COLUMN

2022.10.18

SDGsとは?企業における取り組みの意義

国内においてSDGsに対する認知度は80%を超え、現在新たな価値判断基準として市場に様々な変化を生んでいます。
この変化は全ての企業にとって機会ともリスクともなり得る転換期となります。
持続的成長の実現の為には企業は変化に対する表面的な取り組みではなく、「SDGsを正しく理解する」ことで、2030年の未来を見据えたSDGsへの推進が求められます。
今回は企業におけるSDGs推進の意義について事例を含めて解説致します。

SDGs、ESGの違いと関係性

リスクと向き合い、ステークホルダーとのコミュニケーションを図る

SDGsは2015年に国連サミットで採択された世界共通の目標です。17の目標と169のターゲットから構成されるゴール(目標)であり、国や自治体、企業、個人のまですべてのステークホルダーが協力して、経済・社会・環境の3つのバランスがとれた社会を目指しています。

一方ESGはEnvironment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス=企業統治)の3つの単語の頭文字を指し、今企業が取り組むべき課題であり、持続可能な経営手法への考え方を示しています。

視点が「ゴール(目標)」か「課題」か、対象が「すべての人」か「企業」かという点が明確な違いです。

企業においては「SDGsかESGのどちらか」を選択するのではなく、正しくリスクと向き合い、ステークホルダーとコミュニケーションを促進する必要があります。例えばESGで企業としてのリスクと向き合い、SDGsの観点でコミュニケーションを図る。このような考え方を取り入れることも効果的な手法と言えます。

SDGsの目標達成へと繋がるESGの取り組み

ESGが示す企業の取り組むべき課題の中でEnvironment(環境)を例に挙げて解説いたします。

ESGにおける環境面での具体的な要素として、「自然生体への配慮や生物多様性の保護への取り組み」、「気候変動への対応策や緩和策の実施」、「CO2をはじめとした温室効果ガス削減への取り組み」、「水を含む資源の枯渇への対応」などが挙げられます。

例えば自然生体への配慮への取り組みとして、海洋生物保護の観点から海洋プラスチックを回収し再生材を製品へと活用するなど、環境問題と自社の強みを活かしたビジネスを展開している企業においては、SDGsにおける【14:海の豊かさを守ろう】へ繋がるアクションとなります。

ESGとSDGsは視点での違いはありますが、上記のようにESGへの取り組みはSDGsと密接に関係しています。

【関連ページ】:
SDGsとESGの違いとは~時代に求められる経営の在り方~

企業がSDGsに取り組む意義

企業の成長エンジンとなるSDGsの捉え方

SDGsは現代社会において未解決である国際的な社会課題を示しており、世界規模ではSDGsに対するビジネスの市場は1000兆円以上にもなると試算されています。

日本企業の多くは、経営理念やビジョンに社会課題解決要素が含まれており、社会課題に対して真摯に向き合うことで成長に繋げてきた歴史があります。急成長しているベンチャー企業の多くにおいても、こうしたミッションドリブンによる成長事例が多いことも事実です。

SDGsとビジネスを関連付ける際には、改めて自社の経営理念や創業の精神を振り返り、自社のビジネスモデルに社会課題解決要素を加味する戦略を推進することが求められます。こうした取り組みは企業価値向上、事業機会の創出、未来のリスク回避、生存戦略に繋がり、企業として取り組む意義であるといえます。企業は決して経済性のみを追求するのではなく、社会性も同時に追求していくことが重要なSDGsの捉え方です。

SDGsウォッシュにだけはなってはならない

SDGsへの取り組みは、企業にとって一過性のブームであってはなりません。

近年SDGsの取り組みを社外に積極的に発信する企業が増えると同時に、SDGsウォッシュと指摘される企業事例も多くなっており、懸念事項となってきております(SDGsウォッシュとは、「実態以上にSDGsに取り組んでいるように見せかけること」)。

SDGsは企業価値向上の機会であるとともに、表面的な企業だと認識されてしまうことでイメージダウンに繋がるリスクも含みます。企業はSDGsをアピール材料にするだけではなく、自社の存在意義や強みを整理し、その上でSDGsの本質を理解して取り組む心がけが重要になります。

SDGs推進企業事例と取り組みのポイント

フードロス食材を新たな商品に生まれ変わらせるアップサイクル事業~オイシックス・ラ・大地~

農水省によると、日本の食品ロス量は年間約600万トン。一人当たり1日約130g。年間約47kgのフードロスが発生しているとされています。

このような社会課題に対し、生鮮食品の宅配サービスを手がけるオイシックス・ラ・大地は廃棄食材(ブロッコリーの茎・大根の皮・バナナの皮・ナスのへたetc)を原料に活用したお菓子の販売を開始しています。

同社は食品ロスを削減するアップサイクル事業として、Upcycle by Oisixブランドを立ち上げ、シリーズを広げて3年後には年間約500t、提携先100社のロスを減らす目標を掲げています。 ポイントは世界的な社会課題と生産者や加工工場をはじめとした取引先や仕事パートナーの課題と自社のビジネスモデルの強みを掛け合わせた事業モデルという点にあります。

参照
https://www.oisixradaichi.co.jp/news/posts/20210726upcycle/

パートナーシップの実現によるSDGs推進

企業事例からもSDGsへの取り組みは1社単独で推進するには限界があり、 貢献度を最大化させるためにはパートナーシップの構築・推進が重要になります。

そのためには取り組みに対するステークホルダーからの共感を集めるための社内に向けたインナーブランディング、社外に向けたアウターブランディングの取り組みが並行して求められます。
共通の社会課題に向けて取り組む企業・団体・自治体等がパートナーシップを推進することでイノベーションが生まれ、提強価値を最大化させることが可能になります。

自社の本業とSDGsを掛け合わせ、持続可能な世界を全員参画で実現させましょう。

【関連ページ】:
SDGsとESGの違いとは~時代に求められる経営の在り方~

著者

タナベコンサルティング
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部
チーフマネジャー

河村 周平

電気機器業界にて営業、営業企画・商品開発部門マネージャーを経て、当社に入社。業界・規模問わず、企業ごとのコアコンピタンスを活かした事業戦略構築・新規事業立ち上げ支援を得意とする。また、SDGsの立ち上げから社内推進/戦略構築/企業ブランディングなどの実績も多く持つ。

河村 周平

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