことは、資金・人材・販路獲得など、多くのハードルがあります。他社と連携し、企画から事業化におけるプロセスにおいて、積極的に、社外の技術・ネットワークを活用していくことは、ライバルにスピードで勝つための有効な手段と言えます。

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部
チーフマネジャー

大裏 宙

前職はBtoC向けサービス事業(外食・教育・介護・保育)を全国展開する上場企業に勤務。経営企画、店舗開発、FC加盟店開発、新規事業立ち上げを経験し、当社へ入社。主に建設業における事業戦略構築、人材育成、働き方改革推進を得意とし、全国で多数の実績を有する。

大裏 宙

ABOUT

タナベコンサルティンググループは
「日本には企業を救う仕事が必要だ」という
志を掲げた1957年の創業以来、
66年間で大企業から中堅企業まで約200業種、
17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。

企業を救い、元気にする。
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コンサルティング実績

創業66
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