COLUMN

2024.02.02

継続的な企業価値向上に向けた資本戦略

  • 資本政策・財務戦略

継続的な企業価値向上に向けた資本戦略

価値観が大きく変化している現代では、継続的な企業価値向上に向けた資本戦略の選択肢の幅が拡がっています。経営者や株主が交代しても企業価値を高め続けるような経営承継が企業のステークホルダーへの責任として求められています。

企業のライフサイクルと資本戦略

創業期・成長期における資本戦略

企業の寿命は30年と言われて久しいですが、企業や事業にはライフサイクルがあります。その中の4つの成長ステージは、①創業期②成長期③成熟期(安定期)④衰退期です。その各過程の中で転換期・危機時期が生じます。創業期・成長期に考える資本戦略は、成長を加速するために、IPOを目指して社内や社外の体制を整えながら事業を成長させたり、バイアウトを前提にして、M&Aを活用して事業を発展させるといったように、資本戦略を意識して事業を展開してゆくことが重要です。
経営者が思うよりも事業のライフサイクルは、短いことが多いため、ある事業が成長期に入ったら、次の事業の創設に向けてタイムリーに成長戦略を実行に移すことが、企業や事業の成長のためには不可欠です。成長戦略として真っ先に思い浮かぶ資本戦略はIPOですが、様々なメリットがあると同時に、様々デメリットもあります。

例えば、
①資金調達が容易になる
②企業の知名度や社会的信用力が向上する
③優秀な人材が集まりやすくなる
といったメリットがある半面、
①機動的な経営判断ができなくなる
②情報の開示に関する事務手続の負担が重い
③株主代表訴訟や敵対的買収のリスクがある
といったデメリットのあるのです。

そのため、将来ビジョンを達成するための具体的な条件を描きながら、その実現手段の1つとしてIPOを検討するべきです。

成熟期における資本戦略

成熟期における資本戦略は、大きく分けて5つあり、衰退期に入る前に手を打つことが大事です。親族への承継、経営と資本の分離(ホールディング経営)、役員・従業員への承継(MEBO)、M&A(株式譲渡また事業譲渡)とIPOです。

親族内承継のメリットは
①内外の関係者が心情的に受け入れやすい
②経営者の意思を伝えやすい
③株式承継の選択肢が多い(売買・贈与・相続)
デメリットは
①相続人が複数いる場合、後継者選択や経営権集中が困難
②心情的に適格性の判断が甘くなる

経営と資本の分離(ホールディング経営)のメリットは
①財産・債務はオーナー家で継承し、事業は優秀な社員に任せられる
②企業の成長と株価高騰を切り離すことができる
③各事業の意思決定の迅速化と業績責任体制の明確化ができる
デメリットは
①グループ経営による合理化に時間がかかる
②各事業の一体感がなくなる可能性がある
③経営人材の不足

MEBOのメリットは
①役員・従業員が経営権を保有することで経営が安定する
②時価での買取となり、オーナー保有株式の現金化が可能
デメリットは
①後継者に信用力がない
②後継者に株式買取資金がないことが多い

M&Aのメリットは
①より広範囲から適切な会社、後継適任者を選択できる
②大企業(安定企業)の傘下となれば会社継続が安定する
③営業権も含めて時価での買取となり、オーナー保有株式の現金化が可能
デメリットは
①売り手、買い手の双方の条件を巡り交渉難航の可能性
②経営者は、買い手主導で決まる
③現役員解任の可能性がある

IPOについては前述した通りですが、加えて、能力主義で後継者を選べるというメリットに対して、そもそも上場基準の難易度が(時間的・収益的に)高く、なかなかIPOできないという最大のデメリットがあります。

転換期・危機時期の資本戦略

転換期・危機時期における資本戦略として、プライベートエクイティファンド(PEファンド)を活用するケースが増えています。PEファンドには、スタートアップ企業に投資するベンチャーファンド、成熟期(衰退期)の企業に投資し、事業承継を円滑に行うとともに経営に関与して企業価値向上を支援する事業承継ファンド、経営状態が悪化している企業に投資し、経営再掲を支援する企業再生ファンドがあります。ここでは、M&A(株式譲渡)に活用される事業承継ファンドについて説明します。PEファンドが果たす役割は、株式の承継、経営の承継、成長の支援、未来への承継です。この役割を果たすために、タナベコンサルティングのようなコンサルタント会社と協働することも多々あります。経営支援では、ファンドが経験豊富な経営人材を派遣し経営に関与しますが、事業運営はプロパーの役員や社員が中心となり行われるため、企業文化を継承できます。成長支援では、オーナー経営から組織経営への移行などを支援します。ファンドは、中立的な立場とネットワークを活かして、成長戦略の策定と実行を支援します。会社の自立と成長を促し、環境や株主に左右されない強い会社になる基盤を構築することにつながります。未来への承継では、自立した経営体制を維持しながら、永続的な発展を実現する資本政策を立案、実施し、「第二の創業」に向けて、次の世代へと承継します。

M&A(株式譲渡)の選択肢として、事業会社を選ぶか、PEファンドを選ぶか、以下のような違いがあります。
事業会社は、安心感や信用力、シナジーによる業績拡大などが期待できます。また、事業強化や多角化などを目的にファンドと違って、長期に株式を保有するため、ファンドへの譲渡より高値で売却できる可能性が高いです。
一方、PEファンドの場合は、同じ企業文化で育った経営経営陣を中心とした経営が続くため、事業の継続性や中立性、社風やブランドの維持が可能で、経営課題が解決されれば、社員のモチベーションアップも期待できます。ただし、ファンドの投資期間は3~5年程度が一般的ですので、それ以降は、事業会社への売却やMEBO(経営陣・従業員による買収)が実施されます。会社を磨き上げ、よりよい相手を探すことで、企業価値を高め続けられれば、PEファンドの活用という選択肢も資本戦略の重要な打ち手となります。

タナベコンサルティングのMIRAI承継

最後に、タナベコンサルティングの提唱する「MIRAI承継」は、激変する経営環境に対応し、成長し続け100年先のMIRAI(未来)まで経営を繋いでいきます。PEファンドのような出資はしませんが、前述した①株式の承継②経営の承継③成長の支援④未来への承継をワンストップで提供して参ります。
具体的には、資本政策策定支援とその前後において、中長期ビジョン策定と計画推進、グループ組織経営システムの構築・実装支援、次世代経営者人材・次世代幹部人材の育成・サクセッションプランの設計・推進、後継体制構築、承継後の経営統合の推進など、継続的な企業価値向上に向けたコンサルティングを展開しています。

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「日本には企業を救う仕事が必要だ」という
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