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中小企業が採用市場で成功するには、採用ブランディングが鍵です。本コラムでは、優秀な人材を効率的に採用するための「採用ブランディングのあり方」と成功事例をご紹介します。
中小企業が直面する採用の課題とは
中小企業が人材採用において直面する課題は、応募数の減少や優秀な人材の確保が難しいことが挙げられます。採用メディアを活用した母集団形成が一般的な手法となっている現在、中小企業が大手企業や有名企業と同じ方法で競争することは、広告費やリソースの面で勝つことはなかなか難しいのが現状です。また例えば、給与や福利厚生を大手企業と同等にすることで応募者を集めようとする対策をしたとしても、結局それだけで入社を決めた人は、会社への愛着も低く、入社後のミスマッチや早期退職を招くリスクにもつながります。
採用メディアで応募者の数を稼ぐ現在の採用活動では、「とにかく多くの応募者を集める」ことが重視される傾向があります。しかし、このアプローチでは、企業の理念や価値観に共感し、長期的に活躍できる人材を見つけることが難しいのです。
中小企業が採用活動で成功するためには、単に応募者の数を増やすのではなく、企業理念に共感し、長期的に活躍できる人材を効率的に採用することが重要です。採用活動の目的を「応募数・内定数」から「内定者の質」へとシフトすることで、企業の成長に直結する人材を確保できます。
採用ブランディングで共感を生む
採用ブランディングとは、採用市場における「ファンづくり」を目的とした戦略的な取り組みです。これは、企業の理念や価値観を明確にし、採用コンセプトに落とし込み、それに基づき一貫した発信をすることで、求職者に共感を生み出すことを目指します。採用ページ・SNS・説明会・パンフレット・面談など、すべての採用活動が一貫したメッセージを持つことで、企業の魅力を求職者に効果的に伝えることができます。
採用ブランディングにおける採用コンセプトの作り方については、以下のリンクをご参照ください:
採用戦略の立て方とは?具体的な戦略構築のステップを解説
特に中小企業においては、採用ブランディングが非常に重要です。大手企業と同じ土俵で戦うのではなく、自社の独自性や価値観を明確に打ち出すことで、他社との差別化を図ることができます。さらに、採用時に企業理念や価値観に共感した人材は、入社後の定着率が高く、長期的に活躍する可能性が高いとされています。
しかし、人事採用担当者は意識的には入社後の活躍まで考慮した業務を行っていたとしても、実際の採用担当者のKPIは「応募数や内定数」となっていることが多く、「活躍人材を獲得する」という本来の目的から視点が外れてしまうことがあります。これは、企業の評価制度が「採用人数を重視する評価制度」となってしまっていることが1つの要因となっています。経営者は、採用数だけでなく、理念に共感する人材を獲得することの重要性を再認識し、評価制度を含めて採用戦略を見直す必要があります。
採用ブランディングの成功事例から学ぶ
採用ブランディングの成功事例として、以下の2つの企業を紹介します。
1. 昭栄建設株式会社「まるはだか採用」
阪南市を拠点に土木工事・建築工事を行う昭栄建設株式会社は、「まるはだか採用」というユニークな採用コンセプトを掲げています。このコンセプトでは、企業の「良い面」も「悪い面」も隠さずに公開し、入社後のギャップをなくすことを目指しています。採用ページや説明会では、社員が本音で語り合う場を設け、企業の価値観や文化を正直に伝えています。この一貫したメッセージが、企業理念に共感する人材を引き寄せる結果につながっています。
2. 株式会社ダイキチ「全日本イキイキ化計画」
ビルメンテナンスや清掃サービスを提供する株式会社ダイキチは、企業理念に基づく「全日本イキイキ化計画」という採用ブランディングを展開しています。この取り組みでは、社員がイキイキと働く様子や、企業が社会に与えるポジティブな影響を強調しています。これにより、企業理念に共感する求職者を引きつけ、長期的に活躍する人材を確保しています。
これらの事例からわかるように、採用ブランディングは単なる採用活動の一環ではなく、企業の理念や価値観を求職者に伝える重要な手段です。中小企業が採用市場で競争力を持つためには、独自の採用ブランディング戦略を構築し、実行することが不可欠です。
実践してみよう!採用ブランディングの第一歩
企業の採用活動を成功させるためには、まず自社の理念や価値観を明確にし、それを一貫して発信することが重要です。採用ページ・SNS・説明会など、あらゆる接点で一貫性を持たせることで、求職者に企業の魅力を効果的に伝えることができます。また、採用活動の評価基準を見直し、採用人数だけでなく、理念に共感する人材の獲得や定着率を重視することが求められます。これにより、採用活動が企業の長期的な成長に寄与するものとなります。
採用ブランディングは、単なる採用活動の一環ではなく、企業の未来を左右する重要な戦略です。まずは自社の価値を整理し、それを基にした採用ブランディングを始めてみましょう。
AUTHOR著者
ブランド&PRコンサルティング事業部
コンサルタント
野口 菜々絵
印刷会社での販促プロモーション支援、医療機器フランチャイズチェーンでマーケティングコミュニケーションの計画策定から実行推進・新製品ブランディングに従事した後、当社に入社。サイト構築・WEB広告・SNS運用などを強みとし、データドリブンに基づいた分析・改善を行う。上級ウェブ解析士、SEO検定1級、SNSマネージャーの資格を持つ。

