今年度の新卒社員が入社して、早くも数か月がたちました。今回のコラムテーマは採用ブランディングです。

厳しさを増す採用市場
今年のトレンドはミスマッチ
選ばれ、定着する採用ブランディング
皆さんご存知のように、近年の採用市場は厳しさを増す流れとなっています。
例えば、今年の話題では、退職代行サービスを使用した4月中やゴールデンウィーク明けの早期退職のニュースが目立ちました。退職理由として、『聞いていた話と違った』というミスマッチが多く挙げられていますが、早期退職は、企業にとっても採用担当者にとっても大きなデメリットであり、売り手市場において大きな痛手となります。
採用市場は、早期離職率上昇のほかにも、労働人口減少、採用活動の長期化・早期化、グローバル化などが進んでいる複雑な状況です。
その中で、優秀な人材に選ばれ、定着させていくために行う、採用ブランディングについて、今回はご紹介いたします。
採用ブランディングの目的と推進の流れ
自社のブランド力を高めるコーポレートブランディング
正しい現状認識が大事
採用ブランディングは、就職や転職を検討している方へ、自社の「企業理念」や「ビジョン」、「パーパス」などを知ってもらい、自社への入社意向を高めてもらう活動です。自社のブランド力を高めるコーポレートブランディングとも言えます。
単に採用HPや広告を作ればいいわけでなく、自社にとって必要な人材が、長期的に活躍してもらうために、他社との違いや自社の魅力を伝える必要があります。そのためには、一貫性のあるメッセージを発信する必要性と、ミスマッチがないように、候補者に発信内容を体験できる場を提供する必要があります。
採用ブランディングの目的は、企業の価値観と合う人材と出会い採用することです。「母集団の質」を向上させ、企業の価値観にマッチする人材を採用できれば、採用後の定着率にも良い影響が期待できます。
採用ブランディングを推進するための流れは以下のようになります。
1.現状認識
まず、方向性やゴールの目線合わせ、求める人材の明確化、課題整理などを行います。また、3C分析や競合調査を行うことで、客観的な視点をもって自社の状況を理解します。ここでは、事実に基づき納得がいくまでディスカッションを重ねることが、採用ブランディングの土台作りとして重要な点になります。
2.戦略設計と展開計画策定
正しい現状認識ができたら、それをもとに戦略設計を行います。KPI設定や採用コンセプト、ターゲット・ペルソナ策定、具体施策決定などを進めていきます。前のフェーズで行った現状認識の内容をぶらさないことが重要です。
また、設計した内容の展開計画を立て、具体的なアクションプランへと落とし込んでいきます。
3.実行推進
ここまで決めた内容を元に、PDCAを回していくフェーズとなります。例えば、採用サイトの改修・採用動画制作・採用広告やイベント実施などが取り組みの内容です。
採用ブランディング推進時のポイント
ブランドを築くための3つの価値
自社の強みを見つけそれを磨いていく
採用ブランディングを推進していく際のポイントを1つご紹介します。
タナベコンサルティングでは、ブランドを築くための3つの価値として、「専門価値」、「人材価値」、「社会価値」を挙げています。
「専門価値」・・・商品・技術・サービス
「人材価値」・・・社員や社風の良さ
「社会価値」・・・世の中の役に立つこと
これらの3つの観点から自社が強みを発揮できるブランドの素材を見つけ、それを磨くことでブランドの方向付けを明確に行っていくことが、採用ブランディング推進におけるポイントの1つです。
さいごに
今回は、採用ブランディングの推進の流れと、ポイントをご紹介させていただきました。
複雑化する採用市場のなかで、その場に応じて一時的な対処をするのではなく、中長期的に核となるブランディングを推進することによって、企業価値向上につなげることができるのではないでしょうか。これから採用ブランディングを行わなくてはいけない企業やご担当者のお力になれれば幸いです。
AUTHOR著者
ブランド&PRコンサルティング事業部
チーフコンサルタント
三浦 さくら
クライアントの強みを生かしながら顧客体験価値を向上させるプロモーション戦略の立案やインナー・アウターブランディングツールの製作を通じ、クライアントと顧客のコミュニケーションモデル構築の支援に携わっている。エンドユーザーを意識し、クライアントのブランドの魅力を伝えられるご提案を目指している。

