CASE 事例
桃太郎文化を継承し、100人の桃太郎
(経営者)をつくる「社長育成プログラム」
~株式会社丸和運輸機関~
サードパーティー・ロジスティックス(3PL)の先駆者として、EC物流、低温食品物流、医薬・医療物流をコアドメインに、輸配送便「桃太郎便」で高い知名度を誇り、日本の物流を支える丸和運輸機関グループのサクセッションプランの一環として取り組まれている「社長育成プログラム」の事例をご紹介します。
桃太郎文化について
丸和運輸機関グループは「桃太郎文化」を経営理念の中心に据え、経営基盤を確立し成長してきました。
「桃太郎文化」は、経営の先見3要素の象徴です。桃太郎と鬼退治をした犬は①考働力、猿は②知識力、雉(きじ)は③情報力を発揮しました。また、犬は地上戦略、猿はケーブル戦略、雉はそらを飛ぶ衛星戦略として、ロジスティックス分野に求められる視点も意味しています。この3つを束ねる桃太郎は、丸和運輸機関グループの価値観や考働規範の総称であります。和佐見社長は、実践と継承を通して人を育てることが持続的な企業成長には必要で「100人の桃太郎(経営者)をつくる」ことを人財育成の目標に掲げてこられました。
企業成長とサクセッションプラン(後継者育成計画)
和佐見社長がトラック1台で創業されてから50年が過ぎ、今ではグループ合計14社、全国に172拠点の物流ネットワークを展開し、年商1330億円(2022年3月31日)、東証プライム市場の上場企業へと成長を遂げてこられました。特に「ECラストワンマイル当日お届けサービス」の拡大が、業績に大きく貢献しています。また、近年はM&Aを積極的に推進しており、グループ規模が拡大しています。2022年10月には、純粋持株会社制に移行し、AZ-COM丸和ホールディングスを発足させました。
このように丸和運輸機関グループの規模が飛躍的に拡大してゆく中で、企業を存続させるために、後継者をしっかり育て、事業承継を成功させる必要があることを強く感じておられました。創業者であり、カリスマ経営者でもある和佐見社長の代わりを務めるのは難しいからこそ、タナベコンサルティングは優れた経営者人材を育成するサクセッションプラン(後継者育成プログラム)として「社長育成プログラム」を提案しました。
その提案が和佐見社長の考えとマッチし、プロパー社員を中心にM&Aした企業役員も含めた、リーダーシップを磨き、社長としての器をつくるため、独自の要素も加えた「丸和運輸機関グループ社長育成プログラム」がスタートするにいたりました。
丸和運輸機関グループ社長育成プログラムについて
社長育成プログラムは、2021年5月から11月までの7カ月間、丸和運輸機関やグループ子会社の経営幹部12人が参加して、全10回(事前面談+9回)のカリキュラムで、以下の3つの目的を明確にしてスタートしました。
- 1.「桃太郎文化」を伝承、伝達、伝授する力を磨き高めると同時に、新たな使命感を作り上げられる経営人材をつくる
- 2.「事業価値の創造」「顧客開発」の先頭に立ち、経営者リーダーシップの「一丁目、一番地」とする
- 3.丸和運輸機関は人で出来ている、人が最大価値の会社であり、自らの器を磨くことで、人の価値を最大限発揮する
社長育成プログラムの目標としては、社長としての特性・資質・能力の研磨や、真の社長に必要な5つの能力(マネジメント力、決断力、先見力、戦略構築力、組織・人材デザイン力)の強化を掲げました。
第1回~6回は座学のインプットフェーズで、物流業界の他社ケーススタディをディスカッションしながら学び、課題として自社の分析・戦略設計に取り組みました。続く第7回~第9回では、実践のアウトプットフェーズとして、各事業会社の中期事業戦略・経営計画を策定し、最終回では1人づつ発表しました。前半のケーススタディも後半の戦略構築も、マーケットを分析し、ロジカルに考え、数字を組み立て、どのように意思決定をしていくのかを重視する内容です。丸和運輸機関では、勉強を重ねて教養を積み、知識を身に付ける「知解」とともに、学んだことを繰り返し実践し、体にすり込んで覚える「体解」を重視しており、アウトプットフェーズでは何回も何回も戦略を練り直し、事業計画を策定しました。この最終成果物の事業計画は、2030年に年商5000億円を見据えた長期ビジョンと2025年度までの中期3カ年計画であり、2022年5月に発表した「グループ中期経営計画2025」にも一部、その内容を盛り込んでいます。
タナベコンサルティングでは、受講した12人全員の課題の提出内容や最終成果物の発表内容、研修での討議内容を判断し、真の社長に必要な5つの能力(マネジメント力、決断力、先見力、戦略構築力、組織・人材デザイン力)について最終評価点と所見を記載して、和佐見社長に報告しました。社長からは、タナベコンサルティングの所見は、簡潔かつ的確、一人一人のトップ候補としての姿が明確に見えるようになったとの感想を頂きました。
100人の桃太郎(経営者)輩出に向けて、プログラムを定期的に開催
2022年10月には、純粋持株会社制に移行し、AZ-COM丸和ホールディングスを発足させました。M&Aや業務提携による業界再編など、物流業界もこれまでにない変革の波が押し寄せており、中長期的な視点でグループ戦略を立案しつつ、各事業会社の責任と権限を明確にし、意思決定のスピード化と機動的な行遂行を実現するグループ経営体制に進化していかなければなりません。外部環境の変化に対応できるロジスティックスのプロ集団として、ホールディング経営という新しい経営手法においても「桃太郎文化」をしっかり継承し、成長発展の原動力となることが必要です。そのために、サクセッションプラン(後継経営者育成計画)の一環としての社長育成プログラムを定期的に第2期、第3期と実施して、経営者人財の桃太郎を継続的に輩出することが、グループの未来を切り拓くことにつながっていきます。
自立的で持続的な成長を可能にするサクセッションプラン設計とその一環としての社長育成プログラムの実施をぜひ、検討してみてください。
グループ経営システム構築サービスの詳細は下記よりご覧ください。
担当コンサルタント
タナベコンサルティング
コーポレートファイナンスコンサルティング事業部
エグゼクティブパートナー
CFO視点で企業価値を高めるサステナビリティ経営研究会リーダー
鈴村 幸宏
メガバンクにて融資・外為・デリバティブ等法人担当を経て、当社入社。「企業を愛し企業繁栄に奉仕する」を信条とし、経営戦略・収益戦略を中心に幅広いコンサルティングを展開。企業を赤字体質から黒字体質にV字回復させる収益構造改革、成長企業に対するホールディングス化とグループ経営推進支援、コーポレートファイナンス視点による企業価値向上、投資判断、M&A支援の実績を多数持つ。また、オーナー企業に寄り添った事業承継支援、経営者(後継者)育成も数多く手掛け、高い評価と信頼を得ている。
会社プロフィール
会社名 | 株式会社丸和運輸機関 |
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所在地 | 埼玉県吉川市旭7-1 |
設立 | 1973年8月 |
代表者 | 代表取締役社長 和佐見 勝 |
売上高 | 1,330億円 |
従業員数 | 正社員4,589名 パート10,891名 合計15,480名 |
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