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食品業界における新規事業の必要性と、解決すべき2つの社会課題を提示し、課題解決に向けた事業例をご紹介いたします。
なぜ新規事業が必要なのか?
事業には寿命がある
現代は、VUCAの時代と言われ、非常に変化が激しく、先行きが不透明な環境であるといえます。
1つの事業だけで企業が永続的に発展することはなく、むしろ昨今の技術革新により、事業・製品・ビジネスモデルのライフサイクルはますます短命化していくといわれております。
日本は創業 100 年を超える老舗企業が、世界的に見ても圧倒的に多く、長い歴史のなかで幾多の困難を乗り越え、環境の変化に適応してきた企業が多く存在しています。
帝国データバンクの「100年経営企業」アンケート結果によると、創業100年を超える老舗企業のうち、「現在も創業事業が主力」と答えた企業が半数、「創業事業から応用・派生した事業が主力」と答えた企業が約4割、「創業時とほとんど異なる事業が主力」と答えた企業が約1割を占めています。
環境の変化に応じて、事業そのものを変化させていかなければ、生き残れないといえるでしょう。
参考:帝国データバンク https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000473.000043465.html
新規事業成功のための5つのポイント
新規事業の成功確率を高めるためには、以下5つのポイントをおさえていることが重要であるといえます。
①ビジョンとの整合性
②事業ロットとの整合性
③強み・経営資源の活用
④社会的意義の有無
⑤課題・リスクの把握
詳細は下記コラムをご覧ください。
新規事業開発の進め方。行うべきステップと成功ポイントを解説
食品業界における新規事業事例
(1)ビジョンとの整合性が高い事例
新規事業の成功確率を高める5つのポイントのうち、ビジョンとの整合性が高い事例を紹介いたします。
食品業界の社会課題の1つである食品ロス削減は、SDGsの目標「つくる責任つかう責任」にも設定されております。
「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」を達成すべく、世界各国が、2030年の目標達成に向けて独自の取り組みを実践しています。
株式会社クラダシは2014年に創業され、食品メーカーの廃棄となってしまう食材と消費者を繋げるプラットフォームを運営されております。規格外品や、賞味期限の3分の1ルール(3分の1ルールとは:製造日から賞味期限までの期間を3等分し、納品・販売期限を設ける商慣習)を過ぎた食材、季節商品を買い取り、消費者に届けることで、累計22,356トンの食品ロスを無くしています。
また、「日本で最もフードロスを削減する会社」というビジョンの実現に向け、低利用魚の「コノシロ」を活用した冷凍スープを新たにプライベートブランド事業として販売開始されています。
(つくってKuradashi:https://kuradashi.jp/pages/tsukutte-kuradashi)
出所:タナベコンサルティング作成
(2)強み・経営資源の活用が出来ている事例
次に、自社の強み・経営資源の活用が出来ている事例を紹介します。
食品業界では、飲食従事者の減少が社会課題の1つとして取り上げられています。
帝国データバンクの「「飲食店」倒産動向調査(2023 年)」によると、2023年の飲食店の倒産件数は768件と、過去最多でした。過小資本での開店も多く、物価高など、当初の経営計画からは想定外の事態に直面し、経営体力が早期に限界に達し、破綻したケースが多く発生しました。
そのような状況の中、ハウス食品グループ本社株式会社は、事業者の開業資金やオフィスワーカーの昼食難民課題の解決のため、「キッチンカーレンタル事業」を展開をしています。
キッチンカーを貸し出し、営業場所を提供するサービスとして、週1日から利用できるため、普段飲食業界に従事していない方の出店も可能にし、飲食事業者への機会提供を行っています。
同社では、その他にも様々な社会課題解決のための新価値創出活動として、「業務の20%を現在の担当業務以外にやりたい事業や製品開発などに充てることができる取り組み」や、「グループの垣根を超えて面白いアイデアをもつ社員同士がマッチングできる場」を提供されております。
まとめ
どのような事業にも必ず寿命があり、企業が存続するためには環境に適応し、事業を変化させていく必要があります。
特に食品業界においては、人材不足や食品ロス、低い生産性など解決すべき社会課題は多くあります。
新規事業においては、5つのポイントを踏まえ、自社がやるべき価値があるか見定めた上で実施することで、成功確率が高められるといえます。
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