COLUMN

2024.04.22

事業戦略の立て方とは?
基礎知識から具体的な方法までご紹介

事業戦略とは

事業戦略とは

事業戦略策定の目的

企業を存続・維持するためには、企業が進むべき方向性を示し、自社の競争優位性を持続させる実現可能な方策(戦略)を打ち出さなければなりません。経営・事業の目的を達成するために、持続的な競争優位を確立すべく構造化されたアクションプランが事業戦略です。企業が明確な戦略を打ち出すことは、勝ち組の企業になるための条件の1つでありますが、企業が保有する資源(ヒト・モノ・カネ)には限りがあり、選択と集中について考えなくてはなりません。事業戦略の策定にて、何を行い、何を行わないのか、どのように強みを磨いていくのかを明らかにします。さらに、企業・事業としての方向性をはっきりと示すことで、企業・事業活動を支える内外関係者の共感を得たり、従業員の能力を十分に引き出したりすることも可能になります。戦略を策定する場合はまず、どの分野に進むのかを決める。そして、環境変化や競合企業の動きに対して、自社の最も有利となり、かつ競争優位性を持続できる道筋を選択します。

事業戦略の立て方

事業戦略の立て方

事業戦略では方向を示さなくてはなりませんが、その前にまず企業や事業の目的を知っておく必要があります。そもそも企業は何のために日々の活動を行っているのでしょうか。経営者の第一の使命は事業価値の最大化です。欧米では「企業は株主のもの」という考え方が一般的です。日本でもグローバル化や市場の要請を受けてIRの強化や利益重視の経営指標の導入など、企業の透明性を高め、株主重視の姿勢を打ち出そうとする企業が増えています。しかし、株主だけを重視していればよいわけでもありません。たとえば、株主価値の最大化のためには顧客にとっての価値を最大化する必要があります。顧客に支持されない企業は業績をのばすことが出来ず、企業価値や株価を高めることもできません。顧客に支持されるためには、社会貢献価値が高く他社と比較して自社が魅力的に映るのかと言う点も重要です。社会環境の変化に自社の製品やサービスが追従する。または、他社よりも先を行くことができ、それを実現することができる資源(ヒト・モノ・カネ)を保有していることが前提です。これらの説明を次のようなプロセスで戦略を策定することで競争優位性が保たれます。

1.経営理念・ビジョンの確認
2.環境分析
3.成功要因の抽出
4.戦略オプションの立案
5.戦略の選択
6.戦略の実行
7.戦略のレビュー

事業戦略に役立つフレームワーク

事業戦略に役立つフレームワーク

ここでは、戦略策定によく使われるフレームワークをご紹介します。フレームワークとは過去の先人たちが研究を重ねて出来上がった業務改善、問題解決などに役立つ分析ツールや思考の枠組みのことであり、代表的なもので81種類あります。

ご参考まで、代表的な10選については下記コラムをご参照ください。
企業のビジョン策定に役立つフレームワークをご紹介
https://www.tanabeconsulting.co.jp/vision/column/detail123.html

一つ一つに使用用途はありますが、その種類を大別すると以下のように分類ができます。

1.古典的(Classical)な戦略フレームワーク:予測困難性が低く、事業環境を変革することも難しい事業環境において、確実な計画達成を支援するうえで有効性を発揮します。たとえば、電気水道ガスなどの公共財や、エネルギー産業が当てはまります。
2.適応的(Adaptive)な戦略フレームワーク:予測困難性が高く、事業環境を変革することが難しい場合に、事業運営に柔軟性を与えることに有効性を発揮します。たとえば、半導体や衣料品小売等です。
3.洞察的(Visionary)な戦略フレームワーク:予測困難性は低いが、事業環境の変革が可能な場合に、どのような変化が望ましいかの示唆を与えるものです。これは産業にかかわらず、新技術や新サービスで事業環境を変化させうるときに有効性を持ちます。
4.成形的(Shaping)な戦略フレームワーク:予測困難性が高く、また事業環境を変革することも難しいときに、新しい事業環境を成形する手法を提示することに有効性が生じます。その手法は、ソフトウェア産業やスマートフォンアプリの市場で有効活用されます。
5.復興的(Renewal)な戦略フレームワーク:そもそも自社の生存が脅かされる極限の状況下での事業再生に用いられます。
これらのフレームワークを柔軟に組み合わせて活用することによって事業戦略の土台を築くことができます。立て方は、企業の将来を左右する重要なプロセスであり、慎重な計画と実行が求められます。一度決めたものを永遠に活用し続けるすることは無く、違った視点で活用することが重要です。このように5つに大別ができていますが、詳細につきましてはご自身の業界や特色に合わせてご活用いただけると幸いです。次に様々な戦略がある中でどのようなフレームワークを活用しているのか参考事例をご紹介いたします。

事業戦略の立案事例

事業戦略の立案事例

事業戦略の立案事例では、成功と失敗から学ぶことが重要です。市場進出や差別化戦略など、企業が直面する様々な課題にどのように取り組み、成功に導いたのか、あるいは失敗の要因となったのかを分析することで、戦略策定のヒントを得ることができます。事業戦略の策定は一度きりのものではなく、継続的な見直しと改善が求められます。変化する市場環境や競合状況に適切に対応し、柔軟性を持って事業戦略を進化させることが、企業の成長と持続可能な成功に繋がります。
1つ目の事例は、ストリーミング再生でおなじみのネットフリックス社の戦略です。NetflixはDVDレンタル事業が『ライフサイクル』と言う視点から見て成熟期から衰退期に移り変わっていることを推測し、動画ストリーミングに焦点を移し、オンデマンドで映画やテレビ番組を提供する新たなビジネスモデルを構築しました。この戦略により、映画業界を変革し、世界中で数百万人以上のサブスクリプション会員を獲得しています。
2つ目の事例は、スターバックスの店舗展開戦略です。スターバックスは独自の店舗展開戦略を展開し、コーヒーショップの経験を提供することで世界中で成功を収めました。ブランド力と店舗スタッフへの集中投資により特定の市場で差別化して優位に立ち、競争に勝つ差別化戦略で一貫性がある店舗の魅力的な雰囲気が、多くの消費者にとって独自のコーヒー体験を提供しました。
このように他社事例からどのようなフレームワークを活用して、企業・事業戦略ににかし自社の強み顧客に提供しているのか学ぶことで自社の戦略策定にも応用できるのではないでしょうか。

以上のように事業戦略策定の目的、戦略の立て方、フレームワークのご紹介、最後に誰もが知る一流企業をご紹介させていただきました。自社において戦略立案に関わる方においては現状の課題からフレームワークを探し出すことで現実的で納得性の高い立案が可能になります。戦略立案にかかわらない方においては、身近な企業を例に挙げどのような戦略実行が行われているのかと言う視点に立った上でフレームワークを探し出してみるのも面白味があるかと思います。いずれにしても既存のフレームワークを活用し、場合によっては今の社会環境や業界に応用することで他社に対する競争優位性を実現できる事業戦略立案を行っていただきたいと思います。

他社に対する競争優位性を実現

著者

タナベコンサルティング
タナベコンサルティングストラテジー&ドメインコンサルティング

中路 寛星

自動車部品メーカーの企業内学校を卒業後、機械加工分野の技能オリンピック選手として活躍。技能系人材育成部門にて国内外の社員育成カリキュラムの作成から教育運営迄の全工程を担当。教育のみならず製造に関する幅広い知識も有する。MBAを保有し、現場改善と経営が分かるコンサルタントとして、クライアントに寄り添うスタイルに定評がある。

中路 寛星

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