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誰でもできる、いつでもできるカンタンな3つのポイント。
新規事業開発への苦手意識を無くす!頭を柔らかくし発想力を豊かにするビジネスの考え方。
0から1を生み出す新規事業。それが得意だと考える人材は少なく、多くの人は苦手意識を持っています。ではなぜ苦手意識を持つのか、それを解消することで、新規事業のアイデアがどんどん出せるようになります。
多くの人がとらわれている、新規事業を「苦手」と感じてしまう原因とは。
いくつかの原因があるのですが、今回は3点に絞ってお伝えします。
①世の中にない商品・サービスを生み出そうとしすぎている。
新規事業を考えるにあたり、多くの会社、多くの人が、「世の中にない商品・サービス」のアイデアを出そうと躍起になってしまいます。ただ、世の中にないものをいくら考えたところで、出てきたアイデアは、本当に世の中にないのでしょうか?今の時代、ありとあらゆるものが存在します。自分の周りにはない、調べた範囲では存在しないだけで、ほとんどのモノが世の中に存在しますし、今はまだリリースされていないだけで、すでに開発中のモノもたくさんあります。
また世の中に存在しないアイデアを発案できたとして、市場がない、販売する先がないため、存在していない商品であることも往々にしてあります。
「世の中にないものを考える」よりも、逆の発想で、「世の中にあるものからヒントをもらう」スタンスの方がうまくいくことが多いでしょう。地方で新規事業を考えるなら、東京・大阪、など都市部で最近流行っているモノは何か、を調査して、自身のエリアに持ってくるだけでも新たな商品になり得ます。
台湾発祥のタピオカミルクティーが流行したのは皆様もご存じかと思いますが、それを日本で流行らせたのは台湾の「春水堂」でした。春水堂が日本に1号店をオープンしたのは東京の代官山、そして代官山から日本全国へブームは拡大し、一時は国民的ブームにもなりました。
https://www.chunshuitang.jp/concept
また東京で新規事業を考えるとするならば、欧米で流行しているモノ・コトをそのまま持ってくるだけでも新たな商品になります。欧米の流行は、数年遅れて日本にやってきますので、理にかなっています。
今、私が注目しているのはアメリカのZillowという企業。
https://www.zillow.com/
ご存じかもしれませんが、不動産テックサービスを提供しており、アメリカでは不動産情報に関するWEB検索のうち、3割がZillowにアクセスしていると言われています。不動産件数も1億3000万件以上と圧倒的ですが、不動産情報だけでなく、該当エリアの土地価格推移や、過去の売買の記録など、Zillowを閲覧すれば、欲しい情報が何でも手に入ります。掲載されている情報量が、日本の不動産サイトとは大きく異なります。
また自動価格査定システム「Zestimate(ゼスティメイト)」や、売却意思のない所有者が価格次第では物件を手放しても良いというオークション機能「Make Me Move(メイクミームーヴ」など面白い機能があります。
2004年に法人化された同社の時価総額は、2023年6月現在で既に100億ドルを上回っています。
世の中にあるモノをTTPする(徹底的にパクる)のも1つの有効な手段でしょう。
②一発必中で、採用される新規事業案を出そうとしすぎている。
新規事業開発に関わったことのある方なら理解できると思いますが、全員が、採用される案を出そうとします。いわば当然ですし、失敗しそうな案を出すのが正しいわけではありませんが、皆が狙いすぎることによって、出てくる案の数が少ない、状況は避けたいところです。
新規事業のアイデアは1人で出すものではなく、複数人、チームで良いアイデアへ導くことが重要です。Aさんが出したアイデアは採用されなかったが、そのアイデアからインスピレーションを受けたBさんが素晴らしいアイデアを思いつく。またCさんの出したアイデアの欠点を、Dさんが穴埋めする、など、チームで成果を出すことを忘れてはいけません。
新規事業の成功確率は、千三つ(1000分の3)とも言われます。実際に、リクルートの社内新規事業プログラムであるRingに提出されたアイデアのうち、事業化されるのは2%。さらにそこから黒字化するのは15%というデータもあります。1,000件のアイデアに対して、事業化は20件、黒字化は3件となり、まさに1000分の3の確率です。
新規事業開発を長年継続している企業でさえ、そのような確率なのですから、採用される・されないを恐れていてはいけません。自身が認められる、手柄をあげる、という意識は捨てて、チームで成果を出すことに注力しましょう。
③はじめから、自社の力だけで、大きな成功を狙おうとしすぎている。
最初から大きな成果を狙いすぎるのも、アイデアが出てこない要因です。大きな成果を目指す案は、アイデアとして出してはみたものの、自社が有するノウハウでは実現できない、新規開拓すべきターゲット企業へのアプローチ方法が見つからない、そもそも準備に時間がかかりすぎるためイニシャルコストが大きすぎる、など、実現を阻む多数の障壁が浮彫になり、事業化に至らないことがあります。
そうならないためにも、スモールスタートできる事業をお勧めします。イニシャルコストがかからない、1名2名の人員で実行できる、既存取引先への営業が可能、など手軽に始められる事業アイデアで、スピーディーに小さな成功を納め、それを横展開しながら拡大していくことをお勧めします。
特に、これまで新規事業開発をしておらず初めて取り組む企業や、今まで新規事業開発では失敗続きで全社諦めムードになっている企業には、特に有効です。
さいごに
お伝えした考え方を参考にしていただければ、たくさんの新規事業アイデアが出てくるかと思います。そのアイデアを、ポジショニングマップや3C分析、SWOT分析など様々なフレームワークを活用して、分析し、選定してください。フレームワークは書籍やWEB上で誰でも調べることができます。
そして事業化するアイデアを決めた後、実際に事業化するためには、
・タスクリストを作成し、誰が、いつまでにやるのか、を明確にすることが重要です。特に「誰が」の部分は、1名の名前を明記してください。複数人の名前があると責任感が薄れてしまいます。
・また撤退基準を明確にしてください。これができていない企業が多く、撤退できないままズルズルと赤字を出し続けることになってしまいます。1年後に目標売上に到達していない場合、半年後に別事業とのシナジーが発生していない場合、2年間で投資回収が完了しない場合、など様々な基準がありますが、必ず設定し、新規事業に関わるメンバーと合意してから事業をスタートしてください。
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