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2024.12.27

グループガバナンス強化のポイント

  • グループ経営

グループガバナンス強化のポイント

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近年、事業の多角化やM&Aの実施に伴い、グループ体制に移行する企業が増えております。個々の事業会社が独立して業務を進めることは、当然ながらグループ統制という視点が求められ、「グループガバナンス」の重要性が高まっています。グループで展開する分、経営方針や規範が曖昧になることは大きなリスクとなり、また、規制環境の変化や社会的責任への対応を怠ると、企業価値の毀損にもつながります。本記事では、グループ全体の持続可能な成長と安定を実現するためのガバナンス強化のポイントについて解説します。

コンセプトは「グループ企業をグリップする」

グループガバナンス強化のポイント

強化のポイント❶ 事業会社の権限・責任の再定義

グループ内の事業会社ごとに明確な権限と責任を再定義することが重要です。曖昧な権限分配は、意思決定の遅延や責任の所在不明を招きます。
具体的には決裁権限基準書の再構築が必要です。「ヒト・モノ・カネ・情報」の項目で親会社が判断する基準、事業会社で判断できる基準などを設けます。親会社が策定した経営方針を事業会社に伝達するだけではなく、事業会社独自の経営判断を尊重しつつ、必要な場合には明確な承認プロセスを設けることがポイントです。

強化のポイント❷ グループ会社の管理規定の整備

グループ全体で統一した管理規定を整備することは、スムーズな運営の基盤となります。具体的には、以下のような管理規定が重要です。
グループ取締役規程 親会社・子会社それぞれで決議すべきことを明確に記載する。

規程管理規程  規程の制定、改廃、公布およびこれらに付帯する基本的事項と手続きなどを定め、かつ規程を体系的に整備して業務管理の正常化と合理化を図る
グループ会社管理規程  財産の所有、配当ルール、人事処遇の枠組み、シェアドサービスについての骨子を規程する
グループ組織規程  グループ全体の経営方針を実施するための基本となる経営組織・職務に対する基準を定め、グループ会社の業務の効率的な運営並びに責任体制の確立を図ることが目的
組織権限規定 会社の業務執行に関する各職位の責任と権限を明確にする
決裁権限規程 会社における決裁事項の基準および決裁の手続きを定め、業務の円滑な処理を図ることを目的とする
稟議規程 稟議にかかる基本ルールを定める規定。
内部監査規程 内部監査を通じ、会社の組織、制度および業務が方針や規定に準拠し、効率的に運用されているかを検証する

組織経営の基盤となる諸規定の整備は、単なるルール設計だけではなく、制度を運用することによる「人と組織の成長」に本質的な目的があります。

強化のポイント❸ 監査体制の構築とルールづくり

監査体制は、ガバナンスを強化する上で欠かせない要素です。内部監査の役割と外部監査の設計を通じ、監査ルールの明確化を行います。監査対象の範囲、頻度、報告プロセスを文書化し、適切な監査体制の構築へとつなげていきます。

強化のポイント❹ コンプライアンス・リスク管理体制の構築

各事業会社が異なる文化や法令の中で活動するグループでは、コンプライアンスとリスク管理が特に重要です。
コンプライアンスは当然ながら、リスク管理は潜在的なリスクを特定し、その影響を最小限に抑えるための具体的な計画を策定することが求められます。

強化のポイント❺ コミュニケーションパイプの設計

グループ内の円滑なコミュニケーションがガバナンス強化の鍵となります。
例えば、情報共有プラットフォームを導入してみる。ITツールを活用し、各事業会社間でリアルタイムに情報共有を行う仕組みを構築したり、親会社と事業会社の経営層が定期的に集まり、戦略や進捗を共有する情報共有の場を設けることが重要です。

グループ企業をグリップするためにシステムの運用と定着化を考える

ポイントを抑えたシステム設計・構築だけでグループガバナンスの強化とはなりません。設計したグループガバナンスのシステムをグループ全体に定着させ、企業グループ全体の効率性と透明性を高めるために運用とその定着化に取り組みます。

【具体的施策】
①グループ本社の取締役会や経営会議を定期的に開催し、全体の戦略や課題を共有する場を設ける
②決裁権限規程やグループ会社管理規程を厳格に運用し、各事業会社の適切な意思決定を支援する
③事業会社に対しては、会計監査や業務監査を実施し、経営の透明性を確保するとともにリスクを低減する
④コンプライアンス担当を設置し、定期的なコンプライアンス委員会を開催することで法令遵守を徹底する
⑤グループ本社から事業会社の取締役会に積極的に参加することで、現場の状況把握と連携を強化する

制度3割:運用7割とも表現されるように、設計したシステムが仕組みとして社内に落としこまれ、PDCAサイクルを回しながらマネジメントしていきます。これらの取り組みにより、全体の統制を保ちながら各社の独自性を活かし、グループ全体の持続的成長を実現していきます。

さいごに

ポイントはグループとしての意思決定プロセスの明確化と権限委譲

グループガバナンスのコンセプトは、グループとしての意思決定プロセスの明確化と権限委譲、と表現することができます。
権限委譲を前提とした意思決定機関の運用や事業会社への決裁権限の拡大に取り組んでいくことが大方針となり、グループガバナンスの強化へとつながっていきます。
また、前提として、各施策はグループとしてのミッション・ビジョン・バリューに基づくものでなくてはなりません。
グループガバナンスは、グループ全体が統一された方向性を持ち、事業会社の独立性を尊重しながらも、共通の価値観や目標に向かって進むための基盤です。
事業会社の権限と責任の明確化、管理規定の整備、監査体制の強化、コンプライアンス・リスク管理体制の構築、そして円滑なコミュニケーションの確立といったポイントを意識し、持続可能な成長を実現しましょう。皆様の企業が、より強固で効率的なグループガバナンス体制を構築できるように、タナベコンサルティングでもご支援をしております。

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