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技術の進化や経済環境・価値観など、日々目まぐるしく時流が変化する昨今、変化に適応し長期的な成長を目指してリブランディングを行う企業が多く見られます。リブランディングとは、既存のブランド価値を再構築し、新たな市場や顧客を開拓するための戦略です。そのタイミングとして、多くの企業では周年期に合わせた「周年事業」を実施しています。
本コラムでは、周年事業の目的に加え、施策例や注意すべきポイントについて解説していきます。
周年事業における4つの目的
企業における周年事業の目的は、横軸「WHO(誰に)」を社内・社外、縦軸「WHAT(何を)」をコーポレート・事業の縦軸で整理し、4つに分けて考えることができます。
1. 社内×コーポレート=「理念確立」
企業の存在意義や将来の方向性を見直し、共有可能な価値観として明文化することでミッション・ビジョンを確立します。そして社内全体への推進をはたらきかけることで、企業への理解促進・意思統一を図ります。
2. 社内×事業=「内部活性」
社員の結束力を高め、組織の一体感やモチベーションを向上させる取り組みを行います。過去の歩みを振り返りながら理念や目標を再確認したり、業務体制の見直しによって生産性向上を図ります。
3. 社外×コーポレート=「イメージ確立」
企業の理念や歴史、社会的役割を広く社会に発信し、ブランド価値や信頼性を高めます。周年事業における様々な施策を通じて一貫したメッセージを発信することで、取引先や顧客から見た企業・商品のブランドイメージを確立し、コモディティ化からの脱却を図ります。
4. 社外×事業=「活動プロモーション」
周年という企業の節目をきっかけに、ブランド価値や社会的信頼を高めるため外部に向けて広報・宣伝活動を行います。新商品・新サービスの開発やコミュニケーション施策の実施によって、企業の理念や取り組み、今後の展望を効果的に伝え、顧客接点強化・エンゲージメント向上を図ります。
周年事業における施策例と注意すべき事項
1. 理念確立のための施策(社内×コーポレート)
・パーパスプロジェクト
・社史制作
・ビジョンブック制作
・CIリニューアル
・新・中期経営計画策定
【注意すべき事項】
・トップダウンになりすぎない
理念は「押し付け」ではなく「共感」が重要です。現場の声を丁寧に取り入れることが必要です。
・抽象的すぎない表現にする
理念が曖昧だと実行や判断の指針になりません。具体性と実効性を意識しましょう。
・短期イベントで終わらせない
周年事業の一環として打ち出した理念を継続的に活用・浸透させる仕組みづくりが重要です。
・企業の実態と乖離させない
理念は「理想」だけでなく、「現状」や「企業文化」と矛盾しないことが信頼性に繋がります。
2. 内部活性のための施策(社内×事業)
・創業記念式典
・周年記念品
・社内報
・社内環境整備
・DX推進
・企業内大学(アカデミー)設立
【注意すべき事項】
・一部の社員だけに偏らない運営
施策に参加できる層が限られないよう、全社員が関われる設計が重要です。
・押しつけ感を避ける
参加を強制するのではなく、楽しみや意義を感じられるように工夫しましょう。
・日常業務への影響を配慮する
施策が通常業務の負担にならないよう、スケジュールや運営体制に注意しましょう。
・経営陣の積極的な関与
経営層が本気で取り組んでいる姿勢を見せることで、社員の納得感や信頼感を高めることができます。
3. イメージ確立のための施策(社外×コーポレート)
・TVCM
・OOH
・HPリニューアル
・リブランディングプロジェクト
・ブランドブック制作
・記念動画制作
【注意すべき事項】
・企業実態との乖離を避ける
社外へ発信する際も、発信する内容が現実の姿と乖離していないか十分注意しましょう。
・一貫性と統一感のある情報発信
企業イメージが曖昧にならないよう、デザインや言葉遣いに統一性を持たせましょう。
・過度な自己礼賛にならないようにする
自社の功績ばかりを強調せず、社会や顧客との繋がりに感謝を示す視点が重要です。
・ターゲットを明確にする
誰にどのようなイメージを届けたいのかを明確にし、施策ごとに最適な手段やトーンを選びましょう。
4. 活動プロモーションのための施策(社外×事業)
・ファンイベント
・限定商品開発
・コンテンツタイアップ
・消費者キャンペーン
・サンプリング
・SNS推進
・ノベルティ
【注意すべき事項】
・企業メッセージの一貫性を保つ
広告・動画・サイト・SNSなど全ての媒体で理念や価値観を統一することが重要です。
・プロモーションの「自己満足化」を防ぐ
企業側の事情だけでなく、見る人にとって価値や共感があるかを常に意識しましょう。
・炎上リスクや誤解への配慮
SNSや広告表現では誤解を招かない表現を徹底し、社会的な視点や感性にも注意しましょう。
・事後の効果検証と次への活用
アクセス数やSNSの反応、メディア露出などの成果を分析し、次の戦略へ繋げることが重要です。
まとめ
周年事業における目的と施策、実行時の注意点についてご紹介しましたが、何より重要なのは「一過性で終わらせない」ということです。社内・社外ともに周年事業だけで終わらせず、今後の社内文化の醸成や仕組みづくり、ブランディング施策など企業活動と連携することで、継続的なイメージ向上につなげていきましょう。
AUTHOR著者
ブランド&PRコンサルティング事業部
チーフコンサルタント
小川 咲季
クライアントの強みを生かしながら顧客体験価値を向上させるプロモーション戦略の立案やインナー・アウターブランディングツールの製作を通じ、クライアントと顧客のコミュニケーションモデル構築の支援に携わっている。エンドユーザーを意識し、クライアントのブランドの魅力を伝えられるご提案を目指している。

