COLUMN

2024.02.09

ビジョン・ミッション・ストラテジー・バリュー
の役割と重要性を分かりやすく解説

ミッション・ビジョン・バリュー・ストラテジーの役割と重要性

経営戦略にはMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やストラテジーという概念があります。それぞれの用語を明確に区別・理解しているでしょうか。

いずれも企業の持続的成長のために必要な概念であり、マーケティングやブランディングにおいてはステークホルダーとの関係を強固にするカギとなります。
今回は、これらの単語の定義や役割、重要性、事例などをまとめて紹介します。

ビジョン・ミッション・ストラテジー・バリューの定義

企業理念や経営理念を、フレームワークに則って具体的な言葉として表現したものがMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)です。そして、これらを実現するためのさまざまな戦略をストラテジーと呼びます。記事の最初に、それぞれの用語の意味を解説します。

ビジョンとは将来像

ビジョンは「視覚・見通し・展望・夢」という意味合いを持つ言葉で、経営理念では企業の「将来像」を示します。一定の期間を経た後に、どのような企業になりたいかという具体的なイメージをさします。

人の気持ちに訴えるためには夢を語る必要があります。しかし、その夢は実現化が可能なこと、手段が明確であることなどが必要です。従業員やステークホルダーと共有できるようなビジョンを抱きましょう。

ミッションとは使命

ミッションとは文字通り「使命」であり、ビジョンとも連動しています。「ビジョンを達成するために何を行うべきか」「どのような企業であるべきか」を言語化したものです。

ミッションは経営者や従業員の行動指針にも直接つながる概念です。日常業務のなかでは常に意識し、判断基準となり得るものでもあります。ミッションが社内に浸透すると、全社的な足並みを揃える効果が生まれるでしょう。

ストラテジーとは戦略

ストラテジーは「戦略」です。

以下のような、あらゆる企業活動の方策を決めるものとして機能します。

・企業(経営)戦略
・事業戦略
・マーケティング戦略
・情報戦略
・財務戦略

企業活動は外に向かって行われるため、ストラテジーは外部環境を注視しつつ策定する必要があります。
ストラテジーはミッションを遂行するために必要な準備・計画であり、材料であり、道具であるといえるでしょう。ストラテジーによってMVVが現実化します。

バリューとは価値

バリューは「価値」または「価値観」です。企業が顧客や社会に提供する価値や、企業が大切にしているものを意味します。

経営者や従業員が企業の価値を明確に理解していると、「顧客に何を提供すべきか」がはっきりとわかります。価値は独りよがりなものではなく、顧客にとっても価値を持たなければなりません。

価値や価値観を共有すると、経営者とステークホルダーの利益が一致します。ブランディングにもよい影響をもたらすでしょう。

ビジョン・ミッション・ストラテジー・バリューの定義

パーパスとは社会における存在意義

MVVは企業と顧客の間だけでも成立します。そのため、必ずしも社会的な意味合いまで含まれてはいません。
対して、パーパスは社会における企業の存在意義をベースにした概念といえます。

パーパスは目的や意図を意味する言葉であり、「何のために企業が存在するか」という社会的な「存在意義」を起点として行動する指針です。ミッションを社会的側面から捉え直して、強力な動機付けをする意味合いもあるでしょう。

個人にとってのビジョン・ミッション・パーパス

企業で働く従業員は個人です。そして企業のビジョン・ミッション・パーパスは従業員が実践すべき 使命です。従業員は自身の業務にMVVを落とし込み、自分ごとにする必要があります。
ここからは、個人にとってのMVVと、企業と個人で共有する在り方を解説します。

個人のビジョン

個人のビジョンには個人の意思が強く関係するでしょう。なぜなら、仕事においては従業員自身で自分の将来像を決めることが、自己の成長につながるためです。

従業員は、企業のビジョンと自身のビジョンを一致させるようにしましょう。企業の将来像のなかでの自分の位置付けや身につけるキャリアの種類を踏まえて、企業の価値向上に貢献することを目指します。自身のビジョンを目指して成長し、企業の成長にも寄与しましょう。

個人のミッション

企業のミッションを共有し、従業員が自身の役割や、業務を遂行する姿勢を具体的に定義する必要があります。従業員は企業や顧客に対して果たすべき役割をミッションと考えましょう。そのうえで、仕事で大切にするものを他の従業員とも共有して、モチベーションを明確化することが重要です。

