COLUMN
コラム
本コラムはタナベコンサルティングのTCG REVIEWにて掲載している記事を転載したものです。
2023年春、多くの企業で賃上げが実施されました。労働力人口が減少する中、企業は「賃上げ=コスト増」ではなく、人材・組織への戦略的な投資と捉える必要があります。こうした経営環境を踏まえ、タナベコンサルティングは2023年5月25日、「組織構造変革フォーラム」を開催しました。
事業戦略を推進するための組織再編、間接部門のミドルオフィス化、無形資産への投資、コーポレート機能の企画化など、組織構造を変革することで生産性を高める方法について、特別ゲスト2名およびタナベコンサルティングのコンサルタント3名による講演をリアルタイムで配信しました。
※登壇者の所属・役職などは開催当時のものです。
タナベコンサルティング・土井のセッションで話した「組織構造変革」は、経営を改善するための手段の1つです。
この手段は、経営の全体像から見るとどう位置付けられるのか、解説していきます。
まず、経営の全体像として、タナベコンサルティングが提唱する経営の体系「経営のバックボーンシステム」(【図表】左側の水色部分)を紹介します。
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出所:タナベコンサルティングにて作成
「経営理念」が「計画(PLAN)」まで落とし込まれており、そのPDCAを回すために「会議制度」と「業績管理」が行われ、成果が出ると「評価・分配」があります。
土井が話した「生産性を高める4つのアプローチ」をこれに当てはめると、次の通りとなります。
①組織戦略の見直し⇒中期経営計画や事業戦略を推進するために組織を見直す
②業務の見直し⇒中計や事業戦略の推進のため「実行(DO)」「改善(ACTION)」を見直す
③マネジメントの見直し⇒実行・推進のチェック機能である「業績管理」「会議制度」を見直す
④制度の見直し⇒評価や賃金は公平か、キャリアステップは明確かなど「評価・分配」の仕組みを見直す
ただ、各社とも事業や戦略が異なるので「これが正しい組織戦略」という唯一の正解はありません。
各社に適した組織構造を探求し、成果を上げていく必要があります。タナベコンサルティングの「組織変革支援コンサルティング」でも、変化する事業戦略に適合した組織行動となっているか、マネジメントは機能しているか、基準となる生産性を有しているかの3つをポイントにクライアント企業の現状を把握し、組織戦略の見直しの端緒としています。
(1)変化する事業戦略に適合した組織構造となっているのか
事業戦略が変化するからこそ、組織戦略を見直す必要があります。そのため、まずは事業戦略の沿革と組織戦略の沿革を比較し、事業戦略に適した組織になっていたかどうかを検証します。
(2)マネジメントは機能しているか
組織の5原則
①1人の管理者が直接管理している人数は適正か
②責任に応じた権限が付与されているか
③命令系統は一元化されているか
④業務が機能別に専門化(分業化)されているか
⑤定型業務は部下が行い、上司は戦略的な意思決定などの非定型業務に専念しているか
を検証します。
(3)基準となる生産性を有しているか
直間比率などの適切な基準を有し、適切な人員配分を行っているかを検証します。
組織を変えるだけで経営課題は解決します。大切なのは組織を変えることではなく、「組織の中の人々がしっかりと成果を上げていくこと」。組織は働く人の生産性を上げるための手段で在ることを忘れず、自社にとって最適な組織構造を考えていただきたいと思います。
オンデマンド配信を実施中です。講演の詳細はこちらからご視聴いただけます。
組織構造変革フォーラム(オンデマンド配信)
https://www.tanabeconsulting.co.jp/vision/webinar/detail14.html
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