経営基盤を強化するには?
着眼点とアプローチ方法について解説!
- 資本政策・財務戦略

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日本の新総理に高市早苗氏が就任し、金融引き締め(利上げ)から金融緩和に移行すると見られています。
その結果、円安が再び進行しており、輸入物価の上昇によりインフレが続く見込みです。
現代は、このような政治の変化に限らず、さまざまな出来事が経営に絶え間ない変化をもたらす、不確実性の高い時代です。
経営基盤を構成する要素について
不安定で不確実性の高い時代(VUCA:Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity)において、企業が持続的な成長を遂げるには、外部要因の影響を受けにくい強固な経営基盤を築く必要があります。
では、経営基盤とは具体的に何を指すのでしょうか。
ここでは大きく経営と事業に分けて考えます。
ヒト・モノ・カネといった経営資本のうち、モノに該当する顧客基盤や営業体制などの事業基盤ではなく、ヒトやカネ、さらに経営システムなどを企業経営を支える要素として、ここでは経営基盤と定義します。
この定義に基づき、企業を支える経営基盤を構成する要素を、人材(ヒト)、財務(カネ)、ガバナンスやリスク対応および意思決定力を含む組織(経営システム)の3つに分け、それぞれの着眼点とアプローチ方法を説明します。
経営基盤を強化するための着眼点とアプローチ
まず初めに、ヒト(人材)について述べます。
人材は企業経営を支える最も重要な資産です。
優秀な人材の確保、すなわち量と質の両面での確保が、経営基盤の強化に直結します。
しかし、無計画に優秀な人材を採用するにも経営資本には限りがあり、また、何を優秀とするかの定義も企業ごとに異なります。
したがって、着眼点としては、自社ビジョンに即した人材の採用、育成、評価、配置のサイクルを適切に回すことが重要です。
そのためには、自社ビジョンの実現に向けて、どのような人材を採用し、育成し、評価し、戦略に沿って配置するかを設計することが、経営基盤強化への第一歩です。
次に、財務(カネ)について説明します。
資金が豊富であることは企業経営における選択肢の幅を広げ、経営基盤の強化に直結することは理解しやすいでしょう。ただし、経営基盤強化の着眼点は資金調達戦略の立案だけではありません。自社の現状を数値で正確に把握できる状態を構築することも重要です。
新たな戦略を打ち出すにあたって、どの領域で利益が生まれ、どこに費用が発生しているのかを把握し、将来に向けた成長戦略を数値に基づいて描くことが不可欠です。
しかし、自社の各種数値が適切に可視化され、管理会計が整備されている企業は意外に少ないのが現状です。セグメントごとの粗利だけでなく、営業利益まで把握できているでしょうか。顧客別、地域別、商品別、商品群別、設備別、売り場面積別といった多面的な切り口で、自社の業態に即した粗利や限界利益、さらに営業利益まで把握できているでしょうか。単純にビジネスモデルの収益性を把握するだけであれば、限界利益や粗利で足りる場合もあります。
一方で、事業として選択と集中を行い、推進するか撤退するかを判断するためには、その事業に投下した人件費や経費、さらに本社経費をどの程度回収できているのかを把握する必要があります。適切な損益分岐点の把握やセールスミックス、すなわち商品構成に対する判断を下せる状態を整えることが、経営基盤を安定させるための判断の精度を高める第一歩です。さまざまな切り口で数値を読み取ることで、市場の勝機をいち早く捉え、危機も迅速に察知できる体制を整えることが、経営基盤の強化に直結します。
シームレスな経営に向けた経営システムの強化
最後に、経営システムについて説明します。
経営陣が下したヒトやカネに関する判断を踏まえ、いかに全社で理解し、共有し、組織を動かすかという観点こそが、いわゆる経営システムの整備です。
経営システムの整備は、大きく2つに分けられます。
1つはハード面の整備であり、経営統合システムなどの仕組みを構築することです。
もう1つは、社内の業務フローや会議体などのソフト面の整備です。
ハード面については経営資源の制約もあるため、本コラムでは、企業の戦略を実行するための仕組みやプロセスといったソフト面の経営システムに焦点を当て、経営基盤を強化するための着眼点とアプローチを解説します。
経営基盤を強化するうえでの着眼点は3つあります。
1つ目は、マネジメント力の向上です。
マネジメント力を高めるには、管理職層へのマネジメントスキルの継続的な育成が欠かせません。
現場での経験や上司の姿を見て学ぶ方法では、時間がかかり、環境に左右されやすく、再現性が低くなりがちです。
そのため、意識的にマネジメント力の向上に投資することが、経営基盤強化には不可欠です。
2つ目は、マネジメントをしやすい環境を仕組みとして整えることです。
具体的には、どの階層で業績を管理し、どの場で対策の共有や議論を行うかといった会議体の整備、半年から1年先の業績を先行して管理し、将来の業績差額に対する対策を検討する先行業績管理体制の構築、属人的な業務の改善に向けた業務フローの見直しや標準化などが挙げられます。
3つ目は、このマネジメントシステムを継続的に機能させる文化の醸成です。
計画、実行、確認、改善が確実に機能する状態をつくるためには、業績に対する責任の追及に終始するのではなく、差額の要因となる課題の真因を見極め、その真因に対する対策を試行錯誤を重ねて改善していく組織風土を築くことが不可欠です。
まとめ
経営基盤の強化は、プロジェクトとして短期間で構築できるものではなく、地道に日々の経営活動を通じて、着実に基盤を強化していくものです。本コラムでは、経営基盤を強化する着眼点として、人材(ヒト)、カネに関する管理会計、経営システムとしてのマネジメントの3つを挙げています。これらをそれぞれ整備することで、経営環境に変化が生じた場合でも、数値に基づいた適切な判断を行えます。その判断を実行する人材が迅速に対応し、さらに推進力を維持するマネジメント体制のもとで、収益機会を捉え、危機にも対応できる体制を整えられます。その結果、不確実性の高い時代においても強固な経営基盤を構築できます。
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