従業員が企業から押し付けられたミッションに従うわけではありません。企業のミッションを自分事にする方法を考え、上司と相談しつつ決めましょう。その際、企業のビジョンやパーパスに共感や理解を持つようにするとより効果的です。

個人のパーパス

個人のパーパスは、個人のミッションと似ています。異なる点は、企業のパーパスと同様に個人のパーパスにも社会性が必要である点です。

企業に貢献するよりも、社会に貢献する方が意義を感じるという従業員もいるでしょう。もし企業の在り方が社会にとって有意義なものであれば、そのような従業員も社会にとって有意義なものとなります。

社会にとっての意義を見据えて、企業の従業員として活動すると、強いミッションにつながります。

個人にとってのビジョン・ミッション・パーパス

ビジョン・ミッション・ストラテジー・バリューの役割と重要性

MVVは、企業理念や経営理念を言語化するために必要なフレームワークです。そして、理念を現実化するうえで重要なものがストラテジーといえます。

企業が成長・成功するには、これらのすべてが必要です。企業を動かす存在は人であり、人を動かす存在がMVVとストラテジーです。全従業員がこれらの意味を理解して、業務の意思決定を正しく迅速に行えるような状態を目指しましょう。

ビジョン・ミッション・ストラテジー・バリューの事例

ここからは、企業理念とストラテジーの事例を紹介します。取り入れている有名企業も多く、自社のMVVやストラテジーを考えるときの参考になるでしょう。

事例①ソフトバンクグループ

ソフトバンクグループは持続的成長戦略として「情報革命の資本家」であることを宣言しています。資本として位置付ける3つのインプットをもとに事業活動を通じて新たな価値を生み出し、資本を大きく成長させてビジョンにたどり着こうという戦略です。

ソフトバンクグループのビジョン・ミッション・ストラテジー・バリューは以下の通りです。

ビジョン 世界の人々から最も必要とされる企業グループ
ミッション 情報革命で人々の幸せに貢献する
ストラテジー 3つのインプット: 投資先から成る「群」| 財務的資本 | 人的資本
バリュー 「努力って楽しい」 No.1 | 挑戦 | 逆算 | スピード | 執念


事例②株式会社ヤクルト本社

ヤクルトは創始者が提唱した「代田(シロタ)イズム」をすべての事業の原点として、生命科学の追求によって世界の人々の健康を守るという理念を掲げています。

ヤクルトのビジョン・ミッション・ストラテジー・バリューを以下に示します。企業理念はミッションを主体としたものと考えられます。

ビジョン ・地域社会とともに発展する企業
・社会から信頼される魅力のある企業
ミッション 生命科学の追究を基盤として世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献する
ストラテジー ・本業を基本とした着実な事業展開
・透明性の高い経営
バリュー ・健康への情熱、発想「世界の人々の健康を守りたい」
・代田イズム:予防医学|健腸長寿|誰もが手に入れられる価格で


事例③DeNA

DeNAは想像を超える「Delight(歓喜)」を提供し続けることで、一人ひとりが自分らしく輝ける世界の実現を目指しています。

DeNAのビジョン・ミッション・ストラテジー・バリューは以下の通りです。

ビジョン 世界に通用する新しいDelightを提供し続ける
ミッション 一人ひとりに想像を超えるDelightを
ストラテジー ・インターネットとAIを駆使
・エンターテイメント領域と社会課題領域の双方の事業特性を活かす
・挑戦心豊かな社員の個性を余すことなく発揮
バリュー ・DeNA Promise
・DeNA Quality
・DeNAグループ行動規範


ビジョン・ミッション・ストラテジー・バリューの事例

まとめ

今回は、ミッション・ビジョン・バリュー・ストラテジーの定義を中心に解説しました。ミッションは企業の使命、ビジョンは将来像、バリューは価値や価値観、ストラテジーは戦略を表します。
これらは経営理念を言語化して明確に定義するためのフレームワークです。企業の目標や理念を定めたいときは、これらのフレームワークをもとにしましょう。今回紹介した事例もぜひ参考にしてくださいね。

著者

タナベコンサルティング
取締役
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部

村上 幸一

ベンチャーキャピタルにおいて投資先企業の戦略立案、マーケティング、フィージビリティ・スタディなど多角的な業務を経験後、当社に入社。豊富な経験をもとに、マーケティングを軸とした経営戦略の立案、ビジネスモデルの再設計、組織風土改革など、攻守のバランスを重視したコンサルティングを数多く手掛けている。高収益を誇る優秀企業の事例をもとにクライアントを指導し、絶大な信頼を得ている。中小企業診断士。

村上 幸一

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