COLUMN

2023.12.08

新規事業の狙い目の見つけ方|条件や持つべき着眼点とは

新規事業の狙い目はどのように見つけるのか?

新規事業の手がかりが欲しいと考えている経営者の方に、新規事業の狙い目について解説します。

●どのような点に着目すればよいか
●前提条件としてどのようなことを踏まえればよいか
●狙い目を見つける方法

この記事ではこれらのポイントをご紹介し、新規事業の狙い目をスムーズに見つけるお手伝いをいたします。

新規事業の狙い目はどのように見つけるのか?

「新規事業の狙い目」を見つけるのが難しい理由

新規事業の狙い目を見つけることは、簡単ではありません。簡単に見つかるものであれば、すでに他社が参入しているでしょう。 ここでは、狙い目を見つけることがいかに難しいかという理由について解説します。

今までにチャレンジしていない分野のため

自社の強みを活かせる分野にはすでに参入している可能性が高いと思われますが、関連性が見出せずに見逃してきた分野のなかにも狙い目が隠れている可能性があります。

まったくの新規分野では試行錯誤が必要になり、調査は既存業務外になるため活動は制約されます。従来の事業を立ち上げた時期のように、高い志や明確なモチベーションが必要です。

他社が気づく前に行動を起こして参入するという、スピード感が求められます。

新規事業で能力を発揮できる人材が限られるため

既存事業で優秀だと評価されている人材でも、新規事業に携わってうまくいくとは限りません。新しい能力や考え方が、必要になるでしょう。

新しいことに柔軟に適応できる人材は、限られています。新分野の立ち上げに携わった実績がなければ、どのように適応できるかという明確な予測もできません。また立ち上げに携わる本人も、従来事業から新規事業に異動することで既存事業の本流から外れる不安を抱えるかもしれません。

立ち上げに際しては、ルーチンのない業務フローやイレギュラーな組み合わせのタスクが発生するため、その都度考えて行動できる人材が求められます。

既存事業の常識が通用しない可能性があるため

既存の事業や人材の評価基準が、新規分野に合わない可能性があります。既存の社内データも参考にできないかもしれません。新しい業界にチャレンジする場合、既存の業界の常識は通用しないかもしれないということです。

新しい考え方が必要な分野での人材の評価を、従来基準で運用する意味は薄いでしょう。業績や人材の評価基準を一から構築するような、ベンチャー的な考え方が必要になります。

新規事業の狙い目となる条件とは?

新規事業には既存の常識は通用しないこともあり、自社にとって不確実なものといえます。そのためリスクは当然あります。できるだけリスクを軽減する必要があるでしょう。
ただし新規事業の目的は、将来的に経営の「柱」となり得るものを選ぶことでもあり、単に参入しやすいからという理由だけで選ぶことは禁物です。
ここからは、新規事業の狙い目となる条件について解説します。

競合が少ないこと

競合が少ないことは、狙い目となる重要な条件です。現時点で競合が少ない分野にはチャンスがあります。一般的にブルーオーシャンと呼ばれる市場では、自社が市場をリードできる可能性があるためです。
しかし、各社が検討してメリットがないと判断しているから参入が少ないとも考えられます。市場が狭く、参入しても大きなメリットが得られないという判断もありえるでしょう。

「将来的にどうなるか」という視点を持って競合を捉える必要があり、参入が増加することも考慮する必要があります。

顧客ニーズが高いこと

新規事業の狙い目として、以下のような顧客ニーズに関わる点も重要なファクターです。

●現時点のニーズは高いが商品・サービスは提供されていない
●将来的なニーズが高くなる可能性はある

顧客ニーズが市場を作っているため、特定の注目すべき市場が捉えられていることが重要です。
将来的なニーズを考える場合、顧客さえ気づいていない潜在ニーズの掘り起こしが必要といえます。

自社の商品・サービス・技術の利用シーンを、エンドユーザーに被せてイメージする必要があるでしょう。

自社が価値を提供できること

自社の商品・サービス・技術が、特定の消費者層のニーズに対して価値を提供できることが大前提です。将来的に、あるいは将来にわたって提供できる価値は、新規事業の狙い目ちなる条件です。

ビジネスモデルに顧客視点でのベネフィットがあり、経営資源が活かせて自社に優位性があれば、新規参入の意義があるでしょう。

新規事業の狙い目となる条件とは?

