COLUMN

2023.07.11

組織デザインとは?企業成長のためのポイント

"組織とは"広辞苑の中の1つに「ある目的を達成するために、分化した役割を持つ個人や下位集団から構成される集団」とあります。 今回のコラムでは企業成長のための組織のポイントを紹介します。

組織デザインとは?

組織の理想と現実

組織には大きく基本パターンが3つあります。 1つは"機能別組織"です。販売、製造、管理といった機能が組織単位になっているパターンです。単一事業に多い組織パターンであり、各案件を組織単位で分業しているパターンと言えます。 2つ目は"事業部制組織"です。製品やサービスカテゴリを1事業単位として事業部ごとに販売・製造・調達などの機能を有する組織パターンです。 カンパニー制もこの形態に近く、独立採算し事業として自立させる意思が現れた組織です。 3つ目の基本パターンは"マトリクス型組織"です。これは機能と事業が交わる形をしており事業の変遷に合わせたパターン1と2の進化系と言えます。 組織とは企業の歴史とも言えます。例えばエリア拠点別に組織を組成していた場合、これまでの既存顧客や従業員も守る必要があります。エリア拠点別に風土も価値観も違う場合がありますのでエリア別拠点を維持しながら事業戦略を推進する横断型組織を組成するなど組織再編には段階を経て変遷していくことが現実的です。

重要なことは組織を検討する際の軸です。"組織は戦略(事業)に従う"と言われますが、事業とはノウハウ×マーケットであります。 自社が有するノウハウを活用して誰のどのような課題を解決するのか。これが事業単位となります。 また、戦略とは"資源の再配分"ですので事業戦略とは"どのようなノウハウをどのような課題解決市場に対して活用することに内部資源を再配分するのか"を決めることです。 そしてその事業戦略を推進するために、組織・投資・制度を合わせていくことが必要であります。事業戦略が明確でも組織・投資・制度がミスマッチであると事業は伸びません。 半面で組織を変えなくても進む事業だとすれば事業戦略になっていないと言えます。

まずは事業戦略を推進するためにどのような機能を強化し、専門人財が何人必要なのか、どのようなKPI設定するか。 など"理想の組織"を描き、理想に向けて着実に進めていくことが求められます。 つまり、組織デザインは理想・目指す組織図に向けて2~3ステップで策定することが現実的と言えます。

組織にとって重要な要素

名称に意思を込め、役割を見直す

名称に意思を込め、役割を見直す

出所:タナベコンサルティングにて作成

組織にとって重要な要素は意思である名称と役割分担です。名称と役割は事業のライフサイクルに応じて変化します。 一般的に事業のライフサイクルは"導入期""成長期""成熟期""衰退期"の4つのサイクルで表されます。 それぞれのライフサイクルに応じて資源配分の優先度は変わります。導入期には認知度向上が必要です。 成長期には安定供給、成熟期には価値転換、衰退期には事業の意義を見直し必要に応じて撤退判断が求められます。 例えば導入期には認知度向上が必要ですので、マーケティングやブランディングと言った機能を強化することが必要となります。 組織に意思を示すというのは営業部内にマーケティング機能やブランディング機能を含めるのではなく、機能として独立させ、意思決定権を移譲するということです。 販売部、営業部、お客様サポート部、事業推進部、マーケティング部など"営業機能"を指す組織に対しても様々な名称が使われています。 自身の所属部門の名称の理由を語れる従業員を増やしていきましょう。 自社の理念、ビジョン、事業戦略を推進するために組織を再編し、名称も変更した理由を語れる従業員自体が最高のブランディングに繋がります。

名称に意思を込め、役割を見直す

出所:タナベコンサルティングにて作成

また、組織の形を見直すと同時に役割も見直すことが重要です。 見直しの例として、これまでは1人で全て対応できることがモデル人材とされていた場合に付加価値発揮のポイントのみに集中し、他業務を分業することが挙げられます。 A氏が得意な業務=A氏しかできない業務になっては組織としてのリスクになります。分業のポイントは垂直分業とプロセス分業の2つの切り口があります。 垂直分業とは"戦略構築・判断"と"実行・推進"に分業することとします。プロセス分業においても2つに分ける視点が必要です。 特定の製品やサービスに絞って一貫で対応するフルプロセス分業、と各工程に分業するパートプロセス分業です。 役割を見直すということは職務分掌を改訂・修正する前に事業戦略を推進するために垂直分業・フルプロセス分業・パートプロセス分業の3つの切り口において範囲・人数・求めるレベル基準などを設定し全社における割合をバランスを見ながら決めることが必要となります。

企業成長のためのポイント

経営の原理原則と健全な成長バランス

経営の原理原則と健全な成長バランス

出所:タナベコンサルティングにて作成

先述しましたが、事業とはノウハウ×マーケットです。これば1T4Mという経営の原理原則です。 事業とはtechnology(ノウハウ)×market(市場)と定義します。また、"戦略"とは資源を再配分することです。 よって、事業戦略とはどのようなターゲットに対してどのようなノウハウを活かして資源を再配分するのかを明確にするのか。と言うことと言えます。 残りの3MはMan(組織・人材)、Money(投資)、Management(仕組み・制度)であり、これを経営と定義します。事業(T×M)と経営(3M)がミスマッチだと事業は伸びません。 事業戦略が進まないのは事業戦略が間違っているのではなく、組織、投資、制度が不一致であることが多く見受けられます。

企業の成長とは事業の成長であり事業を成長させることで組織を成長させていくことが持続可能な経営と言えます。 企業成長のポイントはノウハウ×マーケットである事業と組織、投資、制度である経営の整合を取ることが重要な経営判断です。 また、健全な成長バランスとは人件費増加率<売上高増加率<限界利益増加率<経常利益増加率の順に増加率が大きくなることです。 これからはこれまでの間接部門を企画化して直接部門が付加価値業務に完全シフトすることが必要でしょう。 そのためにはデザイン、デジタル、マーケティング、ブランディングなど専門人材の活躍も必要です。 専門人財の増加により人件費が増加しても売上高、限界利益、経常利益をさらに増加させることを忘れず推進していただきたいと考えます。

著者

タナベコンサルティング
執行役員
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部

土井 大輔

大手システム機器商社を経て当社に入社。2016年より“物流が世の中を支えている”と物流経営研究会を立ち上げ、物流業のサステナブルモデルを開発。”荷主側“の経営課題を把握した上で物流会社の事業戦略構築を得意とする。また、製造・卸売・小売・サービス・建設業の経営支援も数多く手掛け、熱意あふれるクライアントファーストの姿勢でのコンサルティング展開で多くのファンを持つ。

土井 大輔

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