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2024.11.01

分社化とは?分社化のメリット・デメリット

  • ホールディング経営

分社化とは?分社化のメリット・デメリット

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企業が成長し、多岐にわたる事業を展開するようになると、経営の効率化や戦略的な意思決定が求められます。その中で、分社化という手法が注目されています。分社化とは、企業が持つ複数の事業の一部を切り離し、独立した会社として運営することを指します。今回は、分社化のメリットとデメリットについて詳しく解説します。

分社化のメリット

1. 経営の効率化
分社化により、各事業が独立した経営体として運営されるため、経営の効率化が図れます。各事業部門が独自の経営戦略を立て、迅速な意思決定が可能となります。これにより、競争力の強化や市場の変化に柔軟に対応することができます。

2. 専門性の向上
分社化により、各事業が専門的な知識や技術を持つ人材を集めやすくなります。これにより、各事業の専門性が向上し、競争力が強化されます。また、専門性の高い人材が集まることで、イノベーションの促進や新しいビジネスチャンスの発見にもつながります。

3. リスクの分散
分社化により、企業全体のリスクが分散されます。例えば、ある事業が不調に陥った場合でも、他の事業が健全であれば、企業全体への影響を最小限に抑えることができます。これにより、企業の安定性が向上し、持続的な成長が期待できます。

4. 資本調達の柔軟性
分社化された事業は、独立した会社として資本市場から資金を調達することが可能です。これにより、各事業が必要な資金を迅速に調達し、成長戦略を実行することができます。また、親会社としても、分社化された事業の株式を売却することで資金を得ることができます。

5. 経営者の育成
分社化により、各事業の経営者が独自の経営判断を行う機会が増えます。これにより、経営者としての経験を積むことができ、将来的な企業のリーダーシップを育成することができます。経営者の育成は、企業の持続的な成長にとって重要な要素です。

分社化のデメリット

1. コストの増加
分社化には、初期費用や運営コストがかかります。新しい会社を設立するための法的手続きや、独立した経営体としての運営に必要なシステムの構築など、さまざまなコストが発生します。これにより、短期的には企業全体のコストが増加する可能性があります。

2. 経営資源の分散
分社化により、経営資源が分散されることがあります。特に、人材や技術、資金などの重要な経営資源が分散されることで、各事業の競争力が低下するリスクがあります。これにより、企業全体の成長が鈍化する可能性があります。

3. 統制の難しさ
分社化により、各事業が独立した経営体として運営されるため、親会社としての統制が難しくなることがあります。特に、各事業が異なる経営戦略を持つ場合、全体としての一貫性を保つことが難しくなります。これにより、企業全体の方向性が不明確になるリスクがあります。

4. ブランド価値の低下
分社化により、企業全体のブランド価値が低下することがあります。特に、親会社のブランド力が強い場合、分社化された事業が独自のブランドを築くのに時間がかかることがあります。これにより、顧客からの信頼を失うリスクがあります。

5. 競争の激化
分社化により、同じ市場で競争することになる場合があります。例えば、親会社と分社化された事業が同じ市場で競争することになれば、内部での競争が激化し、企業全体の利益が減少する可能性があります。これにより、企業全体の成長が阻害されるリスクがあります。

分社化を成功させるためのポイント

分社化を成功させるためには、いくつかのポイントがあります。
まず、分社化後の自社グループのビジョンを明確にすることが重要です。ビジョンが不明確であれば、経営資源の分散や統制の難しさなどのデメリットが顕在化しやすくなります。次に、分社化後のグループ経営体制と分社化企業の経営体制を整えることが重要です。特に、各事業の経営者や経営戦略を明確にし、迅速な意思決定ができる体制を整えることが求められます。その際に縦割り化にならないよう、グループ役員会・グループ経営推進会議・グループ管理部会議・グループ共通委員会などグループ横断組織をつくり、ホールディング会社と各事業会社を1 つの組織と見なして、グループ全体が効率的かつ効果的に運営されるように統制管理する仕組みを導入することなども必要です。

また、分社化後の統制を強化することも重要です。親会社としての統制を強化し、全体としての一貫性を保つことが求められます。分社化後はグループ経営体制を敷き本社機能を再設計するのが望ましいです。グループ経営でいえば、遠心力で売上高を上げるのは分社化後の事業会社であるが、全体の付加価値を高めるのはグループ本社に依るところが大きいです。また、グループ経営でない会社も、これに相当する機能を果たす組織を設計すべきです。
本社機能には「高い付加価値」を生み出す機能に加えて、「強い求心力」を発揮する機能も求められます。資本市場からより多くの出資を集め、労働市場からより多く社員を採用するには、企業(グループ)の魅力を高めていかなければならないし、また、それを有効にアピールしなければなりません。

最後に、分社化を任せられる経営人材を育成していなければなりません。分社化後前は、事業の拡大に注力していたリーダーを経営者に昇華させる必要があります。経営者には事業センスと経営センスのふたつのセンスを高めなければなりません。事業センスは「商品・サービス」を「どこの市場」にぶつけるかといったセンスであり、今ままで培ってきたセンスです。しかし経営者には経営センスが必要であり、「財務、人材、マネジメント」をいかに行っていくか、分社化企業を経営していくかが求められます。さらに分社化していくためには、経営人材の育成を常態化していく社内の仕組みも必要になります。リーダーにも得手不得手があり、リーダーの不得手を補う人材も必要になります。一人だけを育成するのではなく多くの人材に成長する機会を用意し、成長を促してください。

まとめ

日本国内でも、分社化を取り入れ競争力を高めてきた企業は多く存在します。目的として、経営の効率化や専門性の向上、リスクの分散など、多くのメリットをもたらす一方で、コストの増加や経営資源の分散、統制の難しさなどのデメリットも存在します。分社化を成功させるためには、明確なビジョンと戦略、適切な経営体制と統制、競争環境を考慮した戦略と実行できる人材の育成が求められます。企業が持続的な成長を実現するためには、分社化という手法を適切に活用することも検討していきましょう。

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