COLUMN

2023.09.27

新規事業開発の進め方。行うべきステップと成功ポイントを解説

企業の使命は永続発展であり、持続的成長が求められています。しかし、社会の成熟化・人口減少をはじめ様々な構造的変化により、これまでの成長を支えてきた既存事業だけでは、持続的成長が困難な状況にあり、新たな事業開発に取り組み、次の柱を生み出すことの必要性が高まっています。
タナベコンサルティング調査による企業アンケート結果(【図表1】)においても、次期の長期ビジョン・中期経営計画の重点テーマとして、収益改善、新商品・新規事業開発で67.9%となっており、多くの企業が新規事業へ高い関心を示す傾向が見られます。
このような状況下において、多くの企業では、社内プロジェクト等で新規事業を検討されています。しかしながら実際に新規事業が今後の成長エンジンとして事業貢献するまでには至っていないケースが大半といえます。本稿では、新規事業の進め方、行うべきステップと成功ポイントについて解説します。

新規事業開発における要点

プロセスをコントロールすることで、成功確率を高める

新規事業は「検討段階~軌道に乗るまで」に様々な壁があり、最終的に新規事業が今後の成長エンジンとして成功するケースが少ないのが現状です。結果をコントロールできない新規事業ですが、結果以外のプロセスをコントロールすることで、成功確率を高めることは可能と考えます。次にプロセスとポイントを解説します。

新規事業構築プロセスでの相談事例

・事業案の選別段階で停滞
アイデアレベルで複数の新規事業テーマはあるが、選別段階で決め手に欠き、進んでいない

・意思決定における判断材料不足
新規事業テーマは選別したが、実施・経営資源を投入すべきかどうか判断しかねている
実施に向けて動いているが、様々な障壁があり、予定通り進んでいない

・実行推進における優先順位が不明確
戦略の実行・推進体制の構築に際し、どこから手を付けるべきか整理できていない

・新規事業立上げ後の低迷
新規に事業を立上げたが数字が伸びず・赤字状態であり、事業の継続・撤退の岐路にある

新規事業開発の進め方

最も重要となるのが、事業性の評価

新規事業構築では以下のプロセスがあります。

①ステップ0として新規事業案の検討
②ステップ1として新規事業開始
③ステップ2として新規事業の黒字化
④ステップ3として新規事業のスケール化(持続的成長を支える次世代の成長エンジン)

また、一般にはあまり注視されていませんが、このプロセスの中で成功確率を高めるために最も重要となるのが、ステップ0(新規事業案の検討)と1(新規事業開始)の間にステップ0.5となる事業性の評価です。この段階で外部環境(市場規模・市場成長性・社会性など)と内部環境(優位性・収益性・投資回収など)について、情報収集や分析を行い、各項目を定性的、定量的指標からスコアリング・評価することで事業の見極め、課題認識や改善・強化対策の整理を実施することが大切なステップとなります。

新規事業開発を成功させるポイント

ここでは、新規事業検討時に押さえるべき5つのポイントをあげます。これらが不十分であれば、新規事業の成功確率は低くなるといえます。

ポイント1:ビジョンとの整合性
新規事業が短命で終わる、事業自体が社内で腹落ちしない、といった状況を起こさないために、自社でやるべき意義が問われます。ビジョンとの整合性が取れていることが重要です。

ポイント2:事業ロットとの整合性
新規事業に経営資源を投入し、今後の成長エンジンとして成長させていくためには、目指すべき数値目標を達成できる「事業ロット(事業の大きさ)」であることが重要です。

ポイント3:強み・経営資源の活用
新規事業を「早期に立ち上げる」「成功確率を高める」ためには、事業スタート時点で優位性がある「強み・経営資源」を活用することが理想といえます。

ポイント4:社会的意義の有無
企業を測るモノサシは「経済性(決算書)」に加えて「事業の社会性」が求められています。社会的意義の高さは事業の持続性・成長性に大きな影響を及ぼします。

ポイント5:課題・リスクの把握
新規事業の失敗、頓挫、業績へのマイナス影響が生じないよう、客観的分析・多面的分析を踏まえて、事前に新規事業の課題・リスクへの対策を立てる必要があります。

上記のポイント1~5を踏まえて、新規事業設計後、実行推進の段階に向け、事業計画、アクションプラン、推進体制、マネジメント、マーケティング、撤退基準の準備が必要です。

新規事業開発の成功事例

成功事例①

概要:
既存業態とは別のターゲット層を囲い込むコワーキングスペースの新ブランド立ち上げ

ポイント:
14の新ブランドアイデアから事業性評価により1つに絞り込み
マーケティングサイトの立ち上げ
収益モデルパッケージ構築

成功事例②

概要:
ケアマネジャーを対象とした「住宅改修が必要な理由書」の自動作成アプリの開発及び事業化

ポイント:
パターン別の収益シミュレーションを通じた事業性評価

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部
チーフコンサルタント

足立 龍彦

新築・移転病院における医療機器・備品調達の選定ヒアリングから価格交渉、納品検収と開院までに要する調達業務を一貫して支援。その後、当社に入社。前職での経験から、プロジェクト推進と調達支援を得意とし、顧客に寄り添うコンサルティングを信条とする。

足立 龍彦

ABOUT

タナベコンサルティンググループは
「日本には企業を救う仕事が必要だ」という
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17,000社以上に経営コンサルティングを実施してまいりました。

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コンサルティング実績

創業66
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