新規事業の狙い目を探す方法

新規事業の狙い目を探すのによい方法は、自社の商品・サービス・技術と、関連する市場にある既存ニーズや潜在ニーズとの組み合わせを考えることです。

マーケティングの法則・フレームワークを活用すると、アイデア出しはスムーズに進むでしょう。

自社技術を異分野に活かす

自社の分野(業界)では当たり前の技術でも、異分野(業種)では新鮮に映る場合があります。
異分野でも自社が持つ技術をポイントにすれば、価値を提供しやすいでしょう。
異分野と提供する自社価値の組み合わせを考え、競合が少ないことや先行できる見込みがあることが、異分野に参入する意義になります。

自社がどのような価値を提供できるかという課題を掲げ、継続的な情報収集を行うことが重要です。

新技術を利用する

新技術を既存分野で利用することによって市場を拡大する、あるいは新技術で新分野を開拓するという、技術をポイントとした新展開のアイデアです。ただし「新技術で新分野」は、非常にリスクの高い方法です。

ICTが活用できていない既存分野への活用は、現在の市場では自然な方法でしょう。ただし競合他社も同じことを考えている可能性があり、技術をどのように活用するかという方法論で差別化する必要があります。

成長分野周辺の技術情報を継続的に収集して、参入できるポイントを探りましょう。

リーンスタートアップ

リーンスタートアップ(Lean Startup)とは、最低限の開発投資で素早く事業・サービスを立ち上げることを意味します。商品・サービスがシンプルで、早い段階で市場に投入できるのがメリットです。投資を抑えているため、仮に失敗したとしても大きな損失にはなりません。市場に受け入れられた場合は順次改善のための開発投資を行って、顧客のニーズに応えることで価値を上げていくという方法です。

初期の市場投入の際に、いかに消費者の関心を集めるかや、本質的な価値を提供できるかがポイントとなるでしょう。

新しいニーズを拾う

現在のニーズ、潜在ニーズのほかに、「新しいニーズ」があります。社会や市場の変化で生じた新しい価値観や、消費者が先行して持っているニーズを取り込むことで新規開拓を行います。 そのためには、次のような手段で市場のトレンド・社会情勢の変化をリサーチする必要があるでしょう。

●アンケートでニーズを掘り起こす
●Webサイトその他のデータをもとに購買行動を分析する
●SNSからニーズを拾う

情報として得られる多様なニーズを取捨選択して、自社が最も価値を提供できるニーズを拾い上げることが重要です。

ターゲットを絞り込む

ニーズを持っている層と、そうでない層が存在するため、浮かび上がったニーズがどの層のものかを特定する必要があります。

●購買行動を分析する
●ニッチにも目を向ける
●SNSからヒントを得る

ターゲットを絞り込み、範囲を限定して具体的に迅速で効率のよい事業展開を仕掛けることは、リーンスタートアップとの相性がよい方法といえます。

外部環境を捉える

市場は日々変化しているため、常に外部環境には注意を払って、変化の兆候を捉える必要があります。

●法改正による事業や市場への影響
●世代の移行によるニーズの変化
●価値観の変化に伴うニーズの変化

1つの商品でも顧客によって使い方や求めるものが異なり、価値の感じ方も異なります。

たとえば「レコード」や「レコードプレーヤー」はかつて、市場が失われてマニアだけの商品となりましたが、現在はニーズが復活しており新商品も続々登場しています。
価値観の変化は、古い商品・サービス・技術でも復活させることがあるという事例です。

新規事業の狙い目を探す方法

新規事業の狙い目はニーズを捉えること

新規事業の狙い目は以下のような点が重要で、現在だけでなく将来にも目を向ける必要があります。

●ニーズを捉えること
●ニーズに対して自社の価値が提供できること

価値を提供するためには、ニーズの高いターゲットを明確にし、確実に受け入れられる市場を特定することが不可欠といえます。

新規事業の目的は将来的な経営の「柱」を作ることでもあるため、業界の入念なリサーチと素早い参入、将来を見据えてPDCAを回すことが重要です。

著者

タナベコンサルティング
取締役
ストラテジー&ドメインコンサルティング事業部

山本 剛史

大手ゼネコンにて設計・監督業務に従事後、当社に入社。事業戦略を事業ドメインから捉え、企業の固有技術から顧客を再設定してビジネスモデル革新を行うことを得意とするタナベ屈指のコンサルタント。成果にこだわるコンサルティング展開で、特に現場分散型の住宅・建築・物流事業、多店舗展開型の外食・小売事業で、数多くの生産性改善実績を持つ。

山本 剛史

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