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「営業戦略を立てた。でも、なぜか機能しない」
経営企画・営業企画の担当者から、こんな声をよく聞きます。フレームワークを使って市場を分析し、数値目標も設定した。しかし現場は動かず、売上は計画通りに伸びません。
その原因の多くは、戦略の「量」ではなく「解像度」にあります。誰に、どう届けるかが曖昧なまま、気合と量でカバーしようとする構造です。
今回は、事例企業を交えながら、機能する営業戦略に共通する3つの考え方を整理します。

ターゲットを「決める」ではなく「設計する」
なぜ「顧客名を絞る」だけでは機能しないのか
営業戦略の第一歩は、ターゲット顧客を決めることだと言われます。しかし多くの企業が陥るのは、「顧客名を絞る」だけで終わってしまうことです。
「大手企業を重点顧客にする」と決めたとしても、それだけでは現場の行動は変わりません。どの企業の、どの部門の、どんな課題を持つ担当者に、何を提供するのか。この解像度がなければ、営業の動き方は以前と変わらないままです。
本質はセグメンテーションにあります。市場をどのような切り口で分けるか、そのどこに自社の強みが発揮できるかを設計する作業です。
セグメンテーションと組織をセットで変えた事例
とあるサービス業の会社は、長年にわたり幅広いクライアントに多様なサービスを提供してきました。しかし事業の拡大とともにリソースが分散し、どの市場で戦っているのかが社内でも曖昧になっていました。
転機となったのは、自社のサービスをクライアントの課題起点で再整理したことです。市場をセグメントし、自社の競争優位が最も発揮できる注力市場を特定しました。
そのうえで同社がとった行動が重要です。注力市場を絞るだけでなく、サービスの提供機能と販売機能を切り分け、市場ごとに専門の事業会社として独立させました。戦略と組織をセットで変えたのです。
「どんな組織で戦うか」まで設計して初めて戦略になる
セグメンテーションは、分析で終わってはなりません。「どの市場で、どんな組織で戦うか」まで設計して初めて、戦略として機能します。
営業戦略を立てたのに現場が変わらないと感じる企業の多くは、戦略と組織体制が連動していないことが原因です。ターゲット設計と組織設計は、一体のものとして考える必要があります。

結果ではなく「先行指標」を管理する
「後手の管理」では手遅れになる
営業戦略を立てても、それを達成に導く管理の仕組みがなければ画餅に終わります。
多くの企業で行われているのは、月次の売上実績を確認し、未達であれば対策を考えるサイクルです。しかしこれは問題が起きてから動く「後手の管理」であり、対策を打てるタイミングはすでに手遅れになっていることが多いのです。
業績先行管理メソッドとは
タナベコンサルティングが多くの支援先企業に導入している「業績先行管理メソッド」は、この発想を逆転させるものです。起点は「真の差額」の把握にあります。真の差額とは、累計目標から「現時点の実績」と「3〜6カ月先行の見込み」を差し引いた数字です。
つまり「今月は達成している」ではなく、「半年後を今から見ると、いくら足りないか」を常に認識した状態で経営します。問題が起きてから動くのではなく、問題が起きる前に手を打つ――これが先行管理の本質です。
差額・情報・行動の3要素が揃って初めて機能する
ただし、差額を把握するだけでは先行管理は機能しません。差額を埋めるためには、3つの要素が必要になります。
まず情報です。どの顧客の、どの案件が、どのくらいの確度で受注できそうかという顧客・案件情報を継続的に動かし続けること。次に行動です。その情報を動かすのは社員一人一人の対策実行であり、いつ・誰に・何をしに行くかが計画されていることが前提になります。そして差額です。情報と行動が揃ったうえで、目標との乖離がどれだけ縮まっているかを常に数値で追います。
逆に言えば、売上目標が達成できない企業の多くは、差額の把握が甘いか、顧客情報が社内で共有されていないか、行動計画が場当たり的かのいずれかに問題を抱えています。

「自社営業100%」という前提を疑う
自社だけで営業することの限界
営業戦略の議論になると、どうしても「自社の営業をどう強化するか」に焦点が当たりがちです。しかし、自社だけで営業することが最適解とは限りません。
特に国内市場が縮小する中、新たな市場や顧客層へのアクセスを自社だけで開拓しようとすると、時間もコストも膨大にかかります。そのような状況下でも着実に成長している企業の多くは、「外部のネットワークや信頼関係をどう活用するか」という視点を持っています。
パートナーサーチで販路を広げる
その手法の一つがパートナーサーチです。販売代理店、流通パートナー、共同事業者など、自社が持っていない市場へのアクセスや顧客との信頼関係をすでに持つパートナーと連携することで、販路を一気に広げることができます。
たとえば海外展開において、「アメリカ市場」と広く捉えるのではなく、アメリカに在住するアジア系住民が多く集まる地域に絞り込み、その地域に根付いた流通パートナーと組む――こうした発想は、自社営業だけでは到達できなかった顧客層へのアクセスを可能にします。
自社の強みが最も活きる領域を見極める
重要なのは「なぜ自社だけで営業しているのか」という問いを立てることです。自社の強みが最も活きるのはどの部分か、外部に委ねた方が効率的な部分はどこかを整理することで、限られたリソースを本当に勝てる領域に集中できます。

御社の営業戦略は、今どこに課題がありますか
成功企業の営業戦略に共通するのは、精緻なフレームワークではありません。「誰に」「どう届けるか」の解像度を上げ、それを組織と仕組みで支える構造を持っていることです。
今回紹介した3つの考え方――ターゲット設計、先行管理、パートナー活用――は、どれも単独で機能するものではなく、組み合わせることで真価を発揮します。
「うちは戦略よりも実行力の問題だ」と感じている方ほど、実は戦略の解像度が足りていないケースが多いです。
御社の営業戦略は、今どこに課題がありますか。
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