CASE 事例
「事業の専鋭化」と「地域への貢献」で持続的な成長を志す
~コスギ不動産ホールディングス~
分社化により事業の「専鋭化」を図る
母体であるコスギ不動産は1982(昭和57)年に小杉康之氏(現コスギ不動産HDの代表取締役会長)が実兄とともに創業し、以来約40年に渡り地場熊本で信用を積み上げながら順調に成長してきた。現在では熊本市内ではコスギ不動産を知らないものはいないくらいにブランドが確立している。
同社の事業は不動産売買の仲介(以下、売買事業)を祖業として、地主(オーナー)が建てた収益物件の管理(以下、管理事業)、賃貸物件の仲介(以下、賃貸事業)の3つのを中心に業容を広げてきた。またグループ会社ではB2Bのテナント物件を管理するジャナスなどの不動産関連事業の裾野を広げ、更にはグループホーム(介護事業)を展開する「かいごのみらい」や熊本近郊のリゾート開発を手掛ける「阿蘇ハイランド開発」など、地場熊本の"住ドメイン"に密着した事業をグループで展開している。ホールディング経営移行以後はコスギ不動産HDを含む11社でグループ経営体制を構成している(【図1】参照)。
コスギ不動産グループのホールディングス化は創業者の小杉康之現会長が社長時代に発想し、その思いを後継者である小杉周司現社長が受け継いで、実行を決断した。その第一の目的は事業の「専鋭化」にある。「専鋭化」というのは2022年4月にホールディングス化に移行したパナソニックホールディングスが、その事業再編の目的として使った言葉である。事業が一社一事業で分社化することで専門性が研ぎ澄まされ、競争力を増して行くというものである。この目的の本質はコスギ不動産の事業にも当てはまる。前述した売買事業、管理事業、賃貸事業をそれぞれ分社化することで、各事業での競争力を高めてゆく。人口減少でシュリンクする地域の市場においても更に成長を志そうとするものである。
地域貢献でミッションを"進化"させる
同社のホールディングス化には事業の専鋭化に加え、他にも2つの目線がある。一つは既に展開している不動産周辺事業をホールディングス傘下として資本系列化すること。もう一つは介護事業やリゾート開発事業など不動産事業以外の多角化を進めていくことである。多角化を推進する価値判断の軸は「熊本の未来をトータルプロデュース」することであり、そのミッションは不動産事業主体で事業展開していたときに比べて進化していると言える。
ホールディングス化する直前の2022年9月には現経営陣が集まって、グループとしてのMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を明文化した(【図2参照】)。そこには、あくまでも祖業である不動産事業を軸としながらも、目線は熊本に住む県民を向いており、グループとして成長することで地域に貢献したいという強い意志込められているのである。
図2 参照 ビジョン
「コスギ塾」で多くの経営者人材を輩出する
コスギ不動産HDには、もう一つ重要な経営目的がある。それは経営者人材を多く輩出することである。ホールディングス化以前のコスギ不動産の役員ポストは創業家である小杉家で埋まっており、叩き上げの社員が経営執行部として活躍できるポストは限定されていた。ホールディングス化することで、事業会社が増えており、その分役員若しくは社長のポストも多数セットアップされている。より多くの社員に経営者として登用するキャリアルートが生まれたのである。
経営者人材の育成システムとしては、2022年6月に「コスギ塾」が開校した。これは自ら手を挙げたものに経営者としての戦略判断力や決断力を高めてもらうことを企図しており、第1期には20名以上の幹部候補者が名乗りを上げた。今後、その未来の経営者候補は、経営としてのリテラシー向上から経営の実体験や決断力トレーニングを積んで一歩ずつ経営者として成長してゆく。2年後には数名の経営者人材が誕生していることが期待されるのである。
康之前社長が創業したコスギ不動産の意志を、2代目の周司社長が受け継ぎ、更にはホールディングスとして進化させてゆく。そして多くの経営者達とともに逆境の時代においても持続的に成長してゆくのである。コスギ不動産HDの未来はまだ始まったばかりである。
担当コンサルタント
タナベコンサルティング
執行役員
九州本部
中須 悟
「経営者をリードする」ことをモットーに、企業の財務収益構造や組織体制、資本構成を大局的かつ戦略的に改革するコンサルティングを得意としている。また上場・中堅企業における事業承継、ホールディング経営推進のスペシャリストとして、建設業、物流業、不動産業、製造業、小売・サービス業など幅広い業種での実績があり、全国で活躍中。CFPR認定者。
会社プロフィール
会社名 | 株式会社コスギ不動産ホールディングス |
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所在地 | 熊本県熊本市中央区九品寺2-6-57 |
設立 | 1985年7月 |
代表者 | 代表取締役社長 小杉 周司 |
売上高 | 56億円(2022年7月、連結) |
従業員数 | 421人(2022年8月) |
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