人事コラム
エンゲージメント

製造業におけるエンゲージメント向上の重要性とポイント

設備投資と同じ目線で人的投資を加速させる

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製造業におけるエンゲージメント向上の重要性とポイント

「働きやすさ」と「働きがい」の双方アプローチで
エンゲージメントを高める

製造業におけるエンゲージメントの現状

製造業におけるエンゲージメントの現状

製造業は「モノづくり日本」と称されるようにどの時代においても日本経済を支える中心的な産業である。経済産業省によると2021年時点で、日本におけるGDPの約2割は製造業が占めていると公表しており、約15%の労働者が製造業関連の企業に勤めていると言われている。各国の製品品質が高まっているとはいえ、ジャパンクオリティへの信頼度はまだまだ健在であろう。このように過去そして未来においても日本の重要な基幹産業である製造業であるが、エンゲージメントという視点で考えると高評価はできないのが現状だ。

 

その代表例が、「3K」のイメージである。3Kとは、「きつい(Kitsui)・汚い(Kitanai)・危険(Kiken)」の頭文字を取った造語であり、製造業での働き方を言い表す表現として使われる。働き方に対する価値観が多様化している昨今において、夜間勤務や重機設備を使った体力仕事などが求められる職場環境と時代に合った働き方で活躍したいという社員のニーズがマッチしなくなってきているのではないだろうか。

 

エンゲージメントは、主に「働きやすさ」と「働きがい」の二軸で構成される。そして特に製造業においては、働きやすさの側面でエンゲージメントを高めるような魅力を訴求しきれていない企業が多いと言える。

エンゲージメント向上の重要性

エンゲージメント向上の重要性

日本における労働人口が減少の一途を辿る中、昨今ではいかに社員がモチベーション高く、そして長く会社で働けるかを企業が考え、戦略的な施策展開を行うことが求められる時代に突入している。そしてそのための一つの切り口が「エンゲージメント」である。 エンゲージメントとは、組織(企業)と個人(社員)の関係性を指し、企業の持続的成長に繋げる概念として用いるケースが多い。組織と個人の関係性が変わりつつある経営環境において、社員と企業が相互に同じ方向に向かって成長していくためにエンゲージメントを重要視する企業が増えている。
エンゲージメントが高まると、モチベーション向上というようなマインド面の強化のみならず、労働生産性の向上や利益率の改善などの業績にポジティブな影響を与える。 製造業では人的投資の前に設備投資が不可欠になるため、このようなエンゲージメント向上に対する取り組みは後回しにされてきた傾向にあるが、今後は全ての製造業の企業が丁寧に向き合っていくことが必要と言える。

エンゲージメント向上のためのポイント(働きやすさ編)

エンゲージメント向上のためのポイント
(働きやすさ編)

タナベコンサルティングでは、エンゲージメントを「働きやすさ」と「働きがい」の2つの側面より定義している。
働きやすさは「組織エンゲージメント」であり、働きがいは「仕事エンゲージメント」と解釈している。

いずれにしても、エンゲージメントを高めるには、どちらか一方に手を打つのではなく、双方にアプローチをしていかなければならない。それぞれについてポイントと施策例を解説していく。

「組織エンゲージメント(働きやすさ)」は、人材活躍を促進する人事制度・教育制度・福利厚生の充実度、周囲のメンバーとのコミュニケーションの円滑さなど、心理的安全性が確保された職場においていかに長く、そして安心して働けるかを図る指標である。その中で特に製造業における重要な要素と考えられるのが「職場環境の整備」である。職場環境とは物理的な要素だけでなく、上司/同僚への信頼関係も含む心理的な要素も含まれる。物理的かつ心理的な職間づくりを整備していくと自然とエンゲージメントは向上していく。

具体的な施策は下記を参照されたい。

 

【組織エンゲージメントを高める施策例】

①職場におけるキャリアパスの明確化とそれらを実現するための人事施策の実装
②心理的安全性を確保できるコミュニケーション(対話の機会)の強化
③男女関係なく活躍できる職場環境の充実(設備補助機器の導入、衛生面の改善等)

 

以上のようにまずは社員がストレスなく働くための土台づくりが必要である。

エンゲージメント向上のためのポイント(働きがい編)

エンゲージメント向上のためのポイント
(働きがい編)

続けて、「仕事エンゲージメント(働きがい)」は、会社が目指す将来像への共感やその将来像に向かって自分自身が自発的に貢献しようとする意欲醸成、また仕事そのものに対する満足度を図る指標である。まさに「働きがい」は動機付け要因であり、製造業では働きがいをいかに社員へ感じさせるかがポイントとなる。

その理由として、製造工程などではどうしてもルーチンワーク的な業務が発生するケースも多く、自らの仕事の重要性や価値を捉えることが難しい。そのため、会社が将来像や意義を頻繁に訴求し、意図的に社員のマインド醸成を高めていくことが求められる。具体的な施策は下記を参照されたい。

 

【仕事エンゲージメントを高める施策例】

①PMVV(パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー)や会社が大切にする価値観と自らの業務を紐づけられる研修やワークショップの開催
②経営トップによるタウンホールミーティングを通じた自社の将来構想についてのディスカッション創出
③自社に必要な戦略・施策をボトムアップ型で考え、役員層へ提言できる機会の創出

 

以上のように、いかに会社と自分自身を紐づけられるかが成否を分ける。

まとめ

これからの未来においても、製造業は日本経済の中核産業であり、決して衰退させてはならない。ただし衰退させるも発展させるも全てはそれぞれの企業で働く社員がどのような環境と意欲で働いているかで大きく変わる。いまこそ全ての製造業の企業が自社のエンゲージメント向上と向き合い、設備投資と同じレベルで人的投資を加速することを期待する。

この課題を解決したコンサルタント

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