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2025.01.06

ホールディングス化を検討すべき企業が知るべきタイミング

  • ホールディング経営

ホールディングス化を検討すべき企業が知るべきタイミング

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1997年法改正により純粋持ち株会社が解禁され、商法(会社法)の改正、税制改正が続いた結果、ホールディングス化を実施して、グループ経営を行う企業が増えております。ホールディングス化を図る上で、個々の事情はあるものの、大きく➀資本戦略、➁経営戦略の一貫として実施するケースに分けられます。

ホールディングス化を選択するきっかけと留意点

(1)ホールディングス化という選択肢について

➀資本戦略
自社の株主構成に対して、課題感がある際にホールディングスを検討する会社が多くあります。株式が分散しているケースや、名義貸しが存在しているケース、経営に関与していない親族の保有(相続による分散)、現経営者が経営判断を下すにあたり保有割合が達していないケースなど資本構成における問題は百社百様で各々の問題が存在しております。
そういった、株主構成における「ありたい姿」とかけ離れた現状の構成を是正するにあたり新たな株主構成で設立したHDを活用することが手段の一つとなります。HDが一括で各株主から株式を購入し、HDへと集約を図ることで、オーナー(株主)の承継を持続的にスムーズに行えるよう整えることが可能となります(従業員持株会や役員持株会の活用も含む)。
また、少数の名義貸し株や消息不明の親族株など、経営に実質関与のない株主であっても、スクイーズアウトを実施することで強制買取を可能にすることができます(少数株主の保有株式を1株未満にすることが条件)。
株式の集約や税金、新設会社(HD)の設立方法など実務上の手法に関しては、多くの選択肢があり多岐にわたりますが、資本戦略の一環として、株主構成見直しの一手段にホールディングス化はなり得る可能性があります。

➁経営戦略
昨今M&Aが日本にも定着し、年々成約件数が増加しております。経営者の高齢化や、M&A売却によるエグジットの理解など要因は様々でありますが、何よりも買収側のM&A意欲の上昇が最も大きな増加要因であります。人手不足や人口減少下における市場の縮小などの課題に対し、M&Aを通じてこれら課題を解決するケースが増加しております。人手確保や、高い成長の実現、もしくは投資対象としてのM&Aが増え、結果として事業持ち株会社として複数の事業会社をぶら下げる企業が増えております。
購入した後の関与を各社に任せることで、マネジメントにおける労力を避けることが出来ますが、"分社経営"状態と各社へのグリップ・コントロールが効かないため子会社の経営頼りとなります。ここでホールディングス化を活用し、"分社経営"から"グループ経営"へと移行を行うことで、全社一貫した戦略の立案が可能となります。ホールディングスが各事業会社をグリップし、各事業会社は収益の最大化のみに専念することでグループ収益の最大化を図れるため、ホールディングスの設立が選択肢として挙がって参ります。

➂M&Aを活用した成長戦略の一環として
昨今機能補完や業況拡大、または川上川下におけるサプライチェーン強化などM&Aの選択肢を採る経営者が多い。その際に事業ポートフォリオ見直しの一環として、機動的な事業会社の入替えを行うにあたり、ホールディング経営が最大限の効力を発揮する。

(2)ホールディングス化の留意点

プロフィットセンターとコストセンターを明確に分けることで、ホールディングスと事業会社の役割を明確化しますが、ホールディングス設立だけでは、グループ経営の効果を最大限に享受出来ない恐れがあります。

➀グループ理念の策定
➁グループ経営企画機能の整備
➂グループガバナンスの強化
➃グループマネジメントの整備
⑤シェアードシステムの整備
⑥グループ経営者育成システムの確立

以上6点がグループ経営を実装していくにあたっての留意点となります。
反対に、複数の事業会社を所有、もしくは経営をする中で、上記6点において課題感を感じた際は、グループ化を通じて整備を行っていくことがホールディングス化を検討していくタイミングとなります。

以下で➀~⑥における"分社経営"からホールディングス化活用の必要性を説明して参ります。

➀グループ理念の必要性
ホールディングス不在によるグループの価値判断基準が定まっていない場合、事業会社各社がそれぞれの判断軸で展開してしまうことで、各社バラバラな経営となります。収益を上げている内は問題が見えませんが、グループに対する帰属意識が低いことや、共通の価値判断不在のため、業績悪化時における立て直しが難航になります。

➁グループ経営企画機能の必要性
グループにおけるシナジーを発揮するには、グループ全体での戦略立案機能が必須となります。"分社経営"時においては各社の戦略に依存するため、各経営者に依存し、かつ配当収入をメインとするためグループ収益の最大化ではなく、個社利益の最大化が優先されます。この状況を打破するにあたりホールディングスでまとめ上げる機能が着目されております。

➂グループガバナンス
各事業会社が好き勝手してしまうと、経営におけるリスクが大きくなります。どこまで権限を事業会社に移譲するか、どこまで規制を強めるかはグループ方針次第ですが、どちらにせよリスク管理の観点からはガバナンスの強化が必須となります。事業会社のガバナンスが効かずリスクが大きい際はホールディングス化による統制も一つの検討事項となります。

➃グループマネジメント
"分社経営"では事業会社がそれぞれでヒト・モノ・カネ・業績などのマネジメントを行う自由度がある分、グループとしてのマネジメントが実施しきれず、真の実態把握に遅れが生じます。グループ全体の業績向上を図るのであれば、各事業会社へのマネジメントが必要となって参ります。

⑤シェアードサービス
全社各機能システムの統一化はダウンサイドシナジーとして業務効率化という観点からイメージがしやすく、"分社経営"であってもここだけは統一化するといったケースも散見されます。大事なところは機能としての統一化ではなく、戦略に基いた統一化となるため、ビジョン・戦略共有の下でのシェアードサービス強化が望ましい。

⑥グループ経営人材の育成
各事業会社が独立した経営を行うと、次期経営層の育成も各事業会社単位となるため、グループ情報やグループ人材を活かしきれないため、次世代経営層の育成が難航いたします。グループ間の人材活用といった視点もホールディングス化を検討する一つのきっかけとなります。

最後に

事業会社単体では経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)が不足していると感じた際も、グループ間リソース活用が、ホールディングス化検討のきっかけになるかと存じますが、さらには成長戦略の一環としてM&A戦略を推進するにあたり、事業ポートフォリオを再構築などホールディングスは全社戦略を立案できることがホールディングス化メリットの最大限享受に繋がっていきます。